自粛期間中、ラーメン店は売り上げ減に、ファンは禁断症状に苦しんだ。その解決策としてブームになりつつあるのが、お取り寄せ。名店のラーメンを取り扱うお取り寄せサイトでは売り切れが続出し、その需要は爆発している。名店の味を食べ比べた、AERA 2020年6月15日号の記事を紹介する。

<「禁断症状が半端ない」コロナ禍でラーメン好きがお取り寄せに殺到 売り切れ続出も>から続く。



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「需要が爆発」した冷凍ラーメンを片っ端からお取り寄せしてみた。

 通販サイトのプレミアラーメンから、独自サイトで販売する名店の味、不要不急のため食べに行けない全国のご当地ラーメン、はたまたスーパーでも買える名店の味まで、夫とともに3食ラーメン生活を実行して、15種類の冷凍ラーメンを実食した。ちなみに体重の変化から算出すると、2人合わせて約4キロのラーメンを腹におさめたことになる。やめて〜。

 まずは、身を挺しておこなった食レポの総評から。ラーメンの冷凍方法の確立と、こういう時にも働いてくれる宅配便のおかげで、どれもおいしさは想像以上。冷凍の生麺と冷凍スープ、そしてオリジナルの調味料などがセットになっているのがパターン。冷凍の宅配便で届くため、お店で食べるのよりちょい高め、2食で送料込みの3千円前後が相場な感じになっている。

 メンマやチャーシューなどの具材はスープに入っていることが多いが、ネギなどの生鮮ものはこちらで用意するラーメンも少なくない。具材を用意しながら、一つの鍋でスープを湯せんにし、もうひとつの鍋で麺を茹でて最後に合体。冷凍とはいえ調理はけっこう忙しく、ラーメン店の厨房気分も満喫できる。

 自分の場合は、この機会に前からほしかった麺の湯切り用のザルも購入。かっこいい「チャッチャッ」パフォーマンスを追求しながら、ラーメン作りをエンジョイした。食べているだけではわからなかったラーメンへの思いも深まった気がする。

 一方、調理の簡単さを追求したキンレイのお水がいらないシリーズも、すごい。ストレートスープ、麺、具材の三層構造を冷凍。その名の通り水さえも不要で、鍋ひとつで名店の味を再現。例えば、京都発祥の有名店が監修したラーメン横綱は、袋を開けて鍋に入れ、火にかけて待つこと6分30秒。シコシコ麺と濃厚スープの横綱のラーメンが、魔法のように完成してた。湯切りの出番もないんですけど。

 同社の冷凍ラーメンは、コロナ禍以降、「売り上げが約1.5倍に伸びている」(キンレイ・商品企画チーム)とのこと。巣ごもり消費に加え、ラーメンの禁断症状需要も、売り上げに弾みをつけていそうだ。

 爆発する冷凍ラーメン人気を一時的なブームに終わらせず、新しい生活様式のなかで定着させようと考えるのは、新宿ゴールデン街からスタートし、今や国内外に55店舗を展開するというすごい煮干ラーメン凪を運営する凪スピリッツだ。社長・生田悟志さん(42)が言う。

「ラーメン文化の火が消えてしまわないかと心配になっていたとき、知り合いのラーメン店が、ネット通販を始めるのに不安を持っていたり、人手不足を嘆いているのを目にした。そうした困っているラーメン店のために、各店が冷凍したラーメンを先払いで買い取り、私たちの自社工場でストックして販売していくことを決めました」

 名付けて「ラーメンストック」。行列店である「すごい煮干ラーメン凪」のほか、普通のラーメンの「最高峰」と呼ばれるラーメン大至(だいし・東京都文京区)など、セットを含め100点近い商品がラインアップしている。

「緊急事態宣言中、うちでも売り上げが9割減になった店舗もありました。『新しい生活様式』の時代では、これまで100杯売れていたラーメンが70杯くらいになると思う。その30杯の減った分を、ラーメンストックの売り上げで埋められるといいですね」(生田さん)

 同社では、発売元のラーメン店を取材したライブ動画などを見ながら冷凍ラーメンを購入できる、「ライブコマース」を導入し、楽しみながら購入できる仕掛けも始まった。

 ラーメンは日本人にとって、食べ物である以上に文化。冷凍ラーメンは、その火を未来につなぐ重要な任務を担っている。(ライター・福光恵)

※AERA 2020年6月15日号より抜粋