女優の高岡早紀(48)が主演するラブサイコスリラー映画「リカ〜自称28歳の純愛モンスター〜」の全国ロードショー公開が6月18日から始まった。その高岡に映画や私生活、恋愛などについて聞いた。



 取材場所に入ると、テーブルの上には、新型コロナ対策の透明のアクリル板が置いてあり、アクリル板をはさんだ両側で、顔を見合っての取材となった。

 高岡は現在、都内の自宅で母親、次男、長女と4人暮らし。家では犬がゴロゴロと寝そべったり、走り回る。

「シングルマザーとして子供たちを育てました。家族から幸せや癒しをもらっています。常に周りに誰かがいて欲しいし、いてくれた方が安心感があり、楽しさも倍増する。友達は少人数でいいと、もしくはいらないくらい」

「友達は……いらないくらい」というふとした言葉に、衝撃を受けた。ドラマ、舞台、映画と再注目されている高岡のやすらぎの源は、25年前に建てた家であり、家族なのだ。

 23歳の時に結婚し、翌年の24歳で長男、その2年後の26歳で次男を出産した。結婚生活8年で離婚。2人の息子は高岡が引き取った。38歳の時に再婚を考えていた男性との間に長女を出産したが、「結婚しない」道を選んだ。

 インターナショナルスクールに通う10歳の娘とは、ガールズトークに花が咲くことも。

「娘と最近、どんなことを話したかと言うと、学校で好きな男の子がいるという話(笑)。誰々くんが『今日はしゃべってくれなかった』とか。まだ10歳なので、好きな男の子の話をしゃべっていても、『あーそうなんだ、へェ〜』っと、受け流しています」

 怖い女の役の映画とはギャップのあるやさしい母の顔。そんな娘の夢はというと──。

「私のウォークインクローゼットの洋服を見ながら『あーこれ着たい。大きくなったら、ここにある服を全部、私が着ていいんでしょう』と言って楽しみにしています。私は音楽活動でライブをやっていますから、衣装ってキラキラしたものも多く、娘は楽しそうに見ています。娘は母に憧れるものなんですよ。私も母が大好きですし、大きくなった時には、母の服を片っ端から着たものです」

 娘はまだ、映画「リカ〜自称28歳の純愛モンスター〜」(以下「リカ〜」と略)を見ていない。「リカ〜」では、主人公の雨宮リカ役の高岡の振り切った演技が光る。

 リカは元看護師で、外科手術もできるくらいのオペの技量を持ち、マッチングアプリを通じて知り合った愛する男たちに、注射針を突き射し、刃物で解体。自分だけのものにしていくという狂気の純愛を描いた物語。

 記者も、映画を見ていて「怖い」という言葉を、ついつい口走っていた。ゾクッとするリカのセリフもある。

「昨日か一昨日か、食事をしていたら、娘がリカのセリフをマネて『死ねばいい』と言ったんですよ。私が普通にビックリしたら、『ごめん、急にちょっとリカのことを思い出しちゃって』と言っていました(笑)」

 この映画は「PG12」指定となっていて、12歳以下の子供は保護者同伴か親の承諾がなければ見られない。血の流れるシーンもある。

 娘はバレエのレッスンに熱中しているという。

「一生懸命頑張って練習してますね。私も幼少の頃、バレエをやっていて、仕事上、良かったなと思ったことがたくさんあります」

 高岡の娘は将来、モデルや役者を目指すのだろうか。

「息子たちの時にも、そういう質問がよくあって『本人から俳優を目指すと言われたら反対はできませんよね』と答えていましたが、結果的には2人とも俳優にはならなかった。娘も兄たちと同じ気がします。芸能界は華やかで楽しいばかりではない。子供たちは、私を一番間近で見てきていますから。私が仕事から帰って来て、『今日はもう寝かして』と言ってずっと寝ていたりすることもありますし、そういう姿を見ていて、『大変そうだな』と思ったのかもしれません。彼らなりに俳優になりたいという気持ちが1ミリでもあって、私のせいで諦めたのなら、『夢を壊してごめんなさい』と言いたいですね」

 高岡は神奈川県出身。15歳で雑誌のモデルを始め、キャンペーンガールとしてCMに出演し、芸能界デビュー。アイドル歌手としてステージにも立った。18歳の時、映画「バタアシ金魚」で女子高校生役の初主演を射止め、女優業が本格化。19歳で深作欣二監督の映画「忠臣蔵外伝 四谷怪談」でお岩の役を好演し、日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を受賞するなど一躍、人気女優として駆け上がった。

