作家・コラムニスト、亀和田武氏が数ある雑誌の中から気になる一冊を取り上げる「マガジンの虎」。今回は「週刊漫画TIMES」(芳文社)。

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 毎田暖乃(まいだのの)が冬ドラマ「妻、小学生になる。」(TBS系)でみせた演技を覚えている視聴者は多いだろう。まだ10歳の少女が、堤真一や石田ゆり子、吉田羊などを相手に、遜色ない芝居で、嫌みなく泣かせ、笑わせてくれた。

 びっくりした。冬ドラマの最優秀女優はこの子だと、大袈裟でなく確信した。事故で亡くなった妻が、10年後に小学生となって夫(堤真一)たちの前に蘇る。堤真一とのテンポ良い掛け合いが、ユーモアと切なさを併せ持ち絶妙だった。

 あの傑作ドラマの原作掲載誌が「週刊漫画TIMES」だ。創刊は1956年11月。本邦初の週刊漫画誌だ。略称は「週漫」か「シューマン」。毎週金曜日発売の「週漫」7月8日号の巻頭カラーは、連載100話となった村田椰融(やゆう)「妻、小学生になる。」だ。

 半世紀超の歴史ある「週漫」からヒット作が出た。嬉しいねえ。創刊が50年代半ばだから、“大人漫画”の印象が強く、実態もそうだった。後の「ビッグコミック」や「漫画アクション」には青年誌のイメージがあったが、「週漫」は大人の漫画誌だった。時代の風潮で、戦前の軍部クーデターを描く、かわぐちかいじ「血染めの紋章」を載せたりしたが、例外だ。

 学生街の喫茶店には少年誌や「ビッグ」が置かれていたが、「週漫」や「漫画サンデー」(実業之日本社)、後発の「漫画ゴラク」(日本文芸社)は、大人が通う食堂や喫茶店で読んだ。漫画マニアは軽んじていたが、私は水道橋駅前の“漫画の殿堂”芳文社ビルを見るとホッとしたものだ。

 大人漫画の読者と漫画家が一定数いることが、この国の漫画を下支えしていたからだ。「信長のシェフ」も同誌掲載。この国には「週漫」と、それを置く喫茶店が必要なのだ。

※週刊朝日  2022年7月15日号