おうち時間の急増で注目を集めるオンライン英会話。現在発売中の『AERA English2020 Autumn & Winter』では、オンライン英会話初心者のお悩みに、4人のプロが一問一答形式で回答。「25分間も何を話せばいいの?」「講師はどう選ぶ?」。そんな素朴なお悩みに、プロたちの答えは?

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【Q1】そもそも25分間も、何を話せばいい?

 だいたいどこのサービスも1レッスンの時間は25分。短いようで長い。「白紙の状態で挑むのが難しい人は、『カンペ』を用意しておくといいですよ」とDMM英会話のPRマネジャー田上英恵さん。よく聞かれる出身地、仕事、趣味、何のために英語を学んでいるかなどについて、簡単な英文や表現を手元に置いておこう。

 また、多くのサービスでは教材が用意されている。特に初級者はフリートークだけで25 分間をこなすより、自分の目的やレベルに合った教材でレッスンを受けるのがおすすめだ。

「自己紹介やあいさつで5分、その後20分は講師の指示で教材に沿って進みますので、何を話せばいいのかわからないという状況はできにくいと思います」(田上さん)

 あいさつや自己紹介から話題がふくらんでいけば、そのままフリートークを楽しむのもいい。

「講師のプライベートにあまりにも踏み込むことや、文化や宗教への偏見による発言などがなければ、基本何を話してもいいですよ。楽しく会話しようという思いがあれば、講師が話題を広げてくれるので安心してください。オンライン英会話の役割の一つは、マンツーマンで気兼ねなく話せる時間を持つこと。話した経験だけ自信になります」(田上さん)

【Q2】仕事に家事に育児…25分という時間をどう捻出すればいい?

 この質問に対して、4人の答えはそろった。「一日で受講する時間を同じにして、それをルーティン化できればベストです」

 レアジョブでさまざまなプログラムの立ち上げに関わる深井朋子さんは、一日の中で必ず行う習慣の前後にくっつけるのがいいという。たとえば朝、起きてすぐ。アラームをレッスン開始の合図にしている人もいるそうだ。

「特に女性はメイクが気になるかもしれませんが、カメラをオフにしてもいいんです」と、深井さん。そんな方法があるとは驚きだが、「オンライン英会話は自由度が高いのが魅力。それを利用して習慣の固定化を」(深井さん)

 柴崎さんは特に朝を勧める。「日中だと、仕事や家事があるのでそれに気を取られて集中しづらいですから」。忙しくなるとつい後まわしにしてしまうのが人の常だ。

「自分が英語を使ってこうなりたいという夢、それも想像してニヤニヤするような楽しいものを持っておきましょう。そうすれば25分間を作り出すことがおっくうではなくなるはずです」(オンライン英会話に関する書籍や記事を多数執筆する嬉野克也さん)

 とはいえ、毎日時間を決めるのは気が重いという人もいるはずだ。

「そんな場合はその日の朝、やりたいなと思ったときに予約を入れるくらいの軽いスタンスで。長く続けていくためには、いかに無理をしないかも大切です」(田上さん)

【Q3】先生ってどうやって選べばいいの?

 サービスによっては数百人、数千人もの講師がいて、自分で選べる場合が多いのもオンライン英会話のメリットの一つ。しかしそれが「いい先生と出会えない」という悩みのタネになることもある。

「講師のプロフィルを見て、仕事の経験や趣味から、自身の英語学習の目的に合う人を見つけられるとよい」と嬉野さん。

「たとえば仕事で英語を使うなら同じ職種の経験がある先生、旅行で使いたいなら旅行が趣味の先生がいいですね。話が弾みますし、教材にはない表現も学べます」(嬉野さん)

 講師は固定したほうがいいのだろうか?「私はいろいろな人のレッスンを受けてみて、楽しくできる先生を探しました。お気に入りの先生が5、6人いてその人を中心に受けるようにしています」と、英語学習・海外留学のWEBサイトを運営する柴崎亮さん。

 深井さんもお気に入りの先生を5人ほど持ち、定期的に新しい講師のレッスンも試してみることを勧める。

「同じ人のレッスンばかり受けていると、リスニング力が上がっているのか、その人の英語に慣れただけなのかわかりづらい。逆に、新しい講師だけを受けていると、毎回『初めまして』からの自己紹介という同じ会話が繰り返されることになります。5、6人だと1週間に1回会うくらいの頻度なので、前回の会話の続きから始められることもあっていいですよ」(深井さん)

【Q4】英会話で日本人がやりがちな失敗は?

「常識的なマナーを持ってレッスンを受ければ、心配することはありません。ただ日本人に多いのは、間違いを恐れて黙りがちになってしまうこと。オウム返しでもいいので、何かレスポンスする姿勢は大切ですね」(深井さん)

 たとえば講師が話しているとき、日本語でのコミュニケーションは笑顔でうなずいているだけでも成立するが、「英語の世界」は言葉で表現してナンボだ。“That’s nice.”(それはいいね)、“Sorry to hear that.”(それは残念だね)など、ひとこと入れるだけで会話は盛り上がる。

「講師のリアクションをまねするといいですよ。オンラインなので極力、言葉で表現することに努めてください」(深井さん)

 嬉野さんは「“Hey! What’s up?” のようなカジュアルな言葉より、どこで発しても失礼にならないフォーマルな表現を覚えてそれらを使ったほうがいい」とアドバイスする。“I want to〜” よりも“I would like to〜”、“Can you〜?” よりも“Could you〜?” といった具合だ。

「失敗を気にするよりも、先生へのリスペクトを忘れずに」(嬉野さん)

 最後に柴崎さんからの核心を突くコメントを。

「失敗を恐れることが失敗。初心者が正しい英語を言えるわけはありません。失敗すればするほど、先生が正しい表現に直してくれて、英語力が伸びるんです」

◆柴崎 亮(しばさき・りょう)さん
27歳のときに脱サラし、オンライン英会話を使いゼロから英語学習を開始。2017年8月から、アメリカ・ボストンの起業に特化したMBA(Babson college)に留学、19年5月に修了。“にゃんこ先生”というチームで、英語学習・海外留学のWEBサイト「There is no Magic!!」を運営しており、Twitterのフォロワーは1万人を超える。

◆嬉野克也(うれしの・かつや)さん
36歳からオンライン英会話をはじめ、英語を使う仕事ができるようになる。その経験から、会社員をしながら書籍や記事の執筆、自ら運営する塾「ウレシトーク」での指導をおこなう。著書に「36歳からオンライン英会話をはじめたら英語で仕事ができるようになりました」(KADOKAWA)、「新しいオンライン英会話の使い方」(アルク)など。

◆深井朋子(ふかい・あきこ)さん(レアジョブ英会話)
レアジョブプログラム開発部副部長。大手英会話教室で学習アドバイザーを経験。2015年レアジョブに入社、オンラインカウンセリングサービスや、短期集中型英会話プログラムの立ち上げなどに従事。TESOL修了。ESAC®Professional資格保持者。

◆田上英恵(たのうえ・はなえ)さん(DMM英会話)
DMM.com英会話事業部PRマネジャー。中学生のころに短期イギリス留学を経験し、高校はSELHi(Super English Language High School)指定校に進学。高2で英検準1級を取得。広告制作会社、PR会社を経てDMM.comにPR担当として入社。

(文/稲田砂知子)

※『AERA English2020 Autumn & Winter』より。誌面では、困ったときに使えるフレーズ一覧も紹介している。