緊急事態宣言前後、品薄状態に陥ったマスクやトイレットペーパー、自宅の食材ストック。来るかもしれない感染拡大第2波のために、いま備えておくべきものは何か。AERA 2020年7月6日号から。



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 6月下旬、東京都目黒区のスーパーマーケットの店頭に、30枚入りの不織布マスクの箱が並んでいた。1箱1300円ほど。近所の40代の主婦は、「値段も安くなっていますけど、今買っておいた方がいいんですかね」と購入を悩んでいた。

 緊急事態宣言が解除され約1カ月。新型コロナウイルスの感染拡大第2波に備え、医療体制の確保や、必要な人にいかに迅速で的確な支援を届けるか。この数カ月の経験から、検証しなければならないことは多くある。

 一方で、一般市民はどんな備えが必要だろうか。

 マスクに関心があるのは、冒頭の主婦だけではない。どこに行っても買えない品薄状態が長く続き、多くの人がマスクの在庫や販売状況に翻弄された。第2波が訪れれば、また同じ状態に戻るのか。全国マスク工業会(東京)の担当者に聞いた。

「今年2月や3月のような品薄状態にはならないと思います」

 年初、マスクは国内で約10億枚のストックがあったが、コロナの影響で需要が急増、一気に底をついた。その後、国内メーカーの参入が相次ぐなど、供給量は徐々に増やしているものの、各メーカーはストックを確保する状況ではなく、あればあるだけ出荷されているという。

「6月の国内の流通量は10億枚近くです。国内でも供給量が増えるので、7月にはさらに増えます。今買いだめする必要はないでしょう。冬にかけて20億枚ほどいくのでは」(担当者)

 緊急事態宣言前後に買いだめや品薄が続いた食料やトイレットペーパーはどうか。マーケティングに詳しい立教大の有馬賢治教授は言う。

「今後は心構えができているので、短期での買い占めは起こりにくいでしょう。ただ、学習効果が働き、各家庭で生活に必需だと感じるもののストックを増やす傾向は出てくると思います」

「買い占め」までいかずに、生活を守るためのストックを確保することは悪いことではない。

「災害時に備えるための備蓄を徐々にしていく感覚で、一定程度のストックを増やすことは、第2波だけではなく、生活防衛のために重要な備えになります。巣ごもり生活で見えてきた生活必需品は家庭によって多様だと思いますので、不足を感じたものを備えておく必要はあります」

 物資以外に大切な準備もある。コロナ禍で都市間の移動の自粛が求められ、身内に会えない経験をした人も多いはずだ。インターネットを使ったビデオ電話といった、高齢の親など遠くに住む人の状態を確認できる通信手段も、今のうちに整備しておきたいもののひとつだ。

 また、有馬教授は非常時に出まわるだろう「デマ」に対しても備えることを勧める。

「複数のルートで正しい情報を吟味する力が求められます。公式情報やツイッターでの医師の発信など、第2波が来る前に、ぜひ情報を評価する力を磨いておいてください」

(編集部・小田健司)

※AERA 2020年7月6日号より抜粋