新型コロナウイルスの感染拡大で激変した暮らし。相次ぐ休業要請や経済活動の停滞は、家計にも影を落とし始めた。安倍政権は低所得者向けに30万円を支給するとぶち上げて迷走し、国民1人あたり一律10万円の特別定額給付金(仮称)を支給するという。だが、「コロナ・ショック」でもらえるお金は他にもある。知らないまま損をせず、制度を活用して自ら家計を守ろう。



 仕事を探したり休んだりしている間に資格を取るなどスキルアップしたい人もいるだろう。退職後1年までや、在職中の人は、資格取得のための受講費用の一部を補助する一般教育訓練給付金や専門実践教育訓練給付金を使える。受講料は資格によって異なり、専門学校などの教育訓練施設にいったん払う必要はあるが、修了後に受講料の20〜50%(最大年40万円)が戻る。失業中の人は公共の職業訓練などを受けた場合に日額500円の受講手当や月額上限4万2500円の通所手当(交通費)が支給される技能習得手当・寄宿手当もある。

 65歳以上でも、新しい仕事を探している人には高年齢求職者給付金がある。ハローワークで求職の申し込みをし、退職前の1年間で雇用保険の加入期間が6カ月以上あるなどの条件を満たせば、基本手当の最大50日分、雇用保険の加入期間が1年未満の人は30日分が一括してもらえる。

 求職活動中に病気やけがをしてしまったら、雇用保険には失業給付の代わりにもらえる傷病手当がある。

 個人事業主やフリーランスら雇用保険に入っていない人も、あきらめなくていい。ハローワークの指示で職業訓練を受ける場合は月10万円の職業訓練受講給付金と通所手当、寄宿手当が支給される求職者支援制度がある。職業訓練を受講中に生活費が足りないときは、指定した労働金庫で求職者支援資金融資も受けられる。

 さらに、失業給付の所定給付日数を3分の1以上残して新しい仕事が決まったら、再就職手当がもらえる。給付額は、残りの日数分の基本手当に60%か70%を掛けた額。60歳以上65歳未満の人は、再就職先の給料が前の勤務先の75%未満に下がると最大で賃金の15%の給付が受けられる高年齢再就職給付がある。60歳で定年を迎えて嘱託社員などとして同じ会社で働き続ける人も、下がった賃金を補填してもらえる高年齢雇用継続基本給付金がある。

 日雇いや季節労働者らも、日雇労働求職者給付金や特例一時金といった失業給付に相当する給付金が受けられる。

 病気やけがに見舞われたときの支援制度もある。

 労災保険の療養補償給付は、勤務中の事故などでけがや病気になった場合、治療費が全額給付される。療養のために仕事を休む必要があれば、平均賃金の3分の2が支給される健康保険の傷病手当金か、同80%がもらえる労災保険の休業補償給付が使える。会社の休業手当が出ない場合でも申請できることもあるので、健康保険組合などに相談しよう。

 高額の手術代や入院費がかかったら、自己負担限度額を超えた分が戻る高額療養費制度がある。限度額は所得や年齢で異なるが、例えば70歳未満で標準報酬月額が28万〜50万円なら、1カ月の医療費が約9万円を超えた分が戻ってくる。

 勤務中のけがや病気などで障害を負ってしまったら、最低約117万円が支給される障害手当金がある。厚生年金に入っている人に限られるが、障害等級1〜3級に当てはまらない軽い障害が認められる人でも支給される。手当金を一時金として一括でもらえる点もメリットだ。障害の重さに応じた障害特別支給金などがもらえる障害補償給付もある。

 障害等級・傷病等級1〜2級で、自宅で介護サービスを利用している人は介護補償給付がある。常時介護が必要で、親族や友人の介護を受けていない人は約16万5千円を上限として、かかった介護費用の全額がもらえる。介護費用がかさんだら、医療費と同じように、自己負担を一定額に抑えられる高額介護サービス費制度がある。市区町村の介護保険の窓口に申請すると、限度額を超えた分が戻ってくる。

 同じ世帯に医療と介護サービスを受ける人がいる場合、医療費と介護費の合計が一定額を超えると超過分が返ってくる高額医療・高額介護合算療養費制度もある。ただし、同じ世帯でも同じ健康保険に入っていなければ合算できないケースがあるなど確認が必要だ。

 転倒を防いだり、介護の負担を軽くしたりするために手すりの設置や段差の解消といった自宅のリフォーム費用を補助する住宅改修予防給付もある。工事費が50万円を超えるバリアフリー工事などをした場合は、住宅特定改修特別税額控除が受けられる。高額の介護用品を買った場合にも、市町村によっては購入費の一部を支援する介護福祉用具購入助成制度があるので確認してみよう。

 70歳以上の親の面倒をみている人は老人扶養控除を受けられる。生計を同じくする親の年金収入が158万円以下(年間所得38万円以下)などを条件に、同居の場合は58万円を所得から控除できる。

 家族の介護のために2週間以上、仕事を休まなければならないときには介護休業給付金がもらえる。休業開始前の2年間に12カ月以上、雇用保険に加入していることが条件だ。平均日額賃金の3分の2程度が支給される。支給期間は通算93日(約3カ月)と決まっているので、休みをどんなタイミングで取るかをあらかじめ考えておこう。

 外部の介護サービスを利用せずに家族が在宅介護している場合に支給されるのが在宅要介護者介護手当だ。助成額は年10万円など市区町村によって違う。やはり助成額は自治体によっていろいろだが、親元の近くや同居するために引っ越した家族に助成が出る親元近居助成制度などもある。

 どうしても仕事や暮らしのめどが立たないようなら、生活保護を利用することも考えよう。(本誌・西岡千史、池田正史/田茂井治)

※週刊朝日  2020年5月8‐15日合併号