昨今、世界から注目される「和食」。その魅力にはまった外国人監督ジョン・ダッシュバックさんは、東京・飯田橋の老舗ラーメン店に密着したドキュメンタリー映画「Come Back Anytime」を制作した。現在発売中の『AERA English 2020 Autumn&Winter』では、この映画の日本人プロデューサーが英訳しづらかった、和食に関する表現を紹介。和食ならではのあの表現、英語ではなんて言う? 

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【おいしい】
 日本語でも「うまい」「美味」など表現のバリエーションがあるように、delicious以外でもいろいろと表せる。

 deliciousと同じ感覚で使えるのがtasty、good。

「すごくおいしい」と強調したい場合は、splendid(すばらしい)、divine(すてきな)、superb(最高の)、exquisite(極上・絶品の)といった形容詞が使える。

「唯一無二の」の褒め言葉は、This chashu pork is truly one of a kind.のように表現する。

「うまし」といったカジュアル語は、deliciousの俗語delishで表現できる。

【うまみ、だし】
 どちらもumami、dashiと英語になっている。2語ともストレス(強勢)は「a」の部分で、「ゥマアーミィ」「ダアーシィ」のような発音になる。

 グルメな人なら知っているが、知らない人も少なくないので、言い換えが利く単語を知っておくと安心。うまみはsavoriness(「滋味、風味」とも)、だしはsoup stockまたはbroth(「ブイヨン、煮汁」とも)でOK。

 Umami or savoriness is……のように、or(すなわち、つまり)を使って、説明を補足するとわかりやすいだろう。 

【五臓六腑に染み渡る】
 ラーメンのスープのおいしさに対するコメント。五臓六腑はthe internal organs (and the bowels)と訳せるが、慣用句は直訳しても理解されにくい。

 まずは言わんとすることを小さな子どもに説明するつもりで簡単な日本語に置き換えてから、英語に変換すると伝わりやすい。

 It warms you up (so) nicely from the inside.(内側から温まる) The tastiness spreads throughout every inch of my body.(うまさが体の隅々まで行き渡る)などの訳が妥当だろう。

◇ドキュメンタリー映画「Come Back Anytime」
東京都千代田区(最寄り駅は飯田橋)にある老舗ラーメン店「びぜん亭」と店主・植田正基さんに1年密着。名店の味の秘密、常連が足繁く通う理由を探る。竹の子掘り、梨狩りなど、店主の四季折々の"外遊び"にも同行し、1軒のラーメン屋が形成するmicro Japanese communityの魅力に迫る。
邦題「またいらっしゃい」
https://comebackanytime.com/

◇監督 John Daschbach(ジョン・ダッシュバック)
米国出身。2011年から日本在住。「Brief Reunion」(2011)などフィクションの監督作はあるが、ドキュメンタリーは本作が初となる。

(文/山本 航)

※『AERA English (アエラ・イングリッシュ) 2020 Autumn & Winter』より。誌面ではジョン・ダッシュバック監督へのインタビューを英語と日本語で掲載している。