朝日新聞朝刊にて連載中の4コマ漫画「ののちゃん」。この年末、ののちゃんが暮らす山田家で相続をテーマに家族会議が開かれた。母まつ子(40)には気になっていることがあるという。

*  *  *
 まつ子は、数日前にテレビで見た報道番組を思い出した。価値のない山林が放置されたり、実家が空き家になったりして問題になっているという内容だった。価値の低い山林や、誰も住まなくなることが予想される家が遺産に含まれる場合、その相続を放棄すると、それ以外の価値の高い財産も同時に放棄しないといけない。相続財産の一部だけを放棄することはできないという話だった。

 こうした山林や空き家の所有者に、財産を相続する相手(相続人)が一人もいなければ、最終的には国庫に入る。ただ、相続人がいるなら、それは相続した上で、不要であれば売るしかない。自治体に買い取ってほしいと要請はできるが、利用価値がないと買ってくれないし、もちろん寄付として誰かに押しつけることもできない。

 では、どうするのか。専門家の弁護士によれば、複数の相続人がいる場合は、「ほかの相続人よりも現金を多めに相続する代わりに、山林や空き家も相続し、二束三文で売り飛ばすケースが多い」。少子化の影響で相続人の数が減少すれば、こうした問題はますます増える可能性があると、弁護士は話した。

まつ子「財産がぎょうさんあるのも、逆に問題やなぁ。うちは貧乏でよかったわ」

 その言葉を聞きながら、父たかし(40)はネット銀行に預けたへそくりを思い出した。見つからないように、誰にも漏らしていない。しかし、自分が死んだらどうなるか……。不安になって弁護士に質問したところ、手続き自体は街に店舗を構える銀行と同じ。ただ、通帳がないだけに相続人が口座の存在に気づかないケースも大いにあるという。相続が完了した後に発見されると、その分だけ新たに手続きが必要になるという。

たかし「いまのうちに白状するか……」

祖母しげ(70)「なんや? へそくりでもあるんか? うちは、この家以外、山林も土地もあらへんやろ。あっ、お墓はどないすんねん」

たかし「お墓などの祭祀財産は相続財産には含まれないので、安心してください。ただ、先祖代々のお墓は、しっかりと管理する人が必要だから、だれが継承するのかは決めないといけないですね」

兄のぼる(中2)「おばあちゃんは元気だから、まだまだ、お墓のことは考えなくても大丈夫。ますます長生きしてくれなきゃ」

まつ子「そやで〜。おじいちゃんは早かったから。漫画が始まった時点で死んでたからなぁ。亡くなったおじいちゃんの分も、長生きしてや」

(編集部・山本大輔、江畠俊彦)

※AERA 2017年12月25日号より抜粋