日本人は下手だと言われがちな「プレゼンテーション(プレゼン)」スキルが、次世代エリート教育で注目されているという。東京外国語大学教授で、『オックスフォード式 超一流の育て方』の著者でもある岡田昭人氏に、プレゼン力の磨き方について寄稿していただいた。

*  *  *
 最近人気の習い事は、コンピューターのプログラミングやAI(人工知能)のデザイン、また国際理解を目標とした英会話など、グローバル化する世界を意識している点が特徴です。

 そんな中、次世代のエリート教育として注目されているのが「プレゼンテーション」スキルです。

 一般的に日本人は人前で話すのが下手で、自分の意見を堂々と述べることに対し消極的であると言われています。その原因として日本人の自分自身に対する「自信」や「自己肯定感」の持ち方が大きく影響していると言われています。

 実際、近年内閣府が行った調査では、日本の子供・若者の「自己肯定感」が諸外国と比べて著しく低いことが分かりました。

 たとえば、「自分自身に満足していますか?」という質問では、「そう思う」「どちらかというとそう思う」と回答した割合が諸外国ではおよそ80%以上だったのに対し、日本の子供たちは48%しかなかったのです。

 日本人の課題である引っ込み思案にならずに、何か大きな目標を成し遂げるには、まずはプレゼンのスキルが不可欠であり、そのためにも、子どもにプレゼンに対する自信を持たせるための早期の訓練が肝心になります。

 アップル創業者の故スティーブ・ジョブズは超一流のプレゼン力を持っていました。聞く者全員を惹きつける高いスピーチ力やプレゼン力の本質は、聴衆の視点に立って、細かなところまで気を配ったシンプルさにあったとされます。

「自己肯定感」は0歳〜6歳ぐらいの間に土台が形成されるといわれ、その育成には特に親の接し方が重要とされています。日常生活で子どもにプレゼン力をつけるためには、自分の発想やアイデアを丁寧に説明する習慣を大事にすることです。

 国連に勤務するオランダ人の友人は、プレゼンの「名手」とよばれています。彼と子育てについて話していると、そうした優れた力を早期から伸ばす秘訣(ひけつ)があることに気付きました。

 子どもが何かを質問してきたときは、すぐに親が答えを言わないで、「君はどう思う?」と子どもに説明させるそうです。また絵を描いたり、工作を見せてきた時も、親が感想を口に出す前に、「それってどこが一番面白いと思う?」と聞いて、まず子どもに自分の言葉で説明させるそうです。

 また、彼は子どもが上手に工作をつくってもすぐに褒めないそうです。親が感想を言ってしまうと、「子どもは次から褒められるようにしか描かなくなってしまう」、というのが理由です。

「自分はどのように考え、工夫した」のかを、子どもが自分に向き合い、言葉で相手に理解させることが大切なのです。

 ここで意識したいポイントは2つあります。

 子どもは褒められないと自信ややる気がなくなることがあるので、親は子どもに対して「大切に思っているんだという実感」を持たせること。たとえ上手ではない作品であっても、「最後まで頑張ってやり遂げたという自信」を持たせることです。

 子どもの自己肯定感の形成に最も悪影響を与えることの一つは、親がその時の感情で子どもの作品などを評価してしまうことでしょう。

 子どもが期待通りのプレゼンテーションができなかったとしても、「何度やったら上手になるの!」「才能がない」などと親がイライラしたり、否定するような言動をとったりすれば、子どもはそれに合わせて自己肯定感を作ってしまうためです。

 日常の子どもとの会話ややり取りの中で、少し工夫を取り入れることで、プレゼン力を発揮するための「自己肯定感」を持たせることから始めましょう。(寄稿/岡田昭人)