近年、失った歯の代替法の一つである「インプラント」は、「第二の永久歯」といわれるほど「かむ力」がとり戻せることで注目を浴びています。しかし、「インプラントでは、骨に穴を開ける手術をすると聞いて怖い」と治療をためらう人も。日本口腔インプラント学会は、広く一般の方々に向けて、インプラントについての正しい情報を伝える公式本『「かめる幸せ」をとり戻す』を9月に刊行しました。本書から抜粋する形で「インプラントの手術方法」についてご説明していきます。

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 インプラント治療には、手術が必要です。ここが、失われた歯を補うほかの方法である義歯(入れ歯)やブリッジとは異なる点です。

 手術方法には大きく分けて「1回法」と「2回法」があります。

「2回法」の場合、手術は2回おこないます。

 1回目の手術はインプラントを埋入する手術です。
 
 インプラントを埋める部分の歯肉を切開してあごの骨を露出させ、骨にドリルで穴を開けてインプラントを埋め込みます。そして、インプラントを完全に歯肉の粘膜の中に入れて切開した歯肉を元通りに縫い合わせます。これで1回目の手術は終了です。

 手術時間は約30分〜1時間で、局所麻酔をしておこないます。
 
 その後、インプラントと骨が結合するまで、骨の状態やインプラントの種類にもよりますが、2〜6カ月程度待ちます。インプラントと骨が結合するまでの期間は、個人差がありますが、一般的に上あごで2〜6カ月、下あごで2〜3カ月といわれています。

 インプラントと骨が結合していることが確認できたら、2回目の手術です。

 再び歯肉を切開し、インプラントの頭の部分、上部構造を連結するネジ穴の部分を歯肉の外に露出させます。そして、頭の部分にチタン製のキャップ(ヒーリングキャップ)を一時的に装着して、そのまま切開した歯肉の治癒を待ちます。

 歯肉の傷が治るのを1〜2週間ほど待って、上部構造の製作を開始します。

 仮歯などで、かみ合わせや清掃具合をチェックして、問題がなければあらためて最終的な上部構造を製作します。これを装着して治療終了となります。

「1回法」の場合は、インプラントを埋入する手術の際に完全に歯肉を閉じずに、ヒーリングキャップを装着したインプラントの頭の部分を歯肉の外に露出させたままにします。 2回法の2回の手術でやることを一度におこなってしまうため、手術は1回ですみます。

 どちらの手術もメリットとデメリットがあります。主治医の歯科医師とよく相談してください。

「インプラントの手術をすると腫れたり、痛くなったりすると聞いて怖い」といった声を耳にすることもあります。

 たしかに「手術で骨に穴を開けてインプラント(人工歯根)を埋め込む」と聞くと、怖く感じるのも無理はありません。
 
 けれども通常のインプラント手術で受けるからだへのダメージは、親知らずの歯を抜いたときと同じような程度です。

 手術は抜歯と同じように局所麻酔でおこなうので、手術中に痛みを感じることはありません。不安が強い人や高血圧などの持病がある人は、静脈麻酔を併用することもあります。局所麻酔では患者さんの意識はありますが、静脈麻酔を使うと、眠ったような状態になります。

 手術後、麻酔が切れたときに痛みを感じることがありますが、通常は痛み止めをのめばおさまります。腫れることもありますが、通常は数日でおさまります。

※『「かめる幸せ」をとり戻す』より抜粋