漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「24 JAPAN」(テレビ朝日系 金曜23:15〜)をウォッチした。



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 事件はリアルタイムで進行中。24時間に起こる出来事をリアルに24時間で描き大ヒットした海外ドラマの日本版だ。

 2001年の作品(シーズン1)をなぜ今? そして主人公のテロ対策ユニットCTU捜査官ジャック・バウアー役。日本人の誰がやっても「これじゃないよ」感いっぱい。むしろもうジャック・バウアーものまね芸人である、どきどきキャンプ・岸のぽっちゃり顔しか浮かばない。

 そんなハテナばかりが進行中なせいか、深夜にひっそり始まったよ。ジャックならぬ獅堂現馬役は唐沢寿明。ジャックおなじみ(岸おなじみ)の「くそっ!」はあまり言わなそうな獅堂。

 海外版との大きな違いは、暗殺計画のターゲットだ。初のアフリカ系アメリカ人大統領候補から、日本版は初の女性総理大臣候補・朝倉麗(仲間由紀恵)に。

 それはまぁわかるんだけど、「24」と言えばデジタル時計の数字と共に流れる「ピ、ポ、ピ、ポ」のカウント音。これぞ「24」てなあの音が微妙に違う。なんか違う。本家の音は使えないの? そんなところでかもし出される、ぬぐいきれないバッタもん感。

 でもそれ以外(肝心なとこだけど)は、びっくりするくらい海外版のまんまだ。そりゃテロ計画の情報を送るCTU諜報員は、ハゲ気味のおじさんからフサフサの栗原類になってるとか。

 ジャック=獅堂の娘が、ヘソ出しファッションでマリファナ&ビールがっつりなアメリカ正統派不良娘から、スナック菓子にジュース飲んでるお嬢ちゃまになりましたとか。

 こまごま改変はあるけれど、時間の経過もセリフも事件の展開も同じ。

 同じなだけに、かつての海外版からおよそ20年の時の流れを感じる。

 あの時はピュアに24時間の緊迫感を味わっていた我々が、なぜか今抱く物足りなさ。そう、我々はその後いかに「半沢直樹」に調教されたか。

 あのムダな顔芸。ムダな密着感。ムダなどアップに怒鳴る、ためる、土下座する! すべてが過剰な半沢劇場。その禁断の劇薬に触れてしまった今、「ピ、ポ、ピ、ポ」を見ていても、ジャック=獅堂もっと怒鳴るんだ、顔寄せるんだ、テロリストに千倍返しだっ。

 て、圧倒的に足りない密と圧。どこかで香川照之出しておく?

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など

※週刊朝日  2020年10月30日号