おうち時間の急増で注目を集めるオンライン英会話。現在発売中の『AERA English2020 Autumn & Winter』では、オンライン英会話のお悩みに、4人のプロが一問一答形式で回答。「英語学習以前にオンラインに抵抗がある」「そもそも仕組みがわからない」……そんなスタート以前のお悩みに、プロたちの答えは?

*  *  *
【Q1】オンラインより通塾型のほうが力がつくのでは?

「通塾型の教室はカリキュラムがしっかりしていて、講師のレベルも高いところが多いのは確かです。それでも思ったようにできるようにならず挫折する人が少なからずいます。それは通っても週に1度程度という頻度の問題だと思います」と、オンライン英会話に関する書籍や記事を多数執筆する嬉野克也さん。

 対して、オンライン英会話の場合、場所や時間を選ばないうえに、低価格でたくさん受講することができる。

「語学の習得は間を空けず、より集中的に学習したほうが早く身につく。その点でオンラインは優れているといえます。注意点としては、オンライン英会話は各社、たくさんの講師を抱えていますが、すべての先生が自分に合うわけではありません。ぴったりな先生を探し当てる必要がありますが、それもオンライン英会話の面白いところです」(嬉野さん)

 レアジョブでさまざまなプログラムの立ち上げに関わる深井朋子さんは、通塾型でもオンラインでも「大事なのは英語を学ぶ動機づけ」と言う。

「何のためにレッスンを受け、何ができるようになりたいのか、その設定を事前にきちんとすることで英語が話せるまでの道筋が見えます。その上で、より多く練習量をこなすこと。英会話はスポーツと同じなんです」(深井さん)

【Q2】オンラインでちゃんと意思疎通できるの?

「日本語だとオンラインで意思疎通できるのに、英語ではできないなら、それはオンかオフかではなく英語力の問題。だからこそ英語を練習しましょうということになります」(英語学習・海外留学のWEBサイトを運営する柴崎亮さん)。

 最近は新型コロナウイルス感染症拡大の影響でオンラインでコミュニケーションをとる人も多いだろう。それにレッスンは画面と音声だけがツールではない。

「通常、共有画面やチャットなどの付加機能がたくさんあります。講師は教材のポイントを示しながら説明したり、チャットにフレーズを打ち込んだりしながらレッスンを進めていきます。また、なかなか言いたいことが伝わらないときにも、講師は簡単な言葉に置き換えながら、なんとかコミュニケーションを図ってくれるはずです」(DMM英会話のPRマネジャー田上英恵さん)

 確かに対面のほうが相手の表情がよりわかり、ジェスチャーなどでも伝えやすいメリットがあるが、「それを逆手に取りましょう」と話すのは深井さん。

「つまりオンラインでは言葉でのコミュニケーションがいちばん重要。ジェスチャーなどに頼らず、英語力を高められます」(深井さん)

【Q3】あまりにも英語が話せない…怒られるのでは?

 初対面でそれも英語しか話さない外国人が相手となると、心理的なハードルが高いのはうなずける。この質問に対して田上さんは、開口一番「講師が怒ることはありません」と断言。

「講師はみなトレーニングを受けており、相手のレベルに合わせた教え方をします。また日本人特有のシャイな性格を理解している人が多いので、少々、言葉が出なくても心配しないでください。ただ、話し方や表情にお国柄があるので、英語での会話がまったくの初めてという方は、フィリピンの先生がオススメです。明るくフレンドリーな人が多いので、楽しくレッスンが受けられると思います」(田上さん)

 柴崎さんはユーザーの立場からこう話す。

「もちろん英語力が低いからといって怒られることはないですし、万が一、そんな先生がいたらサービス側にクレームを入れてもいいと思います。講師を評価する制度がある場合は低評価をつけることもできます」

 柴崎さんは5年間受けたなかで一度だけ、最低ランクの評価をつけたことがあるという。

「その先生はレッスン中、別の人と話している雰囲気があったり、明らかに私の話を聞いていなかったりしました。その時は10分くらいでレッスンを切り上げてしまいました」

 まずは「英語ニガテ」のメンタルブロックから外そう。

【Q4】ある程度力がないとオンライン英会話をやっても意味がないのでは?

「初めてのレッスンでは全然話せなくて、ものすごくショックを受けました。Hello、Yes、Thank you がかろうじて言えたくらい」と、告白するのは嬉野さん。すでにTOEIC600点を超えていたので、そこまで話せないとは思っていなかったという。

「でもそこで諦めたらダメ。英語の勉強の中でいちばん楽しいのが英会話の練習。英語力が低いからと足踏みせず、まず始めてみるという気持ちが大切だと思います」

 現実的には、レッスンを受ける条件は、「中学で習うくらいの英文法の知識があれば好ましく、単語の羅列でも最低限の意思表示ができること」(深井さん)

 意思表示といっても流暢である必要はなく、講師に何か聞かれてわからなかったときや言葉が出てこないとき、「聞き取れなかった」「意味がわからない」「どう言えばいいかわからない」など、3パターンくらいの表現を持っておけば問題ない。

「あとは怖がらずに発話していこうという気持ちでいれば大丈夫です」(深井さん)

「あまりに自信がない人は、短い英文を繰り返し口に出して練習する教材『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』(ベレ出版)を1カ月程度こなしてから始めると効果的です」(柴崎さん)

◆柴崎 亮(しばさき・りょう)さん
27歳のときに脱サラし、オンライン英会話を使いゼロから英語学習を開始。2017年8月から、アメリカ・ボストンの起業に特化したMBA(Babson college)に留学、19年5月に修了。“にゃんこ先生”というチームで、英語学習・海外留学のWEBサイト「There is no Magic!!」を運営しており、Twitterのフォロワーは1万人を超える。

◆嬉野克也(うれしの・かつや)さん
36歳からオンライン英会話をはじめ、英語を使う仕事ができるようになる。その経験から、会社員をしながら書籍や記事の執筆、自ら運営する塾「ウレシトーク」での指導をおこなう。著書に「36歳からオンライン英会話をはじめたら英語で仕事ができるようになりました」(KADOKAWA)、「新しいオンライン英会話の使い方」(アルク)など。

◆深井朋子(ふかい・あきこ)さん(レアジョブ英会話)
レアジョブプログラム開発部副部長。大手英会話教室で学習アドバイザーを経験。2015年レアジョブに入社、オンラインカウンセリングサービスや、短期集中型英会話プログラムの立ち上げなどに従事。TESOL修了。ESAC®Professional資格保持者。

◆田上英恵(たのうえ・はなえ)さん(DMM英会話)
DMM.com英会話事業部PRマネジャー。中学生のころに短期イギリス留学を経験し、高校はSELHi(Super English Language High School)指定校に進学。高2で英検準1級を取得。広告制作会社、PR会社を経てDMM.comにPR担当として入社。

(文/稲田砂知子)

※『AERA English2020 Autumn & Winter』より。誌面では、困ったときに使えるフレーズ一覧も紹介している。