東洋医学の観点から肩こりを知ろう。西洋と東洋の両医学に精通する、北里大学(東洋医学総合研究所)客員教授で医師の伊藤剛さん(67)に、AERA 2020年9月21日号は、肩こりに有効なツボやこりの原因を聞いた。

*  *  *
 肩こりに効く主なツボは、風池(ふつち)、天柱(てんちゅう)、肩井(けんせい)、肩中兪(けんちゅうゆ)、曲垣(きょくえん)、手三里(てさんり)、曲池(きょくち)、肺兪(はいゆ)、膏肓(こうこう)などがあるという。基本となる肩井は、うつむくと出っ張る首の付け根の骨と、肩先の骨を結んだ真ん中あたり。中指または中指を中心にした3本指を当て、皮膚に対し垂直に押す。強く押しすぎるのはNGだ。伊藤さんは「ハンコを押すぐらいの強さで」と言う。

「ツボは一種の反応点で、刺激すると反射的に筋肉が緩んだり、血液の循環がよくなったりします。こりがあるときには、ツボを軽く押しても鈍い痛みを感じます」

 5秒間押し、離す動作を4、5回繰り返す。翌日まで間をおき、自分の体が修復していく時間を確保するのが大切だ。患部は温めた方がよく、残暑で眠れないからと首元を保冷剤などで冷やすと症状を悪化させてしまう。

 伊藤さんは肩こりが生じる最も重要な要因は、交感神経の緊張だと言う。具体的にはストレス、悪い姿勢のほかに寒冷、衣類、気圧、内臓疾患といった要素を挙げる。注意すべきは季節の変わり目だ。

「急激な気温の低下や大きな寒暖差は交感神経を緊張させ、筋肉などの血流を低下させます」(伊藤さん)

 最低気温が10度を下回ると着る衣類が増えて重くなり、肩はこりやすくなる。気圧の変化も要注意だ。

「気圧が高いと交感神経が緊張し、肩こりが生じやすくなります。一方、既にこりのある人は、気圧が下がると症状が悪化します。一年のうちで11月は一日の寒暖差が大きく、12月は高気圧の日が多くなるため身体的ストレスが増しやすい。晩秋から冬はこりの症状が出やすいので要注意です」(同)

 内臓疾患が原因で肩こりを起こすケースもある。例えば、胃の調子が悪い人は右肩、肝臓なら肩甲骨の下の方、膵臓なら左肩に症状が出やすいという。

 伊藤さんは「肩こりは生活習慣に由来する」と強調する。

「鍼灸や指圧による治療で症状は改善されますが、無理な姿勢でパソコンやスマホを長時間使い続けていると必ず再発します。人任せにせず、自分の体は自分で守る意識が必要です。過度な緊張を減らし、運動やストレッチを取り入れるなどして自己管理しないと、こりは一生ついてまわります」

(編集部・渡辺豪)

※AERA 2020年9月21日号より抜粋