おうち時間の急増で注目を集めるオンライン英会話。気軽に始められる一方、いかに継続するかが課題で、3〜6カ月でやめる人が最も多いという。現在発売中の『AERA English2020 Autumn & Winter』では、「やってみたものの続かない」というオンライン英会話のお悩みに、4人のプロが回答。楽しく続けるコツとは?

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【Q1】毎日欠かさずやらないといけない?

「ゴール設定がいつなのかによります」と、レアジョブ英会話の深井朋子さん。1年、2年かけて力をつけていきたいなら週3回くらいでいいが、3カ月後に海外駐在が待っているなど緊急性が高い場合は、毎日受けてできるだけ「英語漬け」にしたほうがいい。

 深井さんの生徒で、1日5レッスンを受け続けた人がいるというが、上司が外国人になり、英語での業務が必要になったので、早急に英語力を上げたいという動機があった。

「2カ月で別人のように変わり、上司に『クリアな英語になった』と褒められたそうです。明確な目標があるとそれだけ上達も早いです」(深井さん)

 英語学習・海外留学のWEBサイトを運営する柴崎亮さんは「毎日受けられるのに、それをしないのはもったいない」と話す。毎日なんて、気力が続くだろうか?

「気力なんて必要ないんです。毎日同じ時間に予約して、時間になったらサイトを開く。ただそれだけの行動を何も考えずに続けるんです。1カ月、2カ月続けていくうちに、歯磨きのような習慣になります。熱い気持ちなんて長続きしませんが、習慣化してしまえば、なんの苦痛もなくできるようになりますよ」(柴崎さん)

【Q2】予習・復習は絶対に必要?

「予習は絶対」だと言うのは柴崎さん。

「その日使う教材を読んで、知らない単語をチェックし、何を話すか考えておきます。それだけで授業の効果が抜群に上がります。復習もできればしたほうがいいけれど、完璧にしようとすると挫折するので、余裕のある場合だけでいいのではないでしょうか」

 DMM英会話のPRマネジャー田上英恵さんと深井さんは「絶対に必要というわけではない」という考え。ただ田上さんは「とはいえ予習・復習したほうがレッスンの効果が出やすいのは確か。どちらかというと予習を優先させたほうがいい」という。

「レッスンが試合だとすると、予習は練習。練習をきちんとすると、本番でより実力が発揮できたり、よりレベルの高い表現が覚えられたりするので自信もつきます」

 深井さんは「次のレッスンを復習と考えてしまう」という。

「もちろん授業終了後におさらいしておくのはいいことなのですが、習ったことをメモして覚えるという学習はそれだけで終わってしまうことも多い。理想の最終形は覚えた言葉をアウトプットできること。つまりその日に習ったフレーズを次に使うことによって定着させるのです。そうすると、次を早く受けたいという気持ちにつながり、やる気も増します」

【Q3】沈黙がつらい…乗り越える方法を教えて!

「言いたいことはあるけど、英語が出てこない場合は、とにかく単語など、関連するキーワードを発しましょう。チャットで送ってもいいですよ。講師はそれを察して言葉をつないでくれると思います。できるだけ短く区切ったシンプルな英文を話すというのもいい方法です」(田上さん)

 田上さんは言葉が出てこないときにこんな方法もよく使うという。

「もどかしい雰囲気を出して、“I mean…” などと言いながら考えます。それでも出てこない場合は、“Can you give me an example?” と相手に聞いてしまうことも。先生に模範回答を示してもらって、それをヒントに自分の考えを言います」

 こうした「お助けフレーズ」をいくつか持っておくと沈黙を避けられる。

 英会話力を上達させる練習として、オンライン英会話に関する書籍や記事を多数執筆する嬉野克也さんは「2秒以上黙らない」ルールを課していた。

「話せないのは間違えたくないという気持ちから来ていることも多いと思います。しかし、それでは一向にレッスンが進まないので、2秒以内にとにかく言葉を発するよう心がけていました。それを続けていると英語の瞬発力もつきますよ」

【Q4】スキルアップしている実感がない、どうやって確かめればいい?

 いちばんいいのは、実際に英語を話す体験を持ち、どれだけ英語力がついたか確かめてみること。日常でそんなシーンがない人は、困っている外国人を見かけたら話しかけるなども一つの方法だ。とはいえ、そんな偶然にはなかなか出合えない。

「世界中から外国語を学びたい人が集まる『ランゲージエクスチェンジ』のサイトを使ってみるのはどうでしょう?」(柴崎さん)

「言語交換」という意味で、日本人の私たちなら日本語を学びたい英語話者とオンライン上でつながり、交流しながら英語を学んでいく仕組みだ。柴崎さんも活用した経験があるそうだ。

「メールやチャットでも、アウトプットの練習になるのでオススメです」

 実際、どれくらいでオンライン英会話の効果を実感できるのか。柴崎さんは、「半年はかかる」と言う。

「それでも流暢になれるわけではありません。5年続けている今でも完璧な英語にはならない。たった1回の25分に期待せず、楽しみながら継続してほしいです」

 嬉野さんもこう話す。

「私は、仕事で何とか使えるようになるまで1年半必要でした。毎回のレッスンで『今日は必ずこの単語を使う』など小さな目標を掲げ、達成感を得ながら続けていくといいですよ」

◆柴崎 亮(しばさき・りょう)さん
27歳のときに脱サラし、オンライン英会話を使いゼロから英語学習を開始。2017年8月から、アメリカ・ボストンの起業に特化したMBA(Babson college)に留学、19年5月に修了。“にゃんこ先生”というチームで、英語学習・海外留学のWEBサイト「There is no Magic!!」を運営しており、Twitterのフォロワーは1万人を超える。

◆嬉野克也(うれしの・かつや)さん
36歳からオンライン英会話をはじめ、英語を使う仕事ができるようになる。その経験から、会社員をしながら書籍や記事の執筆、自ら運営する塾「ウレシトーク」での指導をおこなう。著書に「36歳からオンライン英会話をはじめたら英語で仕事ができるようになりました」(KADOKAWA)、「新しいオンライン英会話の使い方」(アルク)など。

◆深井朋子(ふかい・あきこ)さん(レアジョブ英会話)
レアジョブプログラム開発部副部長。大手英会話教室で学習アドバイザーを経験。2015年レアジョブに入社、オンラインカウンセリングサービスや、短期集中型英会話プログラムの立ち上げなどに従事。TESOL修了。ESAC®Professional資格保持者。

◆田上英恵(たのうえ・はなえ)さん(DMM英会話)
DMM.com英会話事業部PRマネジャー。中学生のころに短期イギリス留学を経験し、高校はSELHi(Super English Language High School)指定校に進学。高2で英検準1級を取得。広告制作会社、PR会社を経てDMM.comにPR担当として入社。

(文/稲田砂知子)

※『AERA English2020 Autumn & Winter』より。誌面では、沈黙回避フレーズ一覧も掲載している。