猛暑を避けて山や海で過ごすのもいいが、自宅でくつろぐ人も多いだろう。熱中症を防ぐため、猛暑を吹き飛ばす最新の家電製品をうまく使いたい。涼を感じる冷菓を手作りできる商品も紹介する。

「扇風機は、どんどん進化しています。サーキュレーター機能を取り込み、一年中使える商品が増えました」

 そう話すのは、ビックカメラなんば店(大阪市)の島崎裕介さん。売り場には最新モデル60アイテムほどが並ぶ。見慣れた形の扇風機だが、よく見ると羽根が10枚近くついたもの、首が上下にも動く機種、レザーや木材を使った品もある。扇風機は、秋風が吹けば押し入れに片づけるものと思っていたが、最近はそうではないらしい。

 サーキュレーターとは、空気を循環させて室温を均一にする送風機の一種。エアコンと組み合わせて冬場も使う人が多い。

 扇風機は風を体に当てて涼むのが本来の用途。ただ、最近は羽根の形を工夫するなどして、サーキュレーターの機能も併せ持つ製品が増えた。今シーズンは特に、高さ50〜70センチのコンパクトな品が売れ筋という。設置場所を選ばず、持ち運びも簡単なためだ。

 シャープの「PJ−G2DBG」(税別の実売価格2万4350円、7月12日時点)は、衣類消臭モードつきで、部屋干しの洗濯物を乾燥できる。バッテリーを充電すれば、屋外でも使える。日立コンシューマ・マーケティングの「HEF−DCC10」(同1万7480円、同)は組み立ていらずで箱から出してすぐに使える。どちらの品も、上下左右に首振りできる。

 一年中使うことを考慮し、部屋の内装や家具と調和するように、これまでの扇風機とはひと味違う色や素材を使った品も目立つ。

 パナソニックの「RINTO(リント)」は、価格が10万円を超える高級扇風機。支柱部分に世界3大銘木の「ウォールナット」を採用し、猟銃メーカーの職人が加工した。サーキュレーター機能はないが、パナソニックの担当者は「インテリアとして、愛着を持って長く使ってもらえる商品をめざした」と話す。

 エアコンに押されて、影の薄かった扇風機。ここまで脚光を浴び、多彩な製品が発売されるようになったのは、2011年の東日本大震災がきっかけだ。

 日本電機工業会によると、出荷台数は震災後初の夏となった11年度、前年から約1.6倍の257万台と大きく伸びた。12年度も276万台に伸び、その後も売れ行きは安定している。

 扇風機復権の動きを持続させようと、メーカー各社は新商品開発に力を入れる。節電効果の高いDC(直流)モーター搭載の商品が増えたのも震災後だ。

 DCの製品は、きめ細かい風量調整もできる。やさしい微風からサーキュレーター機能に適した強風まで、機種によっては約30段階にも変えられる。羽根の枚数を増やしたり、チョウの羽や鳥の翼を参考に形状をデザインしたり、各社はアイデアを競い合う。

 長年使われてきたAC(交流)の扇風機が2千〜5千円前後なのに対し、DCは1万〜2万円前後が中心価格帯。ビックカメラなんば店では、販売台数でみるとAC搭載機が多いが、金額ベースではDCがACに迫る勢いという。

 今年のエアコンのトレンドはどうか。

 前出の島崎さんによると、部屋にいる一人ひとりの体温をセンサーなどで感知し、きめ細かく冷風を送る吹き分けタイプと、部屋全体に冷たい空気を行き渡らせて、快適な空間を作り出す気流重視タイプの2種類に大別されるという。

 リビング用(10畳)で、フィルターの掃除機能がついた商品のうち、売れ筋1位はパナソニック「Xシリーズ」。吹き分けと気流重視の両方の良さを採り入れたハイブリッド型だ。ダブル温度熱交換器を搭載し、例えば、部屋全体はマイルドな冷風、暑いと感じる人には冷たい風、といった具合に別の風を同時に送れる。

 2位の日立コンシューマ・マーケティングの「Xシリーズ」は、部屋にいる一人ひとりを識別して在室時間を特定するカメラを搭載している。それぞれの体感温度の変化を予測することで、風の吹き出しの方向や気流の温度を制御する。

 扇風機やエアコンだけでなく、かき氷器などで夏気分を満喫するのもよい。最近は、かき氷やアイスクリームを自宅で手軽に手作りできる製品が数多い。

 梅田ロフト(大阪市)の木橋育子さんは「台湾風スイーツかき氷が作れる製品などが、昨年に引き続き人気です。今年はアイスクリームマシンも充実しています」と話す。ジューサーやミキサーも含め、売り場には約50種の品が並ぶ。

 店頭での売れ筋1位は「電動ふわふわとろ雪かき氷器」。氷を薄くスライスして削れるため、口の中でとろける食感を楽しめる。フルーツなどの味付き氷を用意すれば、台湾風スイーツかき氷も簡単に作れる。

 2位の「大人の氷かき器」は筒状で持ちやすく、クールな見た目が特徴。レシピ集をつけて、味付きかき氷をアルコールドリンクや料理にトッピングする食べ方も提案している。

 5位の「きょろちゃん」は、ハンドルを回して氷を削るのに合わせて、目が左右に動く。1978年に発売された商品の復刻版で、40代以上の世代からは懐かしいという声も。

 3位に登場する「アイスクリームココット」は、アイスクリームを手作りできる面白グッズ。冷凍庫で冷やしたカップに、材料を入れてスプーンでかき混ぜるだけだ。自宅で、楽しみながら手軽に味わえる。

 4位の「アイスクリームメーカー」も、専用の保冷ポットを事前に冷凍庫で冷やして使う。素材をポットに入れると、電動でかき混ぜる。空気の入りやすい構造の回転刃を使っており、滑らかに仕上がるという。

 パステル調の色づかいや、凝ったデザインの商品が多く、専用のカップやポットはそのまま食器として盛り付けられる。

「作る過程などを写真に収めて、フェイスブックやツイッターでの発信を意識した、おしゃれな商品が人気です。若いカップルや女性同士で盛り上がっているようです」(前出の木橋さん)

 商品選びでも、今や“SNS映え”が欠かせないポイントのようだ。

※週刊朝日 2017年7月28日号