家電の省エネ対策で削減できるCO2排出量。さらにもう一歩踏み込むなら、使用する電力を再生可能エネルギーで発電された電力サービスに切り替えることもできる。AERA2020年2月3日号では、エネルギーシフトについて紹介する。



*  *  *
 1人当たりの家庭でのCO2排出量は、年間2050kg‐CO2。用途別で見ると、照明や家電製品、冷暖房が半数を占める。たとえば、いま省エネ対策をほとんどしていない人が、チャートで示した「1年間で減らせるCO2」をすべて実行すれば、年間500kg‐CO2以上の削減につながる。

 さらにCO2排出量を減らすのなら、家庭で使用する電力を再生可能エネルギーで発電された電力に変えるのが近道だ。

 CO2排出量は、発電方法によって大きく異なる。石油、石炭、ガスなどの化石燃料による発電はCO2を大量に排出するが、太陽光や風力などの自然エネルギーによる発電は、CO2を排出しない。16年の電力小売り全面自由化以降、自然エネルギーに取り組む新電力も現れた。例えば「ネクストエナジー・アンド・リソース」はグリーン電力証書を利用し、100%自然エネルギー電力を提供する。自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長はこう言う。

「太陽光、風力などの自然エネルギーはつきることのないエネルギーで、CO2を排出しない。発電のための燃料費がいらないので、本来は化石燃料や原子力の発電より安いはず。海外ではすでにそうなっています」

 新電力のサービスを比較できる「エネチェンジ」のサイトでは「発電手段の割合を公表」「再生可能エネルギーで発電」という検索条件でもサービスを探すことができる。

 また、食品や日用品を組合で共同購入する生活クラブ生協では、16年から組合員に向けての電力供給を行っている。

「食べ物と同様、電気も作り方や中身がわかることが大事だと思ったからです」(生活クラブ事業連合生活協同組合連合会企画部企画課の渡辺繁美課長)

 生活クラブ生協は地域の生産者の協力やこれまでのネットワークを生かしながら自然エネルギーの電気を調達してきた。その発電所の数は、全国で62カ所。電気料金は各電力会社と同等額で、万一電力が不足した場合はパートナーの電力会社などから供給を受けるため停電の心配はないという。

 再生可能エネルギーへの転換や省エネの議論になると、停電の可能性、電気代、財源、日本経済への影響などが必ず問題になる。東北大学大学院環境科学研究科の明日香壽川教授(60)が関わる研究者グループは、このような懸念をひとつずつ払拭するために、米国でのグリーン・ニューディールの議論を参考にしながら、現在の政策への具体的な対論となる「原発ゼロ・エネルギー転換戦略」を策定した。

「これまで産油国などに払っていた化石燃料の輸入額年間約20兆円の多くの部分が国内投資に回るのがエネルギーシフトなので、日本経済全体にとって必ずプラスです。再エネはすでに多くの国・地域で最も安い発電技術となっており、さらなる価格低下も見込まれます。回収年数が短い省エネ投資案件はたくさんあります。今のエネルギー・サービスの質を落とさずに脱原発と脱温暖化を同時に達成することは可能であり、経済的にも好ましいです」(明日香教授)

(編集部・小柳暁子)

※AERA 2020年2月3日号より抜粋