漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「ボクの殺意が恋をした」(日本テレビ系 日曜22:30〜)をウォッチした。



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 ドラマのタイトルを略して呼ぶようになったのは、90年代頃からか。

「ロングバケーション」は「ロンバケ」で、「ひとつ屋根の下」は「ひと屋根」。最近はハナから制作側がSNSで略称を提示してくる。

 さあ、ここで日本テレビのタイトル略称問題だ。

 石原さとみが魚類(?)を演じた「恋はDeepに」は「恋ぷに」。略称から原題が思い浮かばない。

 この「ボクの殺意が恋をした」は「ボク恋」。肝心の殺意が行方不明。ピンと来ない略称のドラマは、きっと中身もピンと来ない。そんな仮説を今立てました。

 さて「ボク恋」、両親を亡くし男虎(おのとら)丈一郎(藤木直人)に育てられた柊(しゅう、中川大志)。だが丈一郎も殺害され、彼の正体が「伝説の殺し屋」だったことを知る。丈一郎殺しの犯人は、人気漫画家の鳴宮美月(なるみやみつき、新木優子)?

 彼女を暗殺しようとしながら、逆に彼女を守ってしまう。そんなポンコツ殺し屋の物語。と、いわゆるキュンドラマに必ず特殊設定をぶっこんでしまう日本テレビ。必要なのか、殺し屋とか魚類。

 設定がとんでもすぎて、中川大志がNHKのコント番組「LIFE!」やってる時と区別がつかない。

 だいたい柊のライバル殺し屋「デス・プリンス」こと八乙女(鈴木伸之)。「殺しとはすなわち芸術!」とかのたまうくせに、その暗殺方法は美月の寝室にピンクのボール(風船)を放り込んでどんどんふくらませ、アロマキャンドルの炎で爆発させようとする。それ、バラエティーの罰ゲーム。

 2話では屋台の水ヨーヨーを爆発させようとしていた。好きか、そんなに風船が。

 せっかく漫画家のアシスタント役で田中みな実、柊の相談相手の刑事役には水野美紀が出ているのに、今のところまだ暴れる気配なし。

 これがテレビ朝日だったらとっくに、田中みな実が眼帯して「許さなあああいっ!」と連呼して、水野美紀は「今度『え?』って言ったら燃やすよ!」って、柊にバケツの水ぶっかけてるはず。そう、トンチキドラマとしても、ちょいトンチキ不足だ。

 しかし、まだドラマは始まったばかり。田中も水野も実は殺し屋かもしれないし、なんだったら登場人物全員殺し屋の可能性もある。最後は全員で心ゆくまで水風船爆弾を投げ合ってほしい。キュンはどこへ……?

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など

※週刊朝日  2021年7月30日号