 仕事のかたわら、次男が生まれた時、母親と同居するようになった。

「デビューした頃から、母の強い支えがあったからこそ仕事をやって来られました。すべては母の存在ありきなんです。私を産んでもらったという意味でも、こうやって仕事をしていく上でも。これからもそうですけど、とても大切な存在です」

 高岡自身、相手の男性が好き過ぎて、モンスター化してしまいそうになった恋の経験はあるのだろうか。

「若い頃は周りのことを気にせず、なりふり構わずでしたね。恋の駆け引きなんて全くできないし、仕事に支障をきたしても突っ走るしかなかった。『これが真実の愛なんだろうな』と感じていた頃がありました」

「23歳の人気絶頂で結婚した時もそんな感じだったんですか」と聞くと、「まぁ、そうでしょうね。それこそ運命の相手だと思って結婚したんですから」と答えた。

 彼女のインスタグラムには、料理とともに、缶ビールや白ワインを飲む姿の写真をしばしば発見する。一体どうやって、そのスタイルを維持しているのだろうか。

「毎晩飲んでいるわけではなく、みんなが寝静まった後にリビングでワインを飲みながらくつろぐのは凄くいい時間なんです。仕事が終わった後の1人の時間というのも大事にしています。理想とする体型は年齢で違っています。今は多分、痩せていると思いますが、これが嫌いじゃないんです。だけど、この体型が理想かというと、ちょっと細すぎるかな、と思うこともあります。それでも健康なので、問題はなさそうです」

 普段の食事には、野菜をふんだんに取り入れるようにしているという。

「お肉だけじゃ嫌だし、お魚だけでも嫌だし、やっぱり野菜があった方がいい。副菜的な料理がないと、ご飯は食べられない。もちろん、カツ丼だけでもいいんですよ。それはおいしいし、それだけでも満腹にはなるけれど、満足感はどうかなと思う。満足感がないと、食後にチョコレートが食べたい、お菓子が食べたい、となってしまう」

 食卓には大皿の料理をたくさん並べて食べる。

「少しずついろんなものを家族には食べてもらいたいし、目で満足するってすごく大事なことです。野菜は色も綺麗だから、色とりどりの料理がたくさん並ぶと、満腹感、満足感ともに満たされます」

 自宅の屋上には果物の樹や植物の鉢植えなどのガーデニングスペースがある。夏にはビニールプールを置き、娘と水着で満喫することも。ソファやテーブルでくつろぐカフェ風の小部屋もある。日曜大工用に電動ノコギリも購入した。映画では、リカが電動ノコギリを持っているシーンがある。映画の世界と現実が入り混じって、何だか怖い。

「リカの撮影終了後に、衣装ケースを普通ゴミで出せるように切ろうと思って、無意識に電動ノコギリを買っていたんです。次の仕事をして、リカのことはすっかり忘れていたんです。別に好きな人の足を切ろうとしたわけではありませんよ(笑)」

「リカ〜」の原作は累計65万部を突破した五十嵐貴久氏のサイコスリラー小説「リカ」シリーズ。2019年10月、連続テレビドラマ「リカ」(フジテレビ系)の放送が始まると「怖すぎてヤバい」とツイッターなどで拡散され、たちまち話題に。今年3月からはリカの原点を明らかにする続編ドラマ「リカ〜リバース〜」(フジテレビ系)が放送された。

 48歳のアラフィフになった高岡だが、「リカ〜」では自称28歳を演じ、違和感がなかった。役作りに、工夫したことはあるのだろうか。

「28歳のリカを演じたわけではなく、自称28歳だと言い張っている女性の役ですので、全然、28歳に見えることは意識しなかったです。ただ、リカの持つピュアな心やまなざしが、どう見ても28歳ではないけれども、そうかもしれないと思わせる要因だと思います」

 高岡はいつの間にか「魔性の女」と呼ばれるようになった。

「『魔性の女』は、これまでもいろんな女優さんにつけられて来たし、『悪い女』みたいに使われていた時代もありましたけど、今はちょっと人と違う魅力を持っていて、惹きつけられる女性みたいな褒め言葉だと解釈するようにしています。私生活で、そう言われたくはないですけどね」

(AERAdot.編集部 上田耕司)