7月2日投開票の東京都議選で、小池百合子都知事が率いる都民ファーストの会が圧勝した。自民党は過去最低の23議席で歴史的惨敗。しかし、都ファの候補者を支持した都内の地方議員は、快勝したのにやるせない気持ちだ。

「選挙での争点は結局、『小池支持か、そうじゃないか』だけ。東京もあと8年で人口減少が始まる。今から対策を考えるべきなのに、選挙で選択肢は示されなかった。問題を先送りしただけだった」

 この議員が嘆くように、東京も限界国家の道から逃れられるわけではない。25年に人口のピークを迎えた後、30年には4人に1人が65歳以上の高齢者だ。

 東京は、地方の人口減少に与える影響も大きい。

 表は、世界の先進国の首都圏の人口シェアの推移を示している。他国は大きく変化していないが、東京圏は60年からの半世紀で約11ポイント上昇した。首都圏は地方から若者を集めて肥大化しており、「人口のブラックホール現象」とも呼ばれる。東京の出生率は1.24。全国平均の1.44を下回り、全国最低だ。

 一方で、過疎地でも人口を増やしている自治体はある。「持続可能な地域社会総合研究所」の調査によると、全国で過疎指定を受けている794自治体のうち、約4割の325自治体で30代女性が増えているという。

 調査は、10年と15年の国勢調査を基に、10年の25〜34歳の女性と15年の30〜39歳の女性を比較した。約2.3倍に増えた鹿児島県十島村や、約1.5倍に増えた島根県海士町など、離島や山間部に増加率の高い自治体が目立つ。同研究所の藤山浩所長は「それぞれの地域に根ざした自分たちの生活を、よそ者を受け入れながら次世代に引き継ぐしくみづくりを早くから実践してきた地域が、女性の人口増につなげている」と分析する。

 農山村に移住した若者を取材する、農山漁村文化協会の甲斐良治氏は「今こそ限界集落に学ぶべきだ」と指摘する。

「人口という『数』を増やす対策をしても、人間の心に安心は生まれません。地域の人と移住者が一人ひとりの顔が見える関係になり、お互いの人生に向き合い、ともに信頼できる存在になってはじめて、持続可能性を感じ、安心した生活を送れる。その積み重ねが結果として人口増につながるのではないでしょうか」

 残された時間は少ない。日本人は、これまでの思い込みを捨て、決断をする時が近づいている。

※週刊朝日  2017年8月4日号