『人間みたいに生きている』(佐原ひかり、朝日新聞出版 1760円・税込み)の書評をお届けする。

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「食べられないことって、不幸なことなんでしょうか」

 食べるという行為に気持ち悪さを感じてしまう女子高生・三橋唯。自分の身体なのに自分ではどうしようもできない苦しさを抱えながら、あるとき町はずれの古い洋館に行きつく。そこには吸血鬼と噂される一人の青年が住んでいた──。

「だいたいの人は人間代表って顔で生きてる」。食べものを美味しく楽しく食べることは幸せで、そうできない人は不幸でかわいそうで、間違っているから治してあげなくてはいけない。でも、本当にそうだろうか。

 著者は第2回氷室冴子青春文学賞大賞を受賞し、デビュー。3作目となる本作で、本当は一人ひとり違うはずの「食べる」という行為に寄り添う。そして、違う人間がともに生きることを肯定する。「自分だけの身体を、それぞれの生を、生きながら」。(後藤明日香)

※週刊朝日  2022年11月25日号