エッセイスト、タレントとして活躍する小島慶子さんは、2014年、夫と2人の息子とともに拠点をオーストラリアに移した。子どもをバイリンガルに育てたい親にとって、憧れの海外移住。子どもは苦労しないのだろうか。AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2018」(朝日新聞出版)から、小島さんのインタビューを抜粋してお届けする。

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 小島慶子さんは、現在、オーストラリアのパースに生活の拠点を置く。2014年、夫が仕事を辞めたのをきっかけに家族で移住した。

「子どもたちには世界のどこでも生きていける力をつけてほしい。そのためには英語は必要だなと。私が出稼ぎすれば家はどこにあってもいいわけですから、じゃあ英語圏に住んじゃおうか! って」

 パースは小島さんが生まれた地でもある。調べると留学や教育移住している人も多かった。下見旅行に行くと夫も2人の息子もパースをとても気に入り、渡豪を決める。

 それまで子どもたちは週1回、英語教室に通っていたが、「英語で話しかけられてもビビらないよう音に慣れればいい、という程度。ゆるーく続けていた感じです」。移住直前に子どもたちは日本人講師の集中レッスンを受け、家族は新天地での生活をスタートさせた。長男が6年生、次男が3年生だった。

 現地では非英語圏から来た児童たちのためのIEC(インテンシブ・イングリッシュ・センター)を併設する公立小学校に入学。長期留学や移民、難民などさまざまな事情で英語が話せない世界35カ国の子どもたちと一緒に、集中的に英語教育を受けることに。

「日本の先生に教わった、“May I go to the bathroom?”(トイレ行っていいですか)をブツブツと繰り返しながら初日の教室に入っていく息子たちの姿に、私も夫も心配で半泣きに(笑)。でも迎えにいったら、もう友達もできていてホッとしました」

 息子たちは「ABCを読めるし書けるし自分の名前も言えるし、僕ら英語できるんだよ!」と胸を張ったという。

「クラス全員、英語が母語ではないので、最初に自信を持てたのはよかった。週1回でも英語に触れていたことは無駄じゃなかったんだ、と」

 1年間IECで英語を学び、長男は地元の中学校、次男は小学校へ。当時、言葉の壁や文化の違いで苦労があったかを尋ねると、兄弟は「ない」と口をそろえたという。

「二人とも臆さない性格が幸いしたのもありますが、息子たちがオーストラリアでの生活が嫌いにならないように夫が裏で心を砕き、いろいろとフォローしていたようです」

「うちにはオーストラリアが合っていた」と話す小島さんだが、安易な留学や教育移住には疑問を呈す。

「とにかく海外へ行けばいいという発想なら、やめたほうがいい。英語は日本でも学べます。多様性は身近なところにもあります。留学のメリットとデメリットを冷静に考えたうえで、子どもともきちんと話し合って決めるといいんじゃないかと思います」

(文/中津海麻子)