ご存じの方も多いと思いますが、くら寿司はアメリカで現在8州とワシントンDCに計29店舗を展開しています。

 こういう話をするとよく聞かれるのが、アメリカの人たちに人気のお寿司は何?アメリカのお店も日本と同じ仕組み?アメリカでもビッくらポンはあるの?などの質問です。

 そこで今回は、アメリカのくら寿司について少し説明してみたいと思います。



 くら寿司が初めてアメリカにお店をオープンしたのは、2009年でした。その2年前に和食レストランの形でアメリカに進出したんですが、うまくいかず、一時撤退をしようとしたところ、現地の責任者から「日本と同じ回転寿司の形態でもう一度だけチャレンジさせて欲しい」と懇願され、回転寿司(Revolving Sushi Bar)として、カリフォルニア州アーバインにオープンしたのが、1号店です。

 その1号店が、「寿司がベルトで回ってきて面白い!」「Amazing!」「Fantastic!」と評判になり、SNSなどでも拡散されて大盛況となりました。その後、カリフォルニア州からテキサス州、ジョージア州などに店舗を拡大して、現在に至ります。19年8月には、現地の子会社がナスダック市場に上場することができました。

 そこで、先程の質問ですが、アメリカのくら寿司の人気メニューベスト5は以下の通りです。

(1)炙りサーモンマヨネーズ
(2)ゴールデンクランチロール
(3)サーモン
(4)カリフォルニアロール
(5)うなぎ

「サーモン」と「うなぎ」は別として、その他の3品については、日本ではあまり馴染みのないメニューですよね。

「ゴールデンクランチロール」と「カリフォルニアロール」は、アメリカで考案されたお寿司で、海苔が苦手なアメリカの人たちのために、通常とは逆に海苔を内側にしてシャリを表側にしていろんな具材を巻いた巻き寿司で、「ロール寿司」とよんでいます。

 ロール寿司の元祖とも言える「カリフォルニアロール」は、アボカドやカニカマ(くら寿司では本物のカニを使用しています)などを巻いたヘルシーなロール寿司で、1963年頃にカリフォルニアで日本人の職人が考案したと言われています。

 2位の「ゴールデンクランチロール」は、エビマヨときゅうりを裏巻きにして、上にスパイシーソースと甘だれをかけパン粉をトッピングしたものです。我々日本人からすると「これってお寿司なん?」と思うようなスパイシーな味と食感ですが、アメリカのお店では常に上位にランクインする人気メニューなんです。

 次に、アメリカのくら寿司のお店についてですが、アメリカのくら寿司も日本のお店とほとんど同じシステムになっています。

 水流を使ったお皿の回収システムはもちろん、お皿を5枚投入するとできるビッくらポンももちろんあります。そして、空気中のウイルスやほこりからお寿司を守る「抗菌寿司カバー・鮮度くん」も「Mr.Fresh」の名前で活躍しています。

 実はアメリカでは日本以上に衛生管理が厳しく、お客様の前を回転するお寿司には、カバーをつけなければ営業ができません。しかもそのカバーは、70度以上のお湯で洗浄して、自然乾燥しなければならないということまで決められています。コロナウイルスの感染拡大を受けて、今後は日本でもそうした規則が検討される可能性があるかもしれませんね。

 そこまで厳しい規則の下で営業しているにもかかわらず、現在はカリフォルニア州ではまだ店内での飲食が認められていません。他の州でも、座席数を25%から75%程度に減らしての営業を余儀なくされるなど、非常に厳しい状況が続いています。

 そうした状況下ですが、先月オープンしたフロリダ州のお店には、くら寿司のオープンを待ちわびていた多くのお客さまにご来店いただき、最大で5時間待ちになるほどの大盛況となっています。そして、営業している他のお店にも連日多くのお客様にご来店いただいています。

 こうした様子をみていると、現在は営業制限の影響で非常に厳しい状況が続いていますが、アメリカの方々の人気と期待は非常に高く、一日も早くこの困難な状況を脱して、より多くのお客様においしいお寿司と楽しい食事時間をお届けできるようにしたいと思います。

 日本の皆さんも、今はまだ海外渡航は難しい状況ですが、コロナが落ち着いてアメリカへ行くことがありましたら、ぜひアメリカのくら寿司で、日本とは違うお寿司を楽しんでみてください。新たなお寿司の魅力を発見できるかもしれませんよ。

○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長

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