新型コロナウイルスの感染拡大は就職活動にも影を落としている。コロナ禍で就活はどう様変わりしたか。現在発売中のAERAムック『就職力で選ぶ大学2021』(朝日新聞出版)では、親世代は知らない就活の最新リアル、就活戦線を乗り切るための大学生へのアドバイスをリクルートキャリア就職みらい研究所の増本全所長に聞いた。



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 人手不足を背景に、学生優位の「売り手市場」といわれてきた就職活動。2021年卒業予定の大学生についても、春先まではその流れが続いていた。

■緊急事態宣言後に激変

 リクルートキャリア発表の「就職プロセス調査」によると、就職内定率(内々定含む)は4月1日時点まで前年を上回るペースで推移。状況が激変したのは、新型コロナウイルス感染症の拡大で緊急事態宣言が発令された4月7日以降だった。リクルートキャリア就職みらい研究所の増本全所長はこう分析する。

「コロナ前からオンラインを使った採用活動は導入されつつありましたが、大半の企業は最終的には学生に会って採用を決めたいと考えていました。ところが外出自粛要請により、対面での選考が難しくなった。当初の計画が崩れ、内定出しのタイミングが後ろ倒しになりました」

 先行きが見えないコロナ不況で、採用活動の中止や採用数の削減に踏み切る企業も増加。7月には、航空業界1位のANAホールディングス、2位の日本航空(JAL)が採用活動の中止を発表した。8月1日時点の就職内定率は81.2%と、前年比で10.0ポイントも低い。運輸、不動産、外食などの業界を中心に厳しい採用状況が続く。

「コロナに限らず、社会変化が断続的に起こるなか、変化対応力がより求められています。たとえば、航空会社をめざしていたけれど採用がなくなってしまった。気持ち的にはとてもつらいですが、かなえたいことを実現できる選択肢は他にないかという視点が重要です。地上職なら手短にテキパキと正確に伝えられる力が求められますが、それはMR(医薬情報担当者)やいくつかの営業職といった職種でも身につきます。今後、どこかで夢をかなえたいのであれば、求められる力を培い、再度進路選択をするという考え方もある。安易な転職をすすめるわけではないですが、大切なのは“何をするか”ではなく、“どういう自分でありたいか”です」

■就活の新しい潮流とは

 現在の就活は、経団連主導でつくられた「就活ルール」に則った「一括採用」が一般的だ。3月から合同企業説明会や個別説明会が一斉にスタートし、6月から選考活動が解禁される。

 しかし、近年は他社と選考スケジュールをずらした「通年採用」を行う企業も増加。学生の専門能力を判断材料にする「ジョブ型採用」、企業側から学生にアプローチする「スカウト型採用」、社員が知人・友人といったつながりのある学生を紹介する「リファラル採用」など、採用の手法も多様化している。

 さらに、今年は「オンライン就活元年」ともいわれ、オンラインでの説明会、インターンシップ、面接が浸透した。
「コロナ禍で一気にオンライン化が進みました。オンラインでも学生の人物評価は意外とできると企業側は手応えを感じていますし、地方の学生と接触しやすくなる、学生の交通費や宿泊費を削減できるというメリットもあります。大企業を中心に最終面接までオンラインという会社も増えています」

 流動化する就活戦線。学生へのアドバイスを聞いた。

「いままでは一括採用が主だったため、一斉に就職活動の準備をはじめ、就職してから会社のジョブローテーションのなかでキャリアを考えていくということもできました。今後、デジタル化、グローバル化が進み、労働市場が開放されると、何ができるかがより問われるようになります。将来を見据え、そのために学生生活で何を学び、どういった経験をするべきか、どんな情報を集めるべきか。WHATとWHYを明確にして能動的に動くようにしてください」