ゆるキャラや仏像など多くのブームをつくってきたみうらじゅんさん。しかし、作家・林真理子さんとの対談では、その意外な真実も明かされました。

【みうらじゅんが連載に危惧?「でもエロにはリアリティーが必要」】より続く



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林:今、盛岡でイベントをなさってるんですね。(「みうらじゅんフェス! マイブームの全貌展」9月5日まで 盛岡市民文化ホール・展示ホール)

みうら:小学校1年から始めたスクラップ帳とか漫画とか、とにかく全部並べてます(笑)。

林:大事にされているというラブドールちゃんも飾ってるんですか。

みうら:今回は置いてないんですけど。あの方はシリコーンでできているので、ちょっとキズが入ると裂けちゃう。だから、あまり移動させないほうがいいかなと。

林:ふだんは事務所のソファにしどけなく横たわってるんですね。

みうら:いちおう秘書ということで(笑)。

林:秘書のお名前は?

みうら:絵梨花さんです。親(製造元)がつけてる名前なんで、そこは変えるわけにはいきません。

林:どうしても「マリコ」って呼びたいときは、そう呼んでもいいんですか。

みうら:そう呼んでくださっても僕は一向に構いませんので(笑)。

林:「今これを流行らせたい」という、最新のもの、ありますか?

みうら:やはり、そうきますか(笑)。じつは、「マイブーム」という言葉をつくって流行語大賞をいただいたときなんて、毎週のように「今のマイブームはなんですか」って聞かれたものです。もう、ネタ切れでね、しかたなく「ゴムヘビ」とか適当に答えたこともありました(笑)。でも、言った手前、責任をとらなきゃいけなくなって、そこから集め始めたりするなんてことも……。

林:ハハハハ。

みうら:言っちゃうとやらなきゃいけなくなりますから、今回は黙っていていいですか?(笑)

林:ところで、コロナで変わったことって何かありました?

みうら:ひげが伸びたことですかね(笑)。「ステイホーム」って、最初は聞き慣れない言葉だったじゃないですか。僕、つい間違えて「ホームステイ」って言っちゃうんですよね。すると、「どこにホームステイしたんですか?」ってツッコまれることがあって。それならインドにホームステイしてるつもりになろうと思ったんです。後期のビートルズがインドに渡り、ひげがボーボーになったじゃないですか。

林:はい、なりました。

みうら:そこがビートルズの、アイドルではないロックなところでね。それを見てガツンと来たんです。それで一度はやらなきゃならない修行だと思って、インドに行ってシタールも買って、ひげも伸ばして帰ってきたこともあったんですが、そのときは中途半端で、撮影のたびに剃っちゃって。でもようやくこの年にして修行の機会がきたわけです。

林:すごく似合ってますよ。

みうら:ほんとですか? うれしい。でも、いまものすごく街中に警察官がいるじゃないですか? 僕、職務質問したくなるタイプみたいで、きのうも夜、コンビニに行こうと思ったら、職務質問受けました。歩いてるだけなのに、遠くから「どうしましたー?」って言われるんです(笑)。ひげがマスクからはみ出してるから、警察も声をかけたくなるんでしょうね。

林:「僕はこういう者です」って言えば……。

みうら:林さんだと「林真理子です」で済まされるでしょうが、僕の場合、怪しいんでしょうね。その上、車の免許証もないし、自分を証明できないんです。「文筆業です」と言うのもなんでしょ? 体から何か“分泌”してるような(笑)。

林:パスポートか、ご自分の文庫本を持ち歩くしかないですね。

みうら:わざわざですか?(笑) 僕、レンタルビデオ屋の会員にもなれないんですよ。以前は僕のDVDを集めたコーナーもあったんですけど、それでもダメで。「あそこに僕のコーナーあるんですけど、会員になれませんか?」と言ったんですけど、「ちょっと無理ですね」って断られて(笑)。

林:まあ、失礼な。

みうら:だけど、この存在があやふやな感じがある限り、ずっと昔のままでいられるというか。そうそう、今、ある銀行のキャッシュコーナーの「振り込め詐欺にご注意」のイラスト、見たことありません? サングラスにロン毛なんですよ。まったく僕のアイコンなんです。そりゃ、自分でも信用おけませんよ(笑)。

林:アハハハ、おかしすぎる。今日は楽しいお話をありがとうございました。職務質問されないようにお帰りください(笑)。

(構成/本誌・直木詩帆 編集協力/一木俊雄)

みうらじゅん/1958年、京都府出身。80年、武蔵野美術大学在学中に漫画家デビュー。97年に「マイブーム」で新語・流行語大賞を受賞。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャンなどとして幅広く活動。ゆるキャラや仏像など多くのブームをつくる。『アイデン&ティティ』『マイ仏教』『さよなら私』など、著書多数。今年、『「ない仕事」の作り方』で本屋大賞「2021年発掘部門『超発掘本!』」。現在、「みうらじゅんフェス! マイブームの全貌展」が9月5日まで盛岡市民文化ホール・展示ホールで開催中。

※週刊朝日  2021年8月13日号より抜粋