82歳の現役メイクアップアーティスト・小林照子さんのハリのある肌はもはや“奇跡”としか言いようがない。老けない人はたるまないために、毎日どんなケアをしているのだろうか。編集者・ライターの赤根千鶴子氏が取材した。



*  *  *
「一番大切なことは“美意識”を忘れないことだと思います」

 と、小林照子さん。キュッと口角の上がった華やかな笑顔。老け感を感じさせない肌。まさしく年齢不詳の女性である。

 そんな小林さんが大事にしているのが、この8カ条だ。

(1) 見かけのパワーを生かす
(2) 表現力を磨く
(3) 他人の視点から自分を発見する
(4) 自分に愛情を注ぐ
(5) 表情を豊かにする
(6) 年齢不詳になりましょう
(7) 直感を信じましょう
(8) なりたい自分になる

「美意識をいかに保ち続けるか、のヒントになるかと思います。年齢を重ねても毎日身ぎれいにすること、人から自分はどう見えるか、を意識することは、まず心にハリを生みます。心がたるまなければ外見もたるんでこないものです。美容という言葉は、美しい容貌と書くでしょう? これは決して女性のためだけにある言葉ではありません。ぜひ男性にも意識を向けていただけたらな、と思います」

 年齢を重ねると、誰でも全身の重心は下方にいく。そして目元も口元もたるんでくるのが当たり前だ。

「でも8カ条の5番にあげたように、表情がいつも豊かであれば、顔のたるみすら味方につけることができますよ。50代、60代になって普通にすましていると、どうしても不機嫌そうな“わけ知り顔”に見えて、周りに威圧感を与えてしまうもの。ましてや社会的地位が伴っている方は“ザ・重鎮顔”に見えて、人は話しかけづらくなってしまう。人が遠のいていくということは、仕事でもプライベートでも損ですよ。大事なのはいつも『い』を発音するときの口の形を意識することです」

 そうすると口角が上がり、笑顔に見える。

「これは口元のたるみ防止にもいいですよ。私自身、常に意識しています」

 そして小林さんからのもうひとつのアドバイスは、毎日頭皮マッサージをすることだ。顔と頭皮はつながっている。ゆえに頭皮を上にもみ上げるようにマッサージをすることは、顔全体のたるみを防止することにつながっているのだ。

「簡単な頭皮マッサージを二つ紹介しますね。これは毎日のシャンプー時に行ってみてください」

 まず最初に親指の付け根のふくらんだ部分をこめかみに当て、目がつるくらいに力を入れて引っ張り上げる。そしてそのまま力を入れながら上に引き上げ、後ろに向かってくるくるとゆっくり回していく。

「こめかみ周りをほぐすと、頭皮全体の血行がよくなります。メガネをかけている方は特に、こめかみ部分にコリや疲れがたまりがちです。一度ぜひお試しを」

 そして次に髪の中に手を入れて、地肌に指の腹を当てる。その指先に力を入れて、同じ箇所で円を描くようにゆっくり動かす。1カ所につき、3〜5秒が目安。少しずつ、指の位置を変えながら、頭全体をマッサージする。次に、5本の指の腹で頭皮をつまむ感じで、力を入れてパッと離す。それを5〜6回ほど繰り返す。

「時間的には2〜3分で結構です。シャンプーを少し泡立てたときに、この頭皮マッサージを実践してみてください。決してギューッと力をこめて頭皮を上に引き上げることはないのです。自分が心地よく感じる力加減で行ってくださいね。これだけでも頭皮のコリがとれ、血行がよくなり、健康な頭皮を保てます」

 頭皮の血行がよくなると毛穴も開き、頭皮のデトックス(毒出し)にもなる。

「毛髪は約10万本もあります。頭皮ではさかんに皮脂分泌が行われ、毛穴に汚れがへばりついています。これは毛髪の発育の妨げになり、抜け毛や薄毛にもつながります。予防のためにも、頭皮マッサージは毎日やりましょう。頭皮をもんで、皮脂の汚れを落とし、健康な髪も育てるのです」

 たるみケアで髪も若々しく。一石二鳥のケアで、顔の老け感など一挙に吹き飛んでしまいそうだ。

※週刊朝日 2017年7月28日号