人生100年時代、子供に自分の介護を任せるのは気が引ける、しかし有料老人ホームは高い。そうした思いを胸に秘めている人におすすめなのが、ケアハウス。年々その存在感を高めているケアハウスは、自治体の補助金などがあるため安く、年金だけで暮らすことも可能。ライターの栗原道子氏がケアハウスについてリポートする。



 ケアハウスの種類は三つ。自分で生活できる人を対象にした「自立支援型」、介護が必要な人を対象にした「介護型」、入居時が自立で最期までみてくれる「混合型」がある。自立支援型でも、自分で車いすに乗り自走できたり、ヘルパーやデイサービスを使って生活できる間は暮らし続けられる。個室で3食付きで費用は入居時の費用と、月の居住費+生活費+事務費などだ。事務費は年収や地域で異なる。

 支払い方法は3通りあり、(1)20年分の家賃を一括で支払う、(2)家賃の一部を入居時に払って残りを月払い、(3)20年分の家賃を240カ月で割った額を毎月払う。各運営法人が支払い方法を決める。

 ケアハウスの中には、身寄りのない入居者に“特別な取り計らい”をしてくれるところもある。

 病院や高齢者ホームなどでは身元保証人がいないと入院や入所ができないケースがある。身寄りがない高齢者には利用できないということだ。そうした問題に対して、埼玉県八潮市にあるやしお寿苑では、入居者が病気で入院したり、特別養護老人ホームに入居する必要が出た場合、施設長が身元引受人になっている。

「ケアハウスで暮らせる人は社会で頑張ってきた人。そういう人が保証人がいないことで施設に入れなかったり、入院できないのはおかしい。その人たちの力になりたくて、身元引受人になっています」(施設長)

 しかもこの施設では死後の面倒も見てくれる。ここで亡くなった身寄りのない人が入るお墓があり、既に十数人が入っている。かつて入居していた人が「私の他に身寄りのない人が天国でも一緒に暮らせるように」と残したお金で建てられたお墓だ。お彼岸やお盆にはホールに花や写真を飾り、職員・入居者らで拝み、歩ける人はお墓参りに行っている。

 また、このケアハウスでは低所得者への配慮も行っている。ある高齢者が入居する際に、必要となる50万円を施設長が工面した。入居後に毎月1万円ずつ返済をし、5年後に滞りなく完済したという。当時の施設長で、現常務理事はこう言う。

「この人は併設しているデイサービスに通っていて、真面目な人と知っていた。話し合いをして、年金収入の13万円を有効に使ってここで生活できるように決めた。ここは3食付きで、お風呂もある。職員の見守りもある中で穏やかに暮らしています。いま本人は預金が増えていくのを楽しみにしています」

 ケアハウスは費用が安いがゆえに低所得な人ほど利用したいところだが、生活保護を受けていると、入居を断られるケースが多い。生活保護費用もケアハウスの建設費・運営費も税金から出ており、二重に補助金の恩恵を受けることができないためだという。

 しかし、例外もある。神奈川県相模原市にあるケアハウスでは、生活保護受給者でも受け入れを行っている。市の高齢・障害者福祉課に尋ねると「入所の可否はその施設に任せている」という。コロナの影響や豪雨による災害でやむなく生活保護に頼る高齢者が増える危惧もあり、今後こうしたケアハウスはより重要になるだろう。

 ケアハウスでは孤独にならない機会は多いが、注意も必要だ。定員数20名以下といった少人数のところでは、入居者同士のつながりが既にできており、新しく入居した人は溶け込みにくいといった声もある。また、女性が多い施設では、男性が居づらくなるというケースも。定員数や男女比なども確認しておく必要がある。

 広告などが少ないため、ケアハウスは意外と知られていない。これを機に老後の選択肢の一つに入れてほしい。(取材協力/本誌・吉崎洋夫)

※週刊朝日  2020年9月25日号