10月からレギュラー番組が16本。そのうち冠番組は9本にのぼる。9月開始の「ウラ撮れちゃいました」(テレビ朝日系)では、ゴールデン帯のレギュラー番組で初のMCも。大ブレーク中の2人に、転機になった出来事、久々のライブにかける思い、これからの野望を聞いた。

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 東京オリンピック・パラリンピックも終わって世の中が平常運転に戻るこの秋、もっとも勢いのある芸人ナンバーワンとして、名前が挙がることも多い。

 山内健司、濱家隆一による芸人コンビ、かまいたちが誕生したのは、2004年。ともにNSC大阪校の卒業生だったことで知り合い、コンビを結成した。07年の「ABCお笑い新人グランプリ」では、旧コンビ名の「鎌鼬」名義で、最優秀新人賞を受賞するなど、結成間もないころから数多くの賞を受賞してきた。

 大阪を中心に人気を呼び、M‐1グランプリや、キングオブコントといった賞レースではほぼ毎回、準決勝に進出する安定の人気を誇っていた。そんな2人が「最大の転機となった」と振り返るのは、15年のキングオブコントだ。山内が、テレビで見るいつもの真顔で言う。

「それまでM‐1も、キングオブコントも、準決勝までは、なんとなく毎回行っていたんですよ。ところがこの年、初めて2回戦で落ちてしまった。『うわ、ヤバ……』と思って焦っていたら、すぐ濱家から電話がかかってきて、『ヤバいな』『うん、ヤバいな』って。これは後輩にもなめられると思って、次の年は、絶対に決勝行かな!みたいな感じで、単独ライブとか、めっちゃ回数増やしたりしましたね」

 その年までは、賞レースの本番前も、時間だけを合わせるくらいで、あまり練習もせずに挑んでいたが、「きっちり練習をするっていう、基本なことをするようになった」(山内)。

 この「2015ショック」の敗因を、2人はこう見る。

「2回戦は、この程度で通るだろうって感じでネタをやったんです。で、ややウケやったんですけど、審査員の人も顔見知りやし、大阪である程度知名度もあるし、俺らを2回戦で落とすメリットは向こう(審査員)にもないよなって、思い込んでいた」(同)

「自分たちの芸人としてのステージ(段階)を完全に勘違いしてまして……。俺らを2回戦で落として、誰も得しないやろっていうね。とにかく、立場をわかってなかった」(濱家)

 そうして心を入れ替えた2人は、翌16年にキングオブコントで初めての決勝進出を果たしたほか、17年のM‐1グランプリでも決勝に進出するなど、いろんなことが「大分変わった」(山内)と振り返る。

 18年には拠点を東京に移し、次なる“大波”もやってきた。今度の主人公は、濱家だった。

「(東京での)仕事が増えだしたのは、僕が『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で、今までと違う、いじられ方をするようになってからじゃないすかね。そこで、ボキボキに鼻を折られたというか、いじられキャラになったというか……。それまで、どう扱っていいかわからへんヤツ、って感じだったと思いますけど、ロンハーで、こういう感じでやってみたら?という自分の“説明書”を作ってもらったのかなって」(濱家)

「そうそう。急に大阪時代と違う感じでいじられて。説明書を作ってもらったというより……説明書のとおりに濱家が変化していったって感じかな。大阪のときは劇場の一番トップにいたんで、後輩からも恐れられていて、いわゆる兄貴キャラですよ。MCもずっとしてましたし、いじられるっていうより、いじる側。濱家にいじられていた大阪の後輩は多分、びっくりしたでしょうね」(山内)

 ここ数年は、東京で2人そろっての仕事も増えている。

「いやほんと、最近上京した芸人のなかでは群を抜いて『劇的ビフォーアフターを果たした芸人』の第1位だと思う。何ということでしょう、というね。どっちが好きか? いや、根本は変わってないんです。でもその劇的な改築に耐えたっていうのが、濱家のすごいところ。柱がしっかりしてないと、壊れますから。相方のことをどう思うか聞かれると、『とにかく背が大きい』と答えてきましたけど、最近は、そこですよね」(同)

 一方、濱家は、相方の山内をこう見ている。

「俺はこう、これはやらん、これはやるっていう、それこそ柱がしっかりしている。芯は強いんですけど、頑固な強さとかじゃなくて、柔軟なんですよね。その瞬間、その瞬間に、今これやと思うことができるけど、それが間違ってたら、間違ってたっていう撤退が早いイメージですね。とにかく頭がいい」

 そんな絶好調の2人、かまいたちが、2年ぶりの単独ライブを9月25日に開催した。そのライブは、10月2日午後6時までオンラインで視聴できる。その名も「かまいたち単独ライブ2021『on the way』」だ。テレビにラジオに大忙しとなった今も、ライブにこだわる理由をこう話す。

「単独ライブをして、新ネタを作るっていうのが大事なんやろうと思います。いろいろなタイプの芸人さんがいますが、僕らは同じネタをずっとやっていると、お客さんも自分たちも飽きて、ネタのクオリティーがどんどん下がるタイプ。まだまだ若手にも負けたくないし。それがライブをやりたい理由かな」(山内)、「テレビも好きやし、ライブも好きやし。直にお客さん笑かすのが、やっぱり好きやから、ライブを続けたいというのはありますね」(濱家)

 なかなか新ネタをやる機会がなかったこの2年で、2人への期待や評価も爆上がり。ライブ成功へのハードルも上がっている。「かまいたちの新ネタって、どんなんやんねん!」という、注目度の高さもひしひしと感じているという。

 今回は、「スワイプビデオ」という技術を使って、「山内目線」「濱家目線」、真正面、上、左右など、さまざまな視線に、お客さんが自由にスイッチングできる仕掛けも用意した。

 目下の夢は「30億円稼ぐこと」(濱家)、「各局のゴールデン帯番組を日替わり制覇」(山内)という2人の新ネタが生まれる瞬間に、オンラインで立ち会えるチャンスだ。

 インタビューの終わるころ、山内の口笛が聞こえてきた。♪タラ〜タラ〜タ〜……♪。「劇的ビフォーアフター」のテーマ曲だ。(ライター・福光恵)

※週刊朝日  2021年10月8日号