昨年の「M−1グランプリ」で頂点に輝いたマヂカルラブリーだが、とくに野田クリスタル(34)の活躍が目覚ましい。今年はM−1王者という称号を引っさげて各局のバラエティー番組で大暴れしているが、その無双ぶりはテレビだけにとどまらない。

 野田のゲーム好きが高じて企画・販売されたNintendo Switch向けのソフト「スーパー野田ゲーPARTY」は発売1週間で5万ダウンロードを突破。8月には吉本興業が始めた新サービス「FANY GAMES」の社長に就任し、新たに「スーパー野田ゲーWORLD」の開発に着手した。


 また同時期に、筋肉芸人が指導するパーソナルジムをコンセプトとした「クリスタルジム」も設立。今はコロナ禍とあってオンライントレーニングのみの営業だが、SNS上では大きな話題となり「会員になりたい」との声も殺到している。


 M−1王者になればテレビで活躍し、自身の冠番組を目指すのが通例だったが、“ビジネスマン”としての意外な才能を発揮する野田クリスタル。今までのM−1王者とは、どこか違う道を歩んでいる。


「週刊文春」によると、野田はM−1優勝直後に吉本興業の社長と会食した際、ゲーム開発とジム設立を直訴したという。社長は野田のプレゼンに対し「絶対、それええやん!」と感動し、どちらも吉本が資金を用意して全面バックアップすることを約束したと報じた。


 こうした野田の姿勢について、放送作家はこう述べる。


「ゲームとジムという、あくまで自分が好きなものへの思いを語って新たなビジネスに結び付けたというのが野田さんらしい。ゲームに関しては2020年の『R−1グランプリ』で自作ゲームを使ったネタで優勝した直後から『スーパー野田ゲーPARTY』の開発を始めていて、クラウドファンディングで出資者を募るなど、『このゲームを絶対に当てたい』という強い意志を感じました。ゲーム発売前にM−1優勝という追い風が吹いたため、あの大ヒットにつながりました。このゲームはどれも野田のセンスがさく裂しまくっている素晴らしい“クソゲー”で、名作ぞろいのNintendo Switchでここまで結果を残したのはまさに偉業。ただ、本人はお金にはそんなに興味がなく、ゲームで得た収益はそのまま現在開発中の『スーパー野田ゲーWORLD』にぶち込む気でいるようです。ビジネスマンとしての才覚も間違いなくあると思います」

 お笑い芸人としてはすでに成功しつつある一方で、生活面はいまだに質素なことで有名だ。散髪はいわゆる千円カットを利用し、服はファンからのもらいものがほとんどだという。


「私生活では派手なことは一切せず、外で遊ぶことも皆無のようです。ゲームや筋トレ、漫画など自分の好きなことにしか興味がないようですが、今の野田さんの収入から考えると相当、お金がたまっているでしょうね。唯一、ペットのハムスターにだけ湯水のようにお金をつぎ込んでいるそうですが、“カネと女”を求めて芸人になる人も多いなか、この生活はかなり異色です。ただ、究極のインドア芸人だからこそ、独学でプログラミングを学び、ゲームを自作してそれをネタに昇華させR−1王者にもなれた。つまり、王者になってもブレない倹約生活こそが、彼の芸人としての強みなんだと思います」(同)


 さらに、恩に厚い性格でもあるようだ。


「M−1王者になってからも、さいたま市にある『大宮ラクーンよしもと劇場』を卒業しないことも評価されています。大宮は都内から1時間強かかるので嫌がる芸人が多いのですが、野田さんは大宮で自身の笑いを磨き上げ、ここまで大成できたという恩義を忘れてない。今は多忙なはずなのに、同劇場の看板芸人として地道に舞台に出続けているのはすごいことだと思います」(同)


 10月2日に開催される「キングオブコント2021」決勝戦にもコマを進めているマヂカルラブリー。ここで優勝すれば前人未到の三冠王(R−1ぐらんぷり、M−1グランプリ、キングオブコント)になるとのことで、業界内でも注目が集まっている。お笑い界に詳しい民放のバラエティー番組ディレクターは言う。


「野田さんは16歳のときに当時大人気だった『学校へ行こう!』の『お笑いインターハイ』で優勝してこの世界に飛び込んできており、まさに賞レースの申し子。M−1王者という追い風もビュービュー吹いており、相方の村上さんも受け手としては天才的にうまいので、かなり期待をしていいと思います。野田さんはデビューが早いというだけで、まだ34歳。同期は年上ばかりですが、そのなかでも唯一無二の芸人としてわが道を突き進み、やっと結果がついてきた。伸びしろはまだ十分にあるので、吉本が全面バックアップしたくなるのもうなずけます。三冠目獲得となれば、次世代を担う孤高の天才芸人として、お笑い界の中核をなしていくことは間違いないでしょう」

 お笑い評論家のラリー遠田氏は野田クリスタルについてこう評する。


「野田クリスタルさんの芸のルーツは、ディープな笑いを追求するインディーズお笑い界出身というところにあります。格闘技にたとえるなら、ボクシングや空手などのルールが整備されたメジャー競技ではなく、目つぶし・かみつき・急所攻撃など何でもありの地下格闘技の世界でずっと戦ってきたようなもの。そこで腕を磨いてきたからこそ、爆発力のあるネタを次々に生み出すことができたのでしょう。笑いに対しては、とにかく真面目でストイック。このまま順調に活躍を続けていれば、将来はカリスマと呼ばれるような芸人に成長するのではないでしょうか」


 お笑いで一躍スターダムにのし上がり、ビジネスマンとしても才能も開花させつつある野田。その姿はかの島田紳助をほうふつとさせるが、お笑い界にとって数十年に一度の逸材であることは間違いないだろう。(藤原三星)