ママ一人で子どもの世話をする「ワンオペ育児」。日本ではなぜこんなことが起きるのでしょうか。働き方、日本の子育て文化などに理由があるようです。9月10日発売のアエラムック「AERA with Baby スペシャル保存版 母子ふたりきりって大変!」では、その背景を探りました。

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 ママは7時間34分、パパは1時間23分――。これ、何の時間だかわかりますか。

 6歳未満の子どもがいる夫婦の1日の家事・育児時間です。なんと、ママはパパの6倍近くも、家事や育児をしているんですね。

 そもそも日本のママたちは、欧米のママに比べて家事や育児に時間をかけているようです。フランスは5時間49分、アメリカは5時間40分、スウェーデンは5時間29分ですから、日本のママたちは欧米のママよりも1日2時間ほど長いことがわかります。

 その逆に、日本のパパが家事・育児をする時間は4カ国中で最も短い1時間23分。スウェーデンが3時間21分、アメリカが3時間10分、フランスが2時間30分と聞くと、グチも言いたくなります。

 では、パパの意識の低さが問題なのかというと、そうともかぎらないようです。

 ヨーロッパと比べて労働時間の長い日本では、1日の大部分を仕事に費やすため、パパが家事や育児に参加したいと思ってもかなわないケースもあります。残業を終えて帰宅する頃、子どもはそろそろオネムの時間、もしくはすでに夢の中、なんてことも珍しくありません。必然的に、ママが保育園にお迎えに行き、食事を作ってお風呂に入れて、寝かしつけまでひとりですることになります。

 一方、フランスは労働時間が週35時間と定められていて、残業も1日平均1〜2時間しかできません。週5日勤務だと1日7時間の労働ですから、朝9時から働いてお昼休憩をとっても、夕方5時には仕事を終えられます。さらに夏休みが4週間、冬休みが1週間もあることが多く、パパも子育てや家事に十分に参加できます。

 スウェーデンは労働時間が短いうえに、育児休業が充実しています。パパ・ママ合わせて480日分の育児休業が取得できて、そのうち90日は相手に譲ることができないので、パパも育児休業を利用することになります。その取得率はなんと9割。日本のパパの育児休暇取得率は5.14%です。

 アメリカは日本と同じように労働時間の長い国ですが、フレックスタイムやテレワークなどが導入されフレキシブルな働き方ができるため、子どもとの時間を確保できているようです。

 仕事に忙しいパパには頼れず、かといってほかに頼る人がいないのもワンオペ育児の要因。日本の核家族化は進んでおり、総務省の統計データを見ると、6歳児未満の子どもがいる家庭の核家族率は8割超に達します。地元から離れて都心部で暮らしていれば、実家の両親には頼れません。

 ベビーシッターの利用率が低いのも日本の特徴です。その利用率は、たった2.10%! 最も利用率が高いアメリカは41.30%ですから、雲泥の差。フランスは17.10%、スウェーデンは11.50%で、日本とは比べ物になりません。

 欧米では、生後数カ月を過ぎれば、ママが子どもを預けて自分の時間を作るのは普通のことです。働いている人だけでなく、専業主婦のママだってベビーシッターを利用して、夫婦2人で食事に出かけることもあります。

 日本でベビーシッターが普及しないのは、大切な子どもを他人に任せたくないというママ自身の気持ちや、価格の高さなどが理由に挙げられます。ただ、有名タレントのベビーシッター利用がなにかと批判されがちな風潮を見ると、ママが子どもを預けて自分の時間を作ること自体にネガティブな印象をもつ人がいることは否定できません。

 こう見てくると、誰にも頼れないのが、日本の育児の現状です。専業主婦のママは、ずっと自宅で子どもとふたりきりの時間を過ごし疲れ切ってしまいます。また、働いているママも、仕事で激務に追われた後、自宅でも子育てに1人で奮闘し、イライラが募ってしまいます。

 そんなつらい状況はどう改善したらいいのでしょうか。

 本来なら、社会が変わるのが一番です。もちろん徐々に状況は変わりつつありますが、一朝一夕に望ましい状況にはなりません。ママたちが必要以上に追い込まれることなく、少しでも楽になる方法を考えたいですね。

(ライター・梶野佐智子)