4人の子ども全員が東大理IIIに合格した佐藤ママこと佐藤亮子さんによる、受験生とその親を応援する短期集中連載。第4回は「『大番くるわせ』と『奇跡』の違い」と題してお送りする。

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 国公立大学志望の受験生のみなさん、私立大学志望で「センター利用入試」を受験するみなさん、センター試験の受験お疲れさまでした。今は、もう志望大学の過去問を始めていると思います。



 近年は、浪人を敬遠する「安全志向」が強いようです。しかも、今年はセンター試験が最後で、浪人すると大学入学共通テストで受験することになります。そのため、例年以上に受験生の安全志向が強くなるといわれています。第1志望の大学に出願すべきかどうか迷っている受験生も多いのではないでしょうか。

 大学受験に関する考え方はさまざまです。「堅実に」「挑戦して」「無謀な」「安全に」などなど、人生の方向を決めるような事態には、相反する言葉が頭の中をぐるぐる回るもの。どの言葉に飛びつくか、どの言葉を敬遠するかはあなた次第でしょう。後悔のない人生などはありません。「後悔もまた良し」と考えるのか、「ご縁のある場所で早く前に進みたい」と思うのか。どちらが正解ということはありません。

 しかし、目の前に厳然と存在するセンターの点数の扱いは真剣に考えることが大切です。その点数を自ら背負い、次の受験に臨まなければならないからです。どのような覚悟で歩く方向を決めたかは、受験後、自ら説明できるようにしておくこと。「なぜ」と聞かれたときに「なんとなく」としか答えられない場合、大学受験をいい人生経験にしたとはいえません。

 毎年、「大番くるわせ」と思われる合格も確かにあります。でも、それはそれなりの実力が本番直前についている場合です。受験には「奇跡」は起こりません。合格には、センターの点数を引いて、2次であと何点取ったら合格できるのか、その点数はどの科目で何点取ればいいのかを、具体的に計算してみてください。その点数を模試などで一度でも取った経験があるのでしたら、不安は振り切って憧れの大学を目指して必死に走りきることです。

 受験生の多くは20歳前です。この年齢のときは何も失うものはありませんよ。若さも体力もあるのですから。経験を積んだ大人はみんないいます。「やらないで後悔するよりやって後悔したほうがいい」とね。

 予備校の判定をみて、2段階選抜で2次試験を受験できないことがほぼ確実な場合、志望変更はするべきでしょう。でも、難易度が少し低い大学に出願したからといって、気をぬくのは厳禁です。安全志向で出願した途端にテンションが下がり、「志望校を下げたのに不合格になった」というのは、よく耳にします。

 どの大学でも、そこが第1志望で絶対に合格して進学したいと思っている受験生は必ずいます。そのような受験生は過去問を解いてしっかり準備しているので、甘い気持ちで受けに行っても勝ち目はありません。

 わが家の場合、東大理IIIを目指していた次男が、秋の判定がよくなかったため、「理Iに変更しようかな」と、少し弱気になったことがありますが、私は、「そんな変更は意味がない」と理IIIから志望は変えさせませんでした。

 結局、次男は東大入試まで1日15時間以上の準備をして、現役で東大理IIIに合格することができました。

 この時期はある程度のチャレンジ精神はモチベーションを上げますので、できるだけ第1志望に合格できるような受験日程を組み、親御さんは励ましてあげてください。今から次々と私学入試が行われ、国公立の2次試験も1カ月後にあります。過去問をひたすら解き、自信を持って受験に堂々と立ち向かってください。

(構成/庄村敦子)

※週刊朝日  2020年1月31日号