SixTONESの京本大我さんは、「舞台のことなら京本に聞く」とメンバーが信頼を寄せるほど、数多くのミュージカル作品に出演してきた。だが本人の口からは「やりたいのかって言われると、わからない」という意外な言葉が──。今秋、ディズニーの大ヒット作「ニュージーズ」の日本公演で主役に挑む京本さんに、思いと覚悟を聞いた。

*  *  *

──ミュージカル作品の出演経験が豊富ですが、やはり自分の強みであり極めたい道?

 強みって言いきれるほど、まだ結果は出せていないです。ミュージカルって、歌、ダンス、芝居の三つが平均点以上の力を持っていないと通用しない。ドラマや映画なら台詞を噛んでも「もう一回お願いします」って言えるし、アップに映したりと編集もできる。映像ならではの大変さはあるけど、ある程度クオリティーが保証される安心感があります。

 でも舞台はナマモノで、お客さんからすべてが見えるからごまかしがきかない。ぼろも出やすい。だからこそ、鍛えられるんです。力をつけるなら俺にはミュージカルがいちばん合ってるかなと思います。

「やりたい」というよりは「やるべき」ですね。やりたいのかって言われると、わからない。大変だから。なんでこんな苦しいことを続けてるんだろうって我に返ったら終わりです。だけど今の自分にとって、やるべきなのは間違いないなって。

──「ニュージーズ」は元々、昨年5月に上演予定でしたがコロナ禍で全公演中止になりました。

 稽古が始まって1カ月くらいで中止が決まりました。いつかリベンジできるかもとは思ってなかったです。世の中が落ち着く気配はないし、キャスト全員が再集結できるタイミングが次にあるかもわからない。

 正直、なかなか気持ちを切り替えられませんでした。小池(修一郎)先生が演出を手がける作品で主演を務めるという夢が叶うチャンスだったんです。2015年に小池先生の「エリザベート」に初めて出て、そこから繋(つな)いで繋いで繋いでようやくたどり着いた。

 自分自身をかけた大勝負の舞台なのに、みなさんに一度もお届けできないで終わるのか、と。でも誰が悪いわけでもないので、悔しさや悲しみをぶつけるところがない。他に出演が決まっている作品もなくて、道がぷつんと途絶えたような感覚になりました。そして、ミュージカルから一度、気持ちが離れてしまった。

 それまでは趣味と勉強を兼ねていろいろな作品のDVDをよく見ていたんですけど、まったく見られなくなりました。トラウマとまではいかないけれど、ミュージカルに触れることに躊躇(ちゅうちょ)しちゃう。それだけショックだったんです。現実逃避のようですけど、映画やアニメなど他のものでインプットをしていました。

──再び上演が決まった今の思いは?

 いくつもの奇跡が重なった巡り合わせの結果だと思っています。今年になって話が進んで、ようやく発表できたときの喜びはめちゃくちゃでかかったです。待っていてくださる方々にずっと伝えたかったから。

 ただ、まだ上演が約束されたわけではない。そういう世界になってしまっています。一度中止を味わっちゃうと慎重になるし、千穐楽(せんしゅうらく)を迎えるまでは気を抜けないです。

でも、中止の事態を想定するのは製作の方々であって演者ではない。俺らにできることは本番に向けて稽古を重ねて、自分を高めることだけ。座長としてもなるべくポジティブでありたいです。

──今作で演じるのは、新聞売りの少年(ニュージーズ)のリーダー。リーダー気質は出せそう?

 友達とご飯に行くときにお店を決めたり、誕生日会で幹事をやったり、プライベートではリーダー的な役割を引き受けることもあります。

 まあSixTONESの中にいると完全に甘えっぱなしですけど……。「お坊ちゃんで何もできない」キャラになっているので、それならもう何でもやってもらっちゃおうと(笑)。

 グループのリーダーは、(田中)樹(じゅり)かジェシーかな。樹はいつも気配りを忘れないし優しい。ジェシーはメンバー6人で大きなことを成し遂げるときにすごく頼りになる。

 そういう気遣いや、何かに立ち向かうたくましさがあるからこそこの世界で生き残れると思うし、尊敬します。リーダー像を考える上では参考になる二人ですね。

 あとは、リーダーらしい重量感のある体つきになりたいと思ってジムに通うようになりました。そろそろほどよいところに来たかなと思います。凝り性だから、あんまり自分に火をつけるとやばいことになっちゃう(笑)。上裸になることはたぶんないですよ!

──物語ではニュージーズと、権力を持つ大人との闘いが描かれます。京本さん自身はもう大人?それともまだ子ども?

 子どもですね。はちゃめちゃに。自分で言うのも恥ずかしいんですけど、純粋なんですよ。人に言われたことは「へー、そうなんだ」ってだいたい信じちゃう。

 10代の頃はもっと疑っていたし、物事を斜めから見てました。でも二十歳を超えたここ数年で「信じちゃう病」にかかりましたね。冗談や嘘もそのまま信じて、後で「ふざけんなよ!」ってなることが増えました(笑)。

 昔はプライドが高くて、自分が正解を知っていると思っていたんです。「俺をもっとこうしてくれよ」っていう自我も強かった。でも次第に、他の人の意見って視野を広げてくれると思うようになって。

 自分にもできてないことがいっぱいあると気づいてから、SixTONESのメンバーにも周りの大人にも「ああしてこうして」と言わなくなりました。

 むしろ自分ができないことを恥ずかしげもなく言えるようになった。メンバーや友達、城田優さんをはじめとしたさまざまな共演者の方との出会いのなかで、少しずつ変わっていったと思います。

──理想の大人像は?

 理想よりは、「こういう大人になりたくない」像がたくさんあります。

 ガミガミ怒ったり、子どもや動物に冷たかったり。「この人どうしようもないな」っていう大人を街中やニュースで見て、その都度「こうはなりたくない」って思ってます。

 自分が今ちゃんとできているかはわからないけど、尊敬できない大人を見たときに嫌だと思えることが大事なのかなと。その感覚が、無意識のうちに行動を変えていくと思います。

(構成/本誌・大谷百合絵)

※週刊朝日  2021年10月1日号