夫で漫画家の吉田戦車さんと一人娘との爆笑生活、四十路オンナの妄想と迷走をつづり人気を博した伊藤理佐さんの『ステキな奥さん ぶはっ』。その第2弾『ステキな奥さん あはっ』から、2匹のネコが家族に加わった。ニューフェースが伊藤さんちにやってきたてん末、不本意(?)なデレデレ生活を聞いた。



――『ステキな奥さん あはっ』には、2匹のネコちゃんが登場します。

 一昨年に迎えたマツ(メス2歳)と、去年やってきたトラ(オス1歳)です。実はこの2匹は「二代目」。初代は、前の結婚時代に飼い始めたニャコとクロというネコでした。1歳違いで、どちらもペットショップ出身。離婚するときに1匹ずつ引き取る話も出たんですが、離したらかわいそうだからと、親権は2匹とも私がもらいました。

 ニャコもクロもよくしゃべるネコで、「仕事しろ」とか「大丈夫かよ」とか、いつも私にツッコミを入れてきた(笑)。今のネコはまだ若いからか全然しゃべらない。「にゃーん」「をーん」しか言いません。

 8年前にニャコが、そのあとを追うように翌年クロも旅立ちました。2匹とも18歳でした。ヨシダさんと結婚しムスメを妊娠し、私の新しい人生が始まるのを見届けて、「もういいんじゃね? あとはよろしく」と、まるでヨシダさんにバトンタッチするみたいに――。っていうのは、ちょっときれいごとにしすぎかな?(笑)。

――マツとトラを迎えた経緯は?

 いつかはまたネコと暮らすんだろうとは思っていました。ただ、次はペットショップで買うんじゃなくて、できれば娘が拾って来ないかなぁ、と。「運命」みたいなときが訪れるのを待っていたんです。ところが、なかなか拾ってこない。そんなとき、ヨシダさんの前の奥さんから「縁の下で野良の子ネコが生まれたからもらってくれない?」と電話があって。前の家族にええカッコしたかったようで(笑)、ヨシダさんがメス2匹を引き取って来ました。

 1匹は後ろ姿が松ぼっくりにそっくりだからマツ、もう1匹は白にちょんちょんとブチがあって豆大福みたいなのでフクと名付けました。残念ながらフクは小さいころに病気で亡くなってしまい、すごくがっかりしていたときに、西原理恵子さんから「今うちに野良の子ネコがいるよ」と写真が送られてきて。もらう気満々でカゴを抱えて飛んで行きました。そしてやって来たのが、トラ柄のトラです。

――2匹はどんなネコちゃんですか?

 マツはとにかく美形! 宅配のお兄さんにもヤクルトのお姉さんにも「美形ですねー」とほめられます。「カワイイ」と言うことはあっても、「美形」って心から思わなきゃなかなか言わないですよね? 「え〜、そんなことないですよぅ」とか言いながら、心の中じゃ「だろ?」(笑)。人生初の「家の中に美形がある暮らし」、完全にステージママ気分です。

 トラはアホすぎる。トイレの前にいるのに気づかずドアを開けたら、そのままの体勢で「べしょーん」とドアに引きずられて。ネコらしい俊敏さ皆無(笑)。無邪気で天真爛漫で、そんなトラが来たことでマツがちょっとツンツンするようになっちゃって。フクと一緒だったころは妹キャラだったのに。ネコって、ほかのネコや家族との関係性を読んで、そういう振る舞いをするんですよね。

 初代のときは「ちゃんとしつけしなきゃ」って思ってたんだけど、今は人間の子育てが忙しいんでネコはいいや、と。ヨシダさんも子ネコから飼うのが初めてでデレデレ。ニャコとクロとは違う無条件のかわいさがあって、不本意ながら私も自分で気持ち悪いぐらいデレデレしてます。もはや孫感覚(笑)。

――2匹が家族に加わって、ダンナさんや娘さんに変化は?

 マツが来たのは娘が5歳のときで、「妹ができた!」と大喜び。でもどんどんデカくなり、マツは娘に対して「こいつが家の中で一番ちっちぇな」っていう態度に。もう妹という感じじゃなくなりました。トラは相変わらずおバカだけど、体はしっかり大きくなって。娘は「あーあ、また私が一番小さくなっちゃったよ……」と舌打ちしてます(笑)。

 ヨシダさんはネコたちのごはんを仕切っています。その延長なのか、最近私たちの食事もヨシダさんが作るように。猫にごはんを食べさせたあと、「人間ごはんもできたよ!」「はーい!」みたいな(笑)。あとはトイレ。私、ネコのウンコを片付けたのって1回ぐらいしかないんです。ごはんの準備をしたりウンコを流したり、ヨシダさんがそうするように持っていった私はエラかったなぁ……って、どの口が言う!(笑)。

 ヨシダさんが気持ちよく作業できるように、オシャレで使いやすいトイレ砂用のスコップを用意したりはしています。お互いにちょっと相手がうれしくなることをし合って、「今日はオレがいい気分にさせてやったぜ」「今日はアタシが」と、日々負けられない戦いをしてますね。

――それが夫婦円満の秘訣?

 円満というより「仲良しプレー」ですね。ちっ! と思うことがあっても、仲のいい夫婦はこうするだろうというプレーをする。結婚したときにお互いいい歳だったし、2回目でもう失敗したくないっていうのもありました。だから「プレー」(笑)。すごく楽なんです。

――これからもマンガやエッセイで描かれる、人間3人&猫2匹のオモロい家族ネタが楽しみです。

 ネタを逃さないように、どんなに小さなネタも拾って培養して薄めて拡大して書いてます。月曜にうちで起きたことが金曜の新聞に載ったりして、ヨシダさんは「ネタがフレッシュすぎる!」と震えてる(笑)。そのぐらい追っかけられてます。

 なので、ネタのためにも初代みたいにマツとトラがしゃべるようにならんかなーと。早くこの私にツッコむトーク力を身につけてもらいたいものです。

(文/中津海麻子)