近年、葬式やお墓は、値段もスタイルも選択肢が増えてきました。先祖代々受け継がれてきた作法にのっとったうえで、「自分らしさ」を出すことも可能です。週刊朝日ムック『はじめての遺言・葬式・お墓』(朝日新聞出版)では、自分の葬式やお墓の準備について解説。残された家族も納得する葬式・お墓を準備しましょう。監修は葬祭カウンセラーの二村祐輔さんです。

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 自分の葬式やお墓について準備するといっても、何から手をつけていいかわからないという人も多いでしょう。そこで、元気な今のうちにやっておきたいことをリストアップしました。これを参考に、該当するものから順に手をつけましょう。

 まずは手配に時間がかかるお墓です。特に、田舎に先祖代々もしくは親のお墓がある場合、それをどうするかが出発点です。そこに入るつもりでいても、お墓には寺院などがもつ所有権と私たちがもつ使用権があり、基本的に両方の権利者の承諾がなければ入れません。権利関係を確認することが先決です。

 次に確認したいのが、菩提寺の有無とその宗派です。仏式で葬儀を行う場合、枕経を菩提寺の僧侶に頼むのが原則ですが、遠方で難しい場合は菩提寺から近くの同宗のお寺を紹介してもらえることもあります。戒名やお墓にも関わってくることなので、早めに確認しましょう。

 お墓をどうするかについては、自分の意思だけでなく、残される家族、特に次の世代である子どもたちの意向を考慮する必要があります。継承者を決め、相談しながら進めるのが原則です。具体的にはまず(1)田舎のお墓に入る、(2)お墓を新しく作る、(3)お墓をもたない、の三択から選びます。

(2)を選んだ場合、場所や形態を決めます。継承者がいない場合は、永代供養墓や納骨堂を検討してもいいでしょう。田舎のお墓が遠方にあり、(2)や(3)を選んだ場合は、現在のお墓を「墓じまい」「改葬」する方法もあります。

 ある程度、お墓のめどがついたら、今度は葬式の規模やスタイルを決め、希望に合った葬式ができる葬儀社を探しましょう。葬儀社を決めたら、自分の希望を伝え、見積もりを出してもらいます。プランに迷った場合は複数出してもらって、比較や調整をし、資金を用意。いざというときの段取りを喪主となる人に伝えておきます。

 あとはできるところから生前整理を始めましょう。特に田舎の空き家や長年住んだ家の整理は、判断力や体力のあるうちにしておかないと負担が大きくなります。必要に応じてプロの力も活用しましょう。最後に、エンディングノートなどに、お墓や葬式について決めたことや、さまざまな希望を書き記しておきましょう。

【元気な今のうちにやっておくべき8つのこと】

1.田舎のお墓の権利関係を確認する
お墓に入るかどうかを決める前に、お墓の権利関係を知る。お墓の権利は、墓地の所有権と使用権に分かれ、両方の権利者の承諾が必要。田舎のお墓を移すにも時間がかかるので、まず確認を。

2.菩提寺の宗派や護持会費を確認する
葬儀を仏式で行う場合、菩提寺の僧侶に読経を依頼するのが原則。その宗派や護持会費、年間管理料などを確認。戒名、作法なども宗旨宗派にのっとって行う。よそに頼む際も同宗同派が無難。

3.家族の意向を確かめ、継承者を決める
お墓をどうするかについては、長期にわたることなので、自分の意思だけでなく、残される家族の意向を確かめ、考慮して決める。長期にわたり供養をしてもらえる継承者を決め、相談して進める。いない場合は永代供養付きの納骨堂や合葬墓も選択肢に。

4.お墓の形態、場所を決める
まず(1)田舎のお墓に入る、(2)お墓を新しく作る、(3)お墓をもたない、の三択から決める。(1)なら自分が入る場合の段取りや費用を確認する。(2)ならどこにどんなお墓を建てるか、(3)ならどのような形態にするかを具体的に決めていく。

5.葬式の規模や手法を決める
お墓のめどがついたら、次は葬式。まず呼びたい人の範囲や人数を確認し、規模や手法を決める。葬儀に際して、菩提寺に依頼するなら、事前にお布施の目安を直接お尋ねし、心づもりしておきたい。

6.葬儀社を決め、費用を見積もる
希望に沿った葬式ができる葬儀社を探す。インターネットである程度情報収集できるが、実態の怪しいホームページもあるので要注意。できれば葬儀社が開くセミナーなどに足を運び、経営主体やスタッフの質などを自分の目で見極める。相談後、見積書を確認。

7.物品や人間関係を整理する
葬式やお墓の見通しが立ったら、生前整理に取りかかる。家具や物品の処分にはお金がかかるので、生前整理を請け負うリサイクル業者なども活用する。現役を退いたら年賀状やお歳暮・お中元などのやりとりも、お互い負担にならない程度に徐々に縮小へ。

8.自分の希望を書き記す
葬式やお墓のことはもちろん、病気の告知や介護、延命措置などについて、具体的な希望があれば、エンディングノートなどに書き記しておく。口頭だけでは不十分で誤解されやすいこともあるので、できれば覚書を残すなどが第一歩。

●日本葬祭アカデミー教務研究室代表・葬祭カウンセラー 二村祐輔さん
ふたむら・ゆうすけ/葬儀コンサルティング、講演活動などを展開。テレビでも活躍。葬儀社に約18年間勤務し、2000件以上の葬儀にかかわる。『60歳からのエンディングノート入門 わたしの葬儀・法要・相続』(東京堂出版)など著書多数

※週刊朝日ムック『はじめての遺言・葬式・お墓』より