生田斗真が主演を務める映画「土竜の唄 FINAL」が全国公開中だ。2014年公開の1作目から本作まで3作品、主題歌を担当した関ジャニ∞のメンバーと語り合った。A ERA 2021年11月29日号から。

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──人気漫画を原作にした映画「土竜の唄」シリーズが3作目でファイナルを迎えた。潜入捜査官・菊川玲二を演じる主演の生田斗真と、主題歌を歌う関ジャニ∞は、ジャニーズJr.時代からの旧知の仲だ。シリーズでのタッグは、1作目の制作がスタートした2013年から約8年に及んだ。

生田:関ジャニ∞のみんなとは10代の半ばからずっと一緒にいて、まさか映画の主演俳優とその映画を支えるアーティストという関係性になれるなんて想像もしてなかったので、感慨深いなあといつも思います。

横山:このメンバーはみんなジュニアの本流から外れた感じがあったから、それぞれ絶対売れると思ってなくて(笑)、「どうしよう」と話し合ったこともありました。その斗真が日本を代表する俳優のひとりとして、三池崇史監督と脚本の宮藤官九郎さんと豪華なキャストの真ん中にいて、僕らが映画の主題歌を歌わせてもらってるなんて、あの頃の自分に見せてやりたいです。でも、斗真は本当はそんな男じゃないんですよ。しょうもないことばっかやりますし(笑)。

生田:昔、関ジャニ∞が、「ANOTHER」っていう舞台を大阪でやってて、たまに東京からゲストでジュニアが呼ばれるんですよ。それで僕も何日間か出たことがあって、横(横山)が休憩時間に楽屋を案内してくれたんです。そうしたら曲のイントロが流れて、横が「俺、出番や!」って。

全員:(笑)。

生田:それで走っていって。「もう間に合わんやん」って。

横山:俺、あの時3階まで行くのめちゃくちゃ速かったで。

生田:きっと俺が来たから喜んでくれて、案内してたんだよね。

横山:僕らがお客さん呼べてないから、東京のジュニアに来てもらってたので、申し訳なさもあったんですよ。だから、もてなさなあかんって。

村上:本番終わってからでええねんけどな(笑)。

大倉:(笑)確かに。気遣ってたんやな。

大人のかっこよさ

──ファイナルの主題歌「稲妻ブルース」には、「成熟を感じる」と生田は話す。

生田:関ジャニ∞って20代の頃は前に前に出るエネルギッシュさがあったんだけど、この曲は「ド派手に行こうぜ」とか歌ってるのに、今までにはない大人のかっこよさを感じたんです。まいど!な時期を経て、グループとして成熟したんだなと思いました。

大倉:ファイナルで尻すぼみになるわけにはいかないので、これまでの勢いも汲みつつ、より男らしく派手な曲にしたいと思いました。歌詞で歌われている“絆”っていうのも、若い頃感じてたものとは違うし。

生田:「最高で最強のこのキズナ」って歌詞にグッとくるんです。玲二と兄貴分のパピヨンのことを歌っているようにも聞こえるし、関ジャニ∞と僕のことを歌っているようにも聞こえて。

村上:文字にするのは簡単ですけど、苦楽を共にした時間がないと、響き方って違いますからね。この曲はかなりディスカッションして作っていったので、映画サイドに随分待ってもらって、ようやく我々も納得できるデモが上がったんです。

生田:すごくこだわって作ってくれているのが伝わってうれしかった。僕らが映画にかけた思いと同じ、「前作に負けるわけにはいかない」っていう気合を感じました。

人との絆根底にある

──シリーズを通して仕事観、友情観、恋愛観などが描かれるが、一番共感するのはどんなことか。

安田:友情ですね。人間が生きる上で、友情は切っても切り離せないものだと思うけど、それがほどけてしまうこともある。でも、ちぎれかけたとしても、まだ友情が残っている可能性があって。そういう部分に打たれました。

丸山:3作全部“それぞれの正義”が描かれていますが、ファイナルはより強く感じました。自分が正しいと思ってやることが、ある人にとっては悪のこともある。それが思いもよらぬ展開になっていくのが刺さりました。

大倉:いろんな要素があるのに、それがごちゃごちゃせずにぐっとくるのは人との絆が根底に描かれているからだと思うし。僕らもライブを作っているけど、笑いあり涙ありで、全部を組み込むのはすごく難しい。でも、それが成立したエンタメになっているのが大好きなところで、それを熱く伝えられるのは斗真くんの説得力だと思います。

横山:斗真は義理人情に厚いし、お酒飲むとジャニーズのエンタメについて熱く語ったりする。そういう斗真の人柄が、玲二とリンクして人を引き付けるんやろうなって。毎回全裸になっているオープニングも斗真らしい。

生田:僕が一番共感したのは、パート1で玲二が童貞を捨てるシーンで果てそうになると、上司役の皆川猿時さんや遠藤憲一さんの顔を思い出してこらえようとするところですね。

全員:(笑)。

生田:あれは、男ならみんなわかるだろうっていう(笑)。

いまの「世界線」に感動

──シリーズのスタートから約8年。お互いどう進化したのか。

生田:オリンピックの番組で関ジャニ∞が歌ってヒナ(村上)が司会やっているのを観て、「どの世界線に来たんだろう」という不思議な気持ちになりました。オリンピックに感動しつつ、その光景にも感動するっていう。

村上:1作目の時は斗真に対して、「すごいな。おめでとう」という気持ちがありましたけど、ファイナルまでの8年の間にいろいろな経験をして、今ではこの作品の主役であることにそんなに驚きがない、というのが進化を表していると思います。

生田:自分では8年でどう成長できたのかわからないですけど、例えば膨大なセリフを覚える時とか、もうすぐ舞台の初日なのに「これじゃ間に合わない」と思う時とか、そうやって追い込まれる場面は何度かあったんです。でも、それを乗り越えてきた経験によって、もう「何とかなる」ってわかるんですよね。自分を信じる力は養ってこれたのかなと思います。

村上:確かに何が起きても驚かなくなってきたな。ハプニングがあっても、「あ、このパターンね」って思って動じなくなったし、実際何とかなってしまう。

生田:またオリンピックの話になっちゃうけど、(櫻井)翔くんも司会をやってて。生放送で「誰かが間に合わない」みたいな時は、昔だったらドキドキしながら観てたけど、もうドキドキしないもん。「絶対何とかするんだろうな」って。関ジャニ∞のみんなも修羅場をくぐってきた人たちだから、そのタフさはなかなか他のグループが勝てない部分だと思いますね。

村上:経験したくない修羅場もありましたけど(笑)、結果として糧になっていますからね。

(構成/ライター・小松香里)

※AERA 2021年11月29日号