15歳の時に見知らぬ男に暴行されたことを、著書「よわむし」で明らかにした大塚咲さん(32)。東京・下北沢の本屋B&Bで8月10日、地下アイドルでライターの姫乃たまさん(24)と対談した。「魂の殺人」とも呼ばれる性的被害を受けたことをもとに、語った。

 大塚さんは暴行されたことで、幼いころから性的対象として見られていたことに改めて疑問を抱いた。小学3年生の時には公園で遊んでいて、大人の男性から髪にガムをつけられたこともあったという。

「性的な目で見られている子どもは多い。勘違いだと言われるのでガムのことを本に書くべきかどうか迷ったが、『小さい事件』だと片付けられることじゃない。子どもでも間違いなく不快だったし、書いた内容を見ても気持ち悪くてぞっとする。学校にも性的な目で見る先生がいた。子どもがすてきな心で育とうとしているのに、変なことして邪魔しちゃだめだよ。私だけのことじゃない。まわりでもそういう経験をした子はたくさんいる」

 姫乃さんは高校生の時に痴漢をされたことがあり、共感していた。

「私も子どもの時に性的な目で見られていた。実際みんなあると思う。小さい時に、後についてこられたこともあった。高校の制服で通学する電車では、行きも帰りも痴漢に遭ったことがある。同じ人じゃないからそれだけ人数が多いということ。自分が特殊だと感じていたが、女性に話を聞く機会があり、みんな体験していた。実は男性も多い。男性はまわりに言いにくく、警察に相談してもまともに対応してもらえない」

 対談は数十人の観客を前に行われた。アンケートで匿名の質問を募ったところ、幼いころに複数回性的被害を受けたという19歳の女性から、「どんなものが生きる糧でしたか」と問いかけがあった。大塚さんは暴行された状況を急に思いだす「フラッシュバック」といった、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんだことを念頭に、語りかけた。

「被害によってPTSDの症状が出ても、5年から10年ぐらいで症状自体は終わることが多い。私のように何か別のものに依存してしまう場合は、10年以上かかることもあるようです。私は当時、いつかは終わるということを知りたかった。いつまでこのままなんだろう、という思いがすごく強かった。いつになったら抜けるんだろうと。それを知っていれば、もうちょっと楽だったかな。いつかは抜けると思っているとどこか心強くなれる」

 これに対し姫乃さんは、

「いつ終わるのかという見通しが立つのは、すごく重要。以前はいまのようにネットなんかで情報を取れなかった。咲さんの本で知る子もいると思う。咲さんと同じ道をたどるのは大変ですけどね」

と述べた。

 大塚さんは「そうそう」と笑いながら、性的被害を受けた多くの女性向けに、こうアドバイスした。

「私のまねはしないで欲しい。性産業に行ったら救われるとか、勘違いされたらどうしようかなと思っていた。今現在いるんだったら別ですけどね。私は行動してしまうから、それで2次、3次の被害を受けて、訳がわからない状態になった。それをしないことが、心には一番いいことだと思う。突き進んで行き過ぎちゃ駄目。何でだと理由を探したり、何かに依存したり。自分の感覚が動いたまま行くと、またそこで新たな被害にあったり、いろんなことに巻き込まれたりする。そこは気をつけて欲しい。本を読んで『これをしちゃいけないのか』と、わかってくれればうれしい」(本誌・多田敏男)

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