最近、店頭でよく見かける「カフェインレス」「デカフェ」という言葉。消費者の健康志向が高まる中、薄くてイマイチだった味も美味しくなっている。

 神奈川在住の女性(35)は、今年6月に出産した。妊娠期間中は、カフェインの摂取を控え、「家でも外でもなるべく“デカフェ”を選んでいた」と言う。



 カフェインは神経を興奮させる作用があるため、朝の目覚ましなどには効果的だ。しかし、過剰摂取すると心拍数の増加や不眠が起こるとされるため、胎児の低体重などの影響を考えてカフェインを控える妊婦は多い。

「デカフェ」とは、コーヒーや紅茶などからカフェインを取り除いた飲み物のことで、「カフェインフリー」や「カフェインレス」とも呼ばれている。

 消費量が増えている背景には、「健康志向の高まりがある」と分析するのは、キリンビバレッジ マーケティング部商品担当主任の松井のり子さんだ。同社は今年8月、「午後の紅茶 ストレートティー デカフェ」を発売した。デカフェの認知度をより広めるため、午後の紅茶シリーズと同じ価格に設定。メインターゲットは、出産を経験する子育て世代としている。

“コーヒー豆”からカフェインを抜く従来の方法ではなく、“抽出液”からカフェインを抜く技術で特許を取得。そのため、緑茶などにも適用でき、従来では難しかった「生茶」のデカフェも可能になったという。

 デカフェは味がイマイチというイメージも変わりつつある。「味が好きでカフェインレスのラテを選ぶ方も多い」と話すのは、ローソン商品本部デリカ・FF商品部の山田英臣さん。通常より焙煎を浅くし、ミルクの甘みを引き立てているという。記者も飲んでみたが、デカフェのほうがクリーミーだった。

 同社は今年5月に「カフェインレスシリーズ」のコーヒーを発売した。「ブラックコーヒーのほうは濃い風味にしました。『カフェインレスは味が薄い』と思われたくなかったので」と山田さん。デカフェを買い求める人はコーヒーの苦みも欲しているはずと分析した。

 2011年に店頭で淹れたてのコーヒーを提供する「マチカフェ」を始めた。現在、大手コンビニでは唯一、淹れたてのデカフェを提供している。

 一方、98年から「ディカフェドリップコーヒー」を販売しているのはスターバックス コーヒー ジャパンだ。担当のコーヒー部の柴田俊和さんは大学時代、東京・日比谷の店舗でアルバイトをしていた。そこで外国人客からデカフェコーヒーの注文を受けることもあり、「気分や時間帯によって、飲み分ける楽しみ方を、外国人はすでに知っていた」と振り返る。

 同社は今年1月、デカフェのエスプレッソを発売。専用の豆を使うことで、香りや風味を残したままカフェインを取り除くことに成功した。注文者は30〜40代の女性が多く、通常のコーヒーやラテと色や味の違いがないのがポイントだ。

「お客様には“お気に入りの味”があり、それを変えずに提供することにこだわった」(柴田さん)

 記者が初めてデカフェを飲んだのは02年の米国。「薄くて美味しくない」が正直な感想だったが、これほど進化しているとは! これからは一味違ったブレークタイムを味わうことができそうだ。(編集部・小野ヒデコ)

※AERA 2017年12月4日号