11月15日より、動画配信サービス「Netflix」で『逃走中 Battle Royal』が独占配信されることが明らかになった。これは、フジテレビのバラエティ番組『逃走中』をスケールアップさせたもの。2004年の放送開始以来、根強い人気があるこの番組が、ついに世界進出を果たすことになった。

『逃走中』は、「鬼ごっこ」のようなルールのアトラクション番組である。出演者である「逃走者」は、テーマパークなどの限られたエリアの中で、黒スーツにサングラスの「ハンター」と呼ばれる追手たちから必死で逃げ回る。最後まで逃げ切れば高額の賞金が手に入る。ゲーム中にはさまざまなミッションが与えられ、それをクリアすることでゲームを有利に進められる場合もある。

 また、逃走者は途中で「自首」をすることで、その時点までに加算された賞金だけを得てリタイアすることもできる。自分の利益だけを考えて自首をする態度の悪い出演者は、一部の視聴者からバッシングを受けることもある。

『逃走中』が根強い人気を博している理由はいくつかある。第一に挙げられるのは、ルールの単純明快さである。ハンターに見つからないように隠れたり逃げたりすればいいというこのゲームは「鬼ごっこ」と「かくれんぼ」のハイブリッドである。どちらも子どもの頃に誰でもやったことがあるものであり、細かい説明は不要だ。

『逃走中』は幅広い世代に人気があり、特に子どもや若者からは熱狂的な支持を得ている。その理由の1つは、ルールがシンプルでわかりやすいからだろう。

 また、この番組では、画面端に残り時間がカウントダウン表示されている。これが緊張感をもたらし、視聴者を画面に釘付けにする効果がある。しかも、残り時間と共に、それまでに積み上がった賞金額も表示されている。そこを見るだけでゲームの進行状況が一目瞭然だ。

『逃走中』に出演する人には、ある程度の運動神経が求められるので、若いタレントやアスリートが起用されることが多い。若手のアイドルや芸人はギャラの相場が安いし、同世代の若い視聴者にもウケが良い。しかも、ハンターから逃げ切らなければいけないという極限状況に追い込まれることで、出演者たちの素に近い姿が見られるというのも魅力である。

 さらに言えば、『逃走中』はテレビ局だからこそ作れるスケールの大きいコンテンツでもある。テーマパークや遊園地を丸ごと貸し切って、名のあるタレントやアスリートを多数揃えて、撮影や編集にも十分な予算と手間をかけなければ、これだけのものを作り上げることはできない。

 今の時代、YouTubeをはじめとする動画コンテンツは世の中にあふれているからこそ、それぞれのメディアの特性に合ったコンテンツ作りが求められる。価値があるテレビ番組とは、テレビでしか見られないものを提供する番組である。『逃走中』はそんな地上波テレビならではのハイクオリティな番組である。

 ここまでに挙げた『逃走中』が人気を博している理由というのは、世界で通用するコンテンツの条件にもそのまま当てはまる。そもそも単純なルールなので、言葉や文化の壁がなく、世界中の人が楽しむことができる。

 これまでにも、日本のテレビ業界からは『風雲!たけし城』『SASUKE』などのアトラクション番組が世界に進出して、ワールドワイドな人気を博してきた。Netflixでの配信をきっかけに『逃走中』がそこに続く可能性は十分ある。『逃走中』という凄腕のハンターが、世界中の人々の心を捉えるのも時間の問題だ。(お笑い評論家・ラリー遠田)