近年、失った歯の代替法の一つであるインプラントは、「しっかりかめる」「本当の歯のよう」「残った歯に負担が少ない」といったメリットから注目を浴びています。しかし、治療にかかる費用は、少なくはありません。日本口腔インプラント学会は、広く一般の方々に向けて、インプラントについての正しい情報を伝える公式本『「かめる幸せ」をとり戻す』を9月に刊行しました。本書から抜粋する形で気になる「お金のこと」についてご説明していきます。



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 インプラントは自由診療(※保険診療ではない。全額自己負担)です。国が治療費を定める保険診療と違って、自由診療では治療費をそれぞれの医療機関が自由に決められます。

 そのため費用は各歯科医院によって異なります。つまり保険診療の治療のように「治療費はだいたい同じ」ではありません。
 
 インプラントは、手術によって骨に人工歯根を埋め込む治療です。義歯やブリッジなどの治療に比べて、治療内容も複雑になりますし、手術に必要な専用の器材、環境整備、検査、高度な技術の習得や維持などの各種のコストがかかります。その一つひとつの金額が、各歯科医院によって違うのです。インプラントを埋入する本数でも費用は変わります。追加の手術が必要になることもあります。そのため、インプラントの治療費用にはばらつきがあるのです。

 では、インプラント治療には、具体的にいくらくらいかかるのでしょうか。
 
 だいたいの金額がわかるよう、一例として、ある関東の大学病院でのインプラント治療の各段階にかかる金額の目安をお伝えします。

初診……約5千円
相談……約5千円
各種検査……約4万円
インプラント埋入手術(1次手術)……約20万円
インプラント埋入手術(2次手術)……約5万5千円
仮歯……約5万円
アバットメント……約11万円
上部構造1本……約11万円
メインテナンス(1回通院分)約3千円

 ただ、一般的に費用には、スタッフの人件費や歯科医院の賃料なども反映されるため、都市部にある歯科医院の費用ほど高くなる傾向があります。

 大学附属病院(大学病院)の歯科の場合、一概にはいえませんが、一般的な歯科医院よりも費用がかかる傾向もあります。

 大学病院なのか個人医院なのか、立地はどこなのかなどによって、ある程度、金額に幅があるのが実情です。

 金額については、あくまでも目安ですので、受診しようと考えている歯科医院で必ず金額を確認するようにしましょう。

 なお、歯周病の治療や骨を足す手術などの追加の治療が必要な場合は、さらに費用がかかることになります。

 インプラント治療は、埋入手術だけで完了することはありません。全身や口腔内の検査から、歯周病の治療、上部構造(義歯)の取り付け、メインテナンスなど、さまざまな工程があり、それぞれに費用が発生します。費用を確認する際には、必ず治療開始から終了までのトータルの金額をききましょう。

 なお、自由診療には消費税がかかります。現在の消費税率は10%です。10%は少なくはない金額ですので、トータルの金額をきく際は、消費税込みの金額かどうかも確認するようにしましょう。

※『「かめる幸せ」をとり戻す』より抜粋