5月16日から始まるNHKの夜ドラ「カナカナ」で主演を務める眞栄田郷敦さんがAERAに登場。映画「小さな恋のうた」で2019年に俳優デビューし、「カナカナ」で地上波初主演に挑戦する。AERA 2022年5月23日号から。

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 郷敦という名は父・千葉真一の筆名「GORDON」からだという。漢字の由来がずっと気になっていた。

「僕も母に聞いたんですが、『当て字』と言われました。物心ついた時からこの漢字なので、自分では『画数が多いな』くらいにしか思っていません(笑)」

 高校生まで音楽一筋。俳優には興味がなかった。父や兄(新田真剣佑)の出演作も知らず、映画もドラマも見ない生活。サックスのソリストとして学び、将来は演奏家になるつもりだった。ところが、東京藝術大学に不合格。

 失意の中で、父が兄の出演映画を見に誘ってくれた。それを機に新たな道が拓かれた。映画「小さな恋のうた」の脚本が送られてきて、父に促されるまま、オーディションとも顔合わせとも思える場で本読みすることに……。

「『もう断れないじゃん!』みたいな状況だったんです(笑)。俳優になると心を決める前に進んでしまった、というのが正直なところ。父が誘導した? 聞いたことはないですが、多分、そうなんでしょうね」

 デビュー作をきっかけに、俳優として進む覚悟を決めた。

「僕は器用ではありませんが、努力した分、成果が出ることが好きなんです。デビューしてから、演技は難しいな、できないことも多いなと思っていたのですが、昨夏の『プロミス・シンデレラ』から、やっと楽しいなと思えるようになりました。まだ新人なので、監督も新人の方と一緒に仕事をしてみたい。ぶつかり合いながら作品を作って、評価されたら楽しいだろうなと思っています」

 明るくこうも言う。

「ダンスは苦手。歌もうまくないです。アイドルは絶対できません(笑)」

苦手と言いつつ、ドラマのためとなればダンスにも挑戦する。

「今は全然できませんが、ミュージカルに出るとなったら、めっちゃ頑張ると思います(笑)」

 自分がいるべき場所を見つけ、仲間を重んじて進む──。そんな彼の話は「郷敦」という名前とぴったり重なった。

(フリーランス記者・坂口さゆり)

※AERA 2022年5月23日号