ぽっこりおなかにたまっている内臓脂肪。その原因は脂質の摂りすぎではなく、糖質の過剰摂取にある。どんな食事やエクササイズをすれば内臓脂肪を減らせるのか。ライフジャーナリスト・赤根千鶴子氏が専門家に聞いた。



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 冬なのであたたかいスープを日々の食事に取り入れている人も多いことだろう。そこで管理栄養士の牧野直子さんには“内臓脂肪をつきにくくするスープ”を提案してもらった。「もずくと豆腐のサンラータン風」は、市販のもずく酢と豆腐ですぐできる。

「豆腐は木綿でも絹ごしでもどちらでもかまいません。もずくは海藻類ですから食物繊維が豊富。低カロリーなのもいいですね。また酢に含まれる酢酸(さくさん)は、加熱してもこわれず、内臓脂肪の減少に働くことがわかっています。ちょっとすっぱいスープとして味わってみてください。溶き卵を入れて、かき玉スープにしてもおいしいですよ」

「もち麦ときのこのスープ」は、食物繊維豊富なもち麦、しめじ、ブロッコリーでつくるコンソメ風味のスープだ。もち麦は大麦の一種。食物繊維の含有量はなんと白米の25倍である。

「もち麦に含まれている水溶性食物繊維『β(ベータ)‐グルカン』は糖質の吸収を抑える働きがあることで知られています。もち麦はゆでて保存容器などに入れておくと、サラダやスープにすぐに使うことができるので便利です。冷蔵庫保存で3〜4日のうちに使い切るのがよいと思います。あるいはゆでてから小分けにして、冷凍しておいてもいいでしょう」

 ブロッコリーも食物繊維が豊富。夏ならば、野菜はモロヘイヤに変えてもいいと牧野さんは言う。

「モロヘイヤもブロッコリーと同じように、食物繊維は豊富・糖質は少なめという野菜ですから。もち麦は腹もちがいいので、このスープに卵も割り入れれば、これだけで十分満足できるおかずスープになります」

「千切り野菜のトマトスープ」は無塩のトマトジュースと市販のカット野菜で作る超・簡単スープ。

「トマトにも、内臓脂肪を増やしにくくする働きがあることが最近の研究でわかってきています。あわせて摂取したいのは、やはり食物繊維が豊富な野菜です。いまはスーパーでもコンビニでも、千切りキャベツなどのカット野菜はいろいろ売っています。そういったものを利用すれば、本当にあっというまにできてしまうスープです」

 スープは三つとも食物繊維たっぷりで、ローカロリー、低糖質。

「朝、昼、晩、いつ食べていただいてもいいスープです。スープはからだもあたためてくれますから、冬の食習慣として活用していただきたいですね」

 最後に、内臓脂肪を落とすための簡単エクササイズを教えてくれたのは、糖尿病内科・ダイエット外来専門の工藤孝文医師だ。用意するのは椅子だけでいい。そしてその椅子に7秒かけてすわり、1秒で立ち上がる、を繰り返すのだ。

「この“7秒かけてすわる”エクササイズを行うのは、NEAT(Non‐Exercise Activity Thermogenesis)を増やすためです。NEATとは、階段の上り下りや家事など、運動とは言えないような日常生活の活動によって消費されるエネルギーのこと。激しい運動はなかなか続かないこともありますが、こうした簡単な動作であれば、ご高齢の方でも続けやすいでしょう」

 7秒かけてすわると、太ももやお尻、おなか、背中などの大きな筋肉も鍛えられる。そして筋肉量が増えると基礎代謝(生命維持のために用いられる、必要最小限のエネルギー消費)も増え、太りにくいからだづくりにつながるのだ。

「実は筋肉量が増えると、血糖値も上がりづらくなるのです。なぜなら筋肉は多くの血糖を必要とする組織なので、筋肉が大きくなれば血中からの糖の取り込みは増えますよね。そのため血糖値は上がりづらくなり、内臓脂肪とも縁を切ることができるのです」

