コロナ禍でも変わらず、精力的な活動を続けるミュージシャンの桑田佳祐さんがAERAに登場。新曲6曲入りのEP(ミニアルバム)「ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat.梅干し」を発表した「いま」の思いを聞いた。AERA 2021年9月27日号から。

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 どんな状況でも音楽人として音楽を届ける──。そんな矜持を胸に、新曲を生み出し続ける桑田佳祐。最近は自らCM出演も果たしたが、そこでの桑田は、ただカッコつけるのではなく、ユーモアを忘れない。困難な時代だからこそ、少しでも明るい世の中にと、彼は願っているのだろう。

「デビューした頃から変わらないことは、常に誰かから“世の中に出ていくためのキッカケ”をいただいてきていることなんです。もともとサザンも僕自身も、山に籠もって匠のごとくアートな作品を構築するようなタイプじゃないですし。ここ最近も、多くのお話をいただいて、本当にありがたい限りです。そして僕は、それらにお応えする、いわば職業作家といいますかね。そんな気持ちで曲を書いています」

 コロナで自由が制限されるなか、それでも細心の注意を払い、ミュージシャンを呼び、レコーディングスタジオで音を出すことも欠かさなかった。スタジオは、桑田の大切な職場だ。時間が止まり、空気が淀んでしまうことは、なんとしても避けたかったのだ。

「僕は基本的に、ソロでやっている時も気持ちはバンドマンなんですよ。音楽を作っていくにしても、バンドを介さないと調子が出ない。“果たしてこの曲はどうなんだろう?”と、出来たばかりの曲を持っていって、仲間とやり始めていくうちに、どんどん化けていくこともよくあるし。その瞬間が、一番ワクワクするんです」

 そして完成したのが、新曲6曲入りのEP(ミニアルバム)「ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat.梅干し」だ。通常のアルバムの半分の曲数だが、“職業作家”桑田のストーリーテリングで、歌の世界観が胸に迫る。それでいて、いたずらに高カロリーというより消化が良く、明日への活力を与えてくれるような、そんな作品集なのである。(音楽評論家・小貫信昭)



※AERA 2021年9月27日号