漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「うきわ―友達以上、不倫未満―」(テレビ東京系 月曜23:05〜)をウォッチした。



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「似てますよね、うわきとうきわ」と、麻衣子(門脇麦)は言う。うわきうわきうきわうわき。どちらも溺れている様子。彼女の夫・拓也(大東駿介)は同僚と浮気している。大東よ、いつも浮気しているイメージだ。

 麻衣子は異変にすぐ気づく。帰りが遅い。夫のスマホに「車修理110番」と登録されたアカウントが、なぜか「今夜もうちに来ますか?」とハートマークを飛ばしている。脇が甘いぞ、大東。

 麻衣子は、暗い海で溺れる夢を見る。ごはんにのせた焼きのりが「うわきしてるの?」という文字になる。彼女はそれをゴクリとのみこむが、とりつくろう顔は、おたふくのお面になっている。

 そんな彼女の息苦しい日々を救ったのは、社宅の隣部屋に住んでいる夫の上司・二葉(森山直太朗)。朝のゴミ捨て、夜のベランダ、ほんの少し交わす会話が、彼女にとってのうきわなのだ。

 なぜなら、二葉の妻・聖(西田尚美)も浮気をしているから。浮気されてる者同士、次第にひかれあっていく二人。公式HPのうたい文句は「サレ妻×サレ夫! 不倫まで壁一枚」だって。おじさんか、HP作ってるの下世話おじさんか。

 このドラマは不倫や浮気だらけなのに、それほどドロドロ感が無い。海をプカプカと漂う心象風景のせいか。二葉の妻の浮気もまた、息苦しい現実(子供に恵まれないこととか)から逃避する行為だからか。

 あと、直太朗。ベランダを隔てる壁(「緊急時にはこの壁を突きやぶって隣へお逃げ下さい」と書いてある)越しに、麻衣子がグイグイ来るんだけど、そこは直太朗。

 たとえ壁の下からドーナッツ手渡されても、LINE交換しても、きっと直太朗ならドロ沼一歩手前で踏みとどまるはず。だって直太朗ですよ。

 そんな新婚2年目の部下の嫁に手を出してラブホテルなんか行った日にゃ、枕元で森山良子が「ざわわ、ざわわ」歌うし、おぎやはぎが黙ってない。

 うわきとうきわ。溺れた心を救ううきわは浮気じゃない? いっそ肉体関係よりもたちが悪いかもしれないけど。

 振り返れば芸能界、もはや不倫、浮気は市中引き回しの上、打ち首獄門くらいのヤバい案件。荒海に漂う東出昌大に渡部建、サレではなくシタ当事者にはもう、誰もうきわ投げてくれないのな。

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など

※週刊朝日  2021年9月10日号