大きな話題を持ってスタートしたドラマ「24 JAPAN」が、早くも正念場を迎えている。

 2001年に放送が開始された米ドラマ「24 −TWENTY FOUR−」のリメイク作で、架空組織の捜査官がテロと戦う姿を描く。同時進行する複数のエピソードを画面を分割して見せる斬新な手法や、キーファー・サザーランド演じる主人公ジャック・バウアーの犯罪者への拷問も厭わないハードなキャラクターで、オリジナル版はシリーズ化されるほど世界的なヒットとなった。日本版では主人公のテロ対策ユニット班長・獅堂現馬を唐沢寿明が演じる。

 23時台の放送ながら初回視聴率は7・7%と好スタートを切ったかに見えたが、2話目にして数字を落とし、「チープな作り」「がっかり」など、インターネット上には失望の声があふれた。ドラマ評論家の成馬零一さんは、日本版の印象を「冗長だった」として、こう解説する。

「日本で好まれる職業ドラマを振り返ると、『相棒』や『踊る大捜査線』、『半沢直樹』など、主人公の私生活がほとんど描かれないことが多い。今作はオリジナル版の脚本をそのままなぞっている都合があるとはいえ、獅堂の家族パートが長く、その結果、緊迫感やテンポが失われたのでは」

 また、日米の文化の違いが評判に直結しているとも言えそうだ。

「米ドラマは時事的で政治的な話題を背景にする傾向があります。オリジナル版では国民が熱狂する関心事である大統領選がストーリーに大きく関わっていましたが、日本で『初の女性首相誕生の裏で何が』……と言われてもピンとこない。制作側の“完コピゆえの息苦しさ”が感じ取れます」(成馬さん)

 海外ドラマ評論家の池田敏さんも次のように指摘する。

「米国でヒットしたのは、放送当時、その内容がタイムリーで先見性もあったから。予告編の放送期間中にアメリカ同時多発テロが起こり、主人公がネット上の情報の分析なども駆使してテロと戦う姿は非常に時事的でした。そして、黒人初の大統領誕生までを描いていますが、まだオバマ大統領が誕生する前のことです」

 それから20年近くが経過した今、当時と同じ筋書きでのドラマ化は元よりハードルが高かったのかもしれない。リメイクするにあたって脚本を書き換える選択肢はなかったのか。

「設定やセット、映像のアングルなどがあまりにも似すぎていて、本国サイドとの間で、改変はだめというような制約があるのでは。リメイクに挑戦した姿勢は評価しますが、今やるのであれば、東京五輪のために作った競技場でロケをするとか、もっと日本独自の、時代をとらえた演出が欲しかった」(池田さん)

 池田さんはセットの“チープさ”についても言及する。

「唐沢さんが所属する組織の本部が狭いんです。オリジナル版の本部はもっと広く、捜査員たちは常に早歩きで移動していて、それが緊張感を生んでいた。日本版は狭いゆえに急いで歩く必要がなく、いまいちピリッとしません」

 ただ、物語が盛り上がるのはこれからだ。

「オリジナル版は衝撃の結末で、次シーズンがあることを予感させました。日本版でどう料理するか。巻き返しへのお手並み拝見というところです」(池田さん)

(本誌・秦正理)

※週刊朝日オンライン限定記事