猛威を振るう新型コロナウイルス。その影響は、就活にも及んだ。今後も新型コロナウイルス流行の影響で例年通りとはいかない情勢が予想される中で、就活はどのように変化し、学生は就活する上で何を意識すれば良いのだろうか。また、企業側はどのように採用活動を行っているのか。就活セミナーを毎年開催している東京大学消費生活協同組合(東大生協)組合員センターへ取材するとともに、学生への就活支援事業なども行っている株式会社ハロネットの人事担当に話を聞いた。(東大新聞オンラインから転載)

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■オンライン主流の今こそつながりを

 新型コロナウイルスの流行が就活をする学生に与えた影響は大きい。文部科学省・厚生労働省がまとめた就職内定状況調査によると、2020年12月1日時点での21年卒大学生の就職内定率は82.2%と、昨年度比で4.9ポイント低下、リーマン・ショック時に次ぐ下げ幅となった。また、航空業界、旅行業界などでは、新型コロナウイルス流行の影響で採用が大幅縮小された。

 一方で、リクルートワークス研究所の調査によると、21年卒の大卒求人倍率は1・53倍であり、リーマン・ショック後に1・23倍にまで低下した12年のような低水準ではない。東大生の就活動向に詳しい東大生協組合員センターの矢部武志店長は「仕事を探そうとすれば、それに応じる企業はある状況なので、諦めずにチャレンジしていただきたい」と話す。

 新型コロナウイルスの感染拡大は、就活の在り方を大きく変えた。「オンライン就活」が一般化し、企業説明会や面接などはほとんどがオンライン開催に。矢部店長によると、オンライン就活によって企業は、地理的な障壁がなくなり短時間で多くの就活生と接点を持てるようになったが、学生の反応の見えづらさが欠点だという。就活生にとっても、短時間で企業・業界研究をしやすくなったり、交通費がかからなくなったりしたことがメリットに。一方、矢部店長は「リアルタイム形式ではなくオンデマンド形式のイベントだと『しっかり話を聞いて質問しよう』という気持ちになりづらい面もあるようです」と指摘する。

 変化の中で生まれた新たな就活の傾向は「オンライン就活」だけではない。20年秋以降に開催された東大生協主催の就活セミナーでは、事前エントリー数、実参加者数が夏休み前と比べると半減しているという。「この傾向は東大だけに限ったものではなく、他大学の大学生協主催就活セミナーでも同様の傾向です。大卒求人倍率が低下する中で、普通に考えると就活イベントに多数参加しそうにも思えますが、そうはなっていません」。先輩から就活の話を聞いたり、周囲の学生から影響を受けたりするといったキャンパス内のつながりで得られていた恩恵が途絶え、さらに就活情報の氾濫で情報を取捨選択しづらくなっていることなどが原因だという。一方、企業と学生とが直接会う機会が限られている中、企業が学生に対して直接オファーを出すスカウト型就活サービスを利用する学生も増えている。

 新型コロナウイルス流行の終息が当面の間見通せない状況で、来年度以降もオンラインを中心とした就活が続くことが予想される。「就活生目線だとオンライン対応に目を奪われがちですが、コロナ禍の就活を経験した先輩との接点の有無が重要度を増すように思われます。志望を極端に絞り込むことなく、広くさまざまな業界や企業に出会ってみることが、結果として自分の可能性を広げることになると思います」

■コロナ禍は主体的になるチャンス?

 中小企業を主なターゲットに、企業向けWebコンサルティングを行う株式会社ハロネット。人事を担当する下康一さんは「新型コロナウイルス流行下における採用活動は、説明会のオンライン開催など変革を余儀なくされることがありました」と語る。一方で、変革が追い風になった部分も。「航空業界など一部業界が採用を大幅縮小した結果、それまで我が社に目を向けていなかった学生がエントリーしてくれました」。結果的に、オンライン開催で地理的な障壁がなくなったことも影響してか、21年卒向けの説明会の参加者数は昨年比で3倍以上になった。

 実際にオンラインで学生を選考すると、手振りなど非言語でのコミュニケーションが減った分、言葉で的確にコミュニケーションが取れる学生を自然と見ることができたという。一方で、対面での交流が難しいため、企業も学生側も最終決断には例年より時間がかかった。「学生が就活を通して手に入れていきたいものが何なのか、本質的なニーズを引き出していくことに全集中していました」。ウィズコロナの採用活動を見据え「オンラインで学生へのリーチを広げ数を稼ぎつつ、最終的な決め手をつかむためにオフラインも併用していきたいですね」と展望を語る。

 ハロネットでは自社の採用活動とは別軸で、オンラインで学生とつながってキャリアアドバイザーのような役割を果たし、より良い就活を行えるように支援する活動も行っている。「企業の実際の雰囲気を感じ取りづらい中で、入社後の企業と新入社員とのミスマッチが生じないようにするのが、学生側にも企業側にも重要です」

 今後もオンラインを多く活用した就職・採用活動が続くことが予想される。「確かに大変な部分もあると思います。しかし、主体的にならざるを得ないこの状況下で内定を勝ち得たら、数年後の市場価値はものすごく高くなっていると思います」。逆境をチャンスに変える力も、就活を成功させるに当たっての大きな鍵かもしれない。

(文/東京大学新聞社・米原有里)