いずれは訪れる自分の死。自分らしく旅立つために、また、いざというとき残された家族が困らないように、その方針や手立ては決めておきたいもの。週刊朝日ムック『はじめての遺言・葬式・お墓』(朝日新聞出版)では、自分の葬式やお墓の準備について解説。新しくお墓を建てるときに知っておきたいことを紹介します。監修は葬祭カウンセラーの二村祐輔さんです。

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 新しくお墓を建てる場合のプロセスは、まず墓地を決め、使用権を取得するための契約をして、永代使用料などを支払います。すると、墓地の使用許可証が交付され、年間管理料が支払われている限り代々受け継ぐことができます。

 墓地を選ぶ際、いくつかの候補を決めたら、料金や立地条件などを比較検討しましょう。交通アクセスや周辺環境、設備、管理状態などは、必ず自分の目で確かめることです。

お墓は長年にわたって維持されなければならないものなので、ホームページなどで経営主体もよく確認しておきましょう。

墓地の区画が決まれば、石材店に依頼し、建墓の施工を委託します。墓石は安価な外国産から国産の高級素材まで、種類や値段もさまざま。保証期間を確認し、予算に応じて選びます。

石材店の中には「激安」をうたったり、墓地の永代使用料と墓石、建立費用をセットにして売り出したりするところもあります。

お墓を建てた後も納骨式やメンテナンスなどでお世話になるので、信頼できる石材店を探しましょう。民間霊園や寺院墓地では何軒かの石材店が指定されていることが多いので、その中から比較して選びます。

お墓の形は昔ながらの和型が主流ですが、公園墓地などでは洋型や自由なデザインのものも増えています。

また、刻む文字は比較的自由に選べ、最近は従来型の「◯◯家之墓」ではなく、「夢」や「感謝」といった抽象的な言葉を入れるのがはやりつつあります。ただ、墓地によっては景観上の統一や制約を設けているところもあります。

お墓を建てる場合、墓地の永代使用料のほか、年間管理料、墓石建立費がかかります。いざ納骨するとなると開眼法要や納骨式の費用も必要です。【図】の目安を参考に、これらの資金をトータルで考えておきましょう。

■お墓を建てない場合も配慮が必要

残された人たちの後々の負担を考え、思い切ってお墓をもたないという選択肢もあります。実際、交通アクセスのいい永代供養墓や納骨堂は、都会を中心に人気を集めています。

また、後の心配がない散骨を希望する人も増えています。しかし、散骨するとお墓のように手を合わせる対象がなくなり、残された遺族の心のよりどころや、家族のつながりが失われるという不安もあります。

そのあたりを考慮し、お骨の一部をネックレスなど別の形に変えて身につけたり、保管したりする「手元供養」という方法も注目されています。以上のように、さまざまな形態や方法を選べる時代です。家族で納得のいくまで話し合い、自分たちに合ったお墓の形を見つけましょう。

なお、故郷にお墓があってもそこに入らない選択をした場合、現在のお墓を「墓じまい」「改葬」する方法もあります。所定の手続きが必要になるので、早めに確認しておきましょう。

●日本葬祭アカデミー教務研究室代表・葬祭カウンセラー
二村祐輔(ふたむら・ゆうすけ)
葬儀コンサルティング、講演活動などを展開。テレビでも活躍。葬儀社に約18年間勤務し、2000件以上の葬儀にかかわる。『60歳からのエンディングノート入門 わたしの葬儀・法要・相続』(東京堂出版)など著書多数

※週刊朝日ムック『はじめての遺言・葬式・お墓』より