お盆の帰省時は、親と今後についてじっくり話し合うチャンスだ。特にお金やお墓の問題は重要で、いざという時に困ったという意見も多い。後悔しないよう話し合ってみてはいかがでしょうか?

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 入院や介護、葬儀や墓には当然、費用がかかる。お金を用意する手順・準備はしっかり把握しておこう。

「母に暗証番号を聞いていなかったばかりに、相当苦労しました」

 と話すのは、埼玉県在住の堺信也さん(仮名・48歳)。末期がんで危篤に陥った母を前に、途方に暮れたという。母からは、「何かあったときのために」と、通帳や印鑑の場所は教えてもらっていたが、肝心の暗証番号を聞いていなかった。

「危篤状態の母に、暗証番号なんてとても聞けない。母の死後、相続するまで口座は凍結され、ようやく母のお金を手にしたのは2年後。自分の口座にお金がなかったら……と、生きた心地がしませんでした」

 親の資産(負債)は早めに把握しておく。口座情報や生活費の引き落とし口座、不動産や加入保険、株券や貸金庫の情報などだ。美術品や貴金属などは価値がわかる本人が現金に換えておくと良い。

 認知症などで判断能力が低下すると、自分で資産管理をするのが難しくなる。成年後見制度など各種制度について一度調べ、早めに対策をとるのも手だ。その対策として注目されているのが、財産管理について、親が子ども(家族)と信託契約を結ぶ「家族信託」だ。親が元気なうちから始めることができ、将来、親の判断能力が低下しても子は契約内容に沿って、入院費や介護に伴う交通費などを財産から出すことができる。

「父と早めに今後の生活費や相続について話をしたことで、資産全体を把握することができました」

 不動産会社「日本財託」(東京)のセミナーで、家族信託の制度について学んだA子さん(40代)はこう言う。

 福岡に住む父(70代)の介護のため、定期的に大阪から新幹線で行き来し、費用がかさんでいた。父と話し合い、認知症になる可能性も踏まえて、資産の半分を家族信託で管理するようにした。

「子どもに資産を管理されることに父も葛藤があったと思いますが、最終的には納得してくれました。親の不安を解消しながら進めていくことが大事。お金のことは早めに相談しておかないと、認知症になったり、倒れたりしてからでは遅いですから」

 お墓や葬儀についても準備しておこう。菩提寺やお墓の場所、継承者について確認を。それによって、どのようにお墓を守っていけばいいかがわかり、葬式や供養の手がかりになる。

「お墓は、親のためのものではなく、供養を続ける子どもや孫のためのもの。自分が負担にならない形を、親と一緒に考えておくと良いでしょう」(清水さん)

 葬式についても、希望があるか確認しておくと良い。親に、亡くなったときに連絡してほしい人、してほしくない人を聞いておくと、意向に沿った供養ができる。

「いざ葬式になって誰を呼ぶべきか困らないように、家系図を作り、6親等までの親族を把握しておくと、より安心です」(同)

※週刊朝日  2017年8月18−25号より抜粋