著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回、野球解説者・田淵幸一さんのたんや又兵衛の「牛タンステーキ」だ。

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 見るからにおいしそうでしょ。適度に脂がのったタンは、噛んだらカリッ、さくっ。次の瞬間じゅわっと。二階堂(焼酎)にカボスを入れたやつが合うんですよ。夏はロックで、冬は、お湯割りじゃなくてお燗で。

 ステーキはいつもコースの最後のほうで出てきてたんだけど、僕はこれに目がなくて、とにかく早く食べたい! いつだったか大将に言ったんですよ。「うまいものは最初に食べないと、舌が怒るよ!」って。そしたら僕の時だけ、先に出てくるようになった(笑)。

 そんなことが言えるぐらい、こことのお付き合いは長いです。初めて行ったのは26歳ぐらいだったかな。遠井吾郎さんに連れてきてもらって。タンの専門店なんて初めてで、あまりのおいしさに感激しましたね。以来、いろんな人とご一緒しました。おいしいものは、みんなにも喜んでもらいたいからね。

 常連も大将も、年とっちゃったからなあ。この味はぜひ、弟子に受け継いでもらいたいと思いますね。

「たんや又兵衛」大阪市中央区道頓堀1丁目東5‐21/営業時間:17:00〜21:00L.O./定休日:日祝

※週刊朝日 2017年8月4日号