「趣味は何ですか?」。会話の糸口に聞かれることは多いもの。だが、これといって趣味がないと、この質問はプレッシャーだ。SNSにはリア充趣味に興じる様子がてんこ盛り。趣味界は、なんだかんだと悩ましい。インスタ映えを重視して「趣味偽装」する人、趣味仲間から抜けられずに苦しむ人もいるらしい。AERA 7月31日号ではそんな「趣味圧」の正体を探る。

 紆余曲折、疾風怒濤の人生を過ごしてきた趣味の達人たちにもインタビュー。その中からが陰謀論や都市伝説の探究が趣味だという、辛酸なめ子さんの趣味論を紹介する。

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 外資系企業に勤める知人男性は、同年代なのに老後に備えてピアノを習い始めました。「将来老人ホームに入った時にやることがないから」だそうです。友だちもいないみたいで、老後のことを考えるんでしょうが、随分、生き急いでいますよね。

 私自身もワーカホリック気味で、「仕事が趣味」みたいに生きてきたんです。ところが、7年ほど前、取材で米国人と雑談中、「趣味がない」というと、「なんて空しい人生だ」と憐れまれました。それから、仕事100%でないほうがいいのかな、と。

 職業柄、仕事とプライベートの境目がつきづらいので、合間にできることで、続いているのが陰謀論や都市伝説の探究です。セミナーに参加したり、陰謀話を集めたりしています。歴史や事件の裏側に黒幕がいるのでは、と考えるのは、世の中の真理を解明するようで、好きなんです。

 最近は、人工知能が人類を支配しているのではないかと疑っています。ちょっと煮詰まったときは、SiriやGoogleアシスタントに、話しかけています。人生について聞いたり、噂のキーワード「ゾルタクスゼイアン」や「イライザ」と言ってみたり。「違うだろー!」と豊田真由子議員のマネをしたときは、慇懃に謝られましたよ。

 仲間は、割といます。女友だちとか、映画番組の打ち上げでは某ラジオパーソナリティーと陰謀論で盛り上がりました。先日は、ある物理学者から、学者が欧州合同原子核研究機関(CERN)に集められ、ヨハネ・パウロ2世から地球滅亡について注意喚起された話を聞きました。すぐ友人にLINEを送りましたが、忙しかったみたいで、あまり反応がよくなかったですね。

 この趣味には、「調べすぎると消されるかも」というドキドキ感もあります。ある女性タレントは、調べすぎてホワイトハウスから警告がきたらしいです。

 臨死体験のある人や死後の世界を見た人からは、何かにとらわれていると、あの世でも同じことをやり続けていると聞きました。通勤し続けるサラリーマンや、試験勉強し続ける受験生、趣味でも、生け花をし続ける人や野球をし続ける人もいるらしいんです。

 やり過ぎはよくなくて、適度な距離感で、執着を持ちすぎないほうがいいんでしょうね。ギャンブルでもポケモンGOでも、度を越すと生活に支障が出て大変でしょう。趣味廃人にはならないほうがいい。エネルギーを使わずに、隙間でほどほどに、がいいんだと思います。

(構成/編集部・熊澤志保)

※AERA 2017年7月31日号