 それではエクササイズを始めてみよう。まず、両足のつま先は少し外側に向けて、背筋をスッと伸ばして、かかとに重心をかけるようにして椅子の前に立つ。そして両腕を肩の高さまで上げる。

「腕に力を入れる必要はありませんが、背筋はよりまっすぐにして、おなかはなるべくへこませるよう意識してください」

 そして上半身をまっすぐに伸ばしたまま七つ数えていく。このとき下半身に負荷がかかるようにゆっくり椅子にすわる。そして座面にお尻がついたら、1秒で立ち上がる。

「7秒かけてすわり、1秒で立ち上がる。この動きをセットで10回行ってみてください。7秒かけて椅子にすわるのはちょっと太ももに負担がかかってキツイと感じる方もいらっしゃるかもしれません。その場合は最初から無理をすることはありません」

 初めは3秒、あるいは5秒かけてすわり1秒で立ち上がるのでもかまわない。まずは10回続けて行えることが大事なのだ。

「そしてエクササイズを毎日続けていくには、できれば朝、晩の歯磨きのときなどに行うようにするのがいいですね。特別に『これをやらないといけない』と思うとどこかで面倒くさくなったりするものです。でも日常生活の中で必ず行うこととセットにしておけば、気持ちの負担にならずに長続きするものですよ」

 過剰なものはセーブする。そして足りないものは補っていく。そんな意識を持って生活をコントロールしていくことこそが、健康の維持増進につながるのである。

■管理栄養士が考えた内臓脂肪をつきにくくするスープ

「もずくと豆腐のサンラータン風」
【材料】(2人分)市販もずく酢2パック、水1と1/2カップ、鶏ガラスープの素 小さじ1、豆腐1/4丁(さいの目に切る)、小ねぎ2本(小口切り)、塩少々、ラー油、酢 各好み

【作り方】(1)鍋に水、鶏ガラスープの素を入れて温め、煮立ったら市販もずく酢、豆腐を加える。(2)煮立ったら塩で味を調え、小ねぎ、好みの量のラー油や酢を加える。

「千切り野菜のトマトスープ」
【材料】(2人分)市販カット野菜(千切りキャベツ)100g、オリーブ油大さじ1、トマトジュース(無塩)1と1/2カップ、水1/2カップ、コンソメ顆粒大さじ1/2、塩、胡椒、粗びき胡椒、粉チーズ、パセリのみじん切り各少々

【作り方】(1)鍋にオリーブ油を熱し、千切り野菜を炒め、水、コンソメ顆粒、トマトジュースを加え、ひと煮して塩、胡椒で味を調える。粗びき胡椒、粉チーズ等をふる。

「もち麦ときのこのスープ」
【材料】(2人分)ゆでたもち麦75g(*もち麦30gを沸騰した湯で15分ゆでると75gに)、しめじ小1/2パック(石突きを切り落としてほぐす)、小房に分けたブロッコリー4個(ラップで包んで600Wのレンジで40秒加熱)、水2と1/2カップ、コンソメ顆粒小さじ2、卵2個、塩、黒粗びき胡椒各少々

【作り方】(1)鍋に水、コンソメ顆粒を入れて煮立て、もち麦、しめじ、ブロッコリーを加え、煮えたら塩で味を調え、黒胡椒をふる。卵を割り入れれば1皿でもOKのボリュームスープに。

■「7秒かけてすわるエクササイズ」も取り入れてみよう

(1)まず椅子を用意して、その前に立つ。両腕を肩の高さまで上げて、背筋を伸ばす。
(2)声を出して七つまで数えながら、ゆっくり椅子に腰を下ろす。椅子にお尻がついたら、1秒で立ち上がる。(1)(2)をセットで10回繰り返す。

※週刊朝日  2019年12月6日号より抜粋