エコを意識した生活の実践には、不便さから生じるストレスが敵になる。まずは生活シーンのちょっとした選択を変えてみる心がけが大切だ。そして、無理なくエコが実現できるよう、社会のシステムに働きかけることも大切だ。AERA2020年2月3日号の記事を紹介する。



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 毎日の買い物の場面でも、できることがある。環境カウンセラーの和田由貴さんは、ものを買う時は必ず捨てる時のことを考えてほしいと言う。

「使い捨てのプラスチック商品は、一時的には便利ですが、ゴミが増えてかえって家事の手間を増やします」

 本当にその商品は必要か。新品ではなく、中古品で代用できないか。例えば、ジャケットを購入する時に、新品ではなく古着を購入すれば、CO2排出量が21.417kg‐CO2減ると環境省は試算している。

 アパレルは、染色などに大量の水を使い、温室効果ガス排出量も多く、環境負荷が高い産業だ。アウトドア・アパレル企業のパタゴニアは直営店で使用する電力に太陽光発電の電力を使用するなど、環境に配慮した取り組みで知られている。日本支社環境・社会部門(ESI)シニアディレクターの佐藤潤一さん(43)はこう言う。

「製品を作るときに環境に配慮するのはもちろんですが、買っていただいたものをいかに長く着ていただけるかに一番力を入れています。買い替えを希望のお客様にも、新品を購入する必要がないような場合は修理して使っていただけるとお伝えしています」

 忙しいときについ利用してしまうのがネット通販だろう。

「宅配はとにかく1回で受け取ってください」と言うのは、パデセアの黒柳要次社長だ。

 配達員の労働力不足からも問題になる再配達だが、国土交通省が14年に実施した調査では、再配達によるCO2排出量の増加は年間約42万トンに達し、環境負荷の増加も招いている。

 自宅に宅配ボックスがなくても、オープン型宅配ボックスやコンビニ受け取り、あらかじめ指定しておいた置き場所に荷物を置いてもらう「置き配」サービスなどは充実してきている。

 日々のエコ活動も重要だが、一人ひとりが声をあげることはそれ以上に大きな効果がある。国立環境研究所地球環境研究センターの江守正多副センター長(50)は、こう話す。

「CO2の排出を減らそうといっても、世の中にはまったく興味がない人もいるのが現実。ただ、システムが変わったらそういう人でも自然とCO2を使わない生活になります」

 二酸化炭素を出さない社会経済システムに転換するためには政治が動く必要があるが、日本では気候変動の政策的な優先順位は低い。有権者が気候変動に関心を持っていることを伝えることで、少しでも政治にプレッシャーをかけ、優先順位を上げることが大事だという。

「政治家に『あなたの気候政策を聞かせてください』と質問してみることです」

 かつては路上でも職場でもたばこを平気で吸う人がいた。受動喫煙の健康被害のデータの公表、嫌煙訴訟などでいつの間にか常識が変わり、いまでは分煙が当たり前になった。

「自分のアクションが自分一人分のCO2だけを減らすのではなく、システムの変化に働きかけることにより、多くの人のCO2を減らすことになります」

 完璧なエコ生活ができなくても、当たり前にエコが実現できる社会を、堂々と求めたい。(編集部・小柳暁子)

※AERA 2020年2月3日号より抜粋