今週から新学期がスタートしました。宿題もなく親子で気が緩みがちな春休みも終わりましたが、前の学年でつまずいた個所の補強は大丈夫ですか?特に3年生から新4年生になった小学生は要注意。小4から教科書の内容がぐっと難しくなり、授業についていけない子どもも出てくるそうです。今からでも間に合うリカバリーの方法を、三男一女4人の子ども全員が東京大学理科III類に合格した佐藤ママこと佐藤亮子さんに聞きました。


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――コロナ禍ですが3月には緊急事態宣言も解かれ、この春休みは旅行やお出かけを楽しんだ家庭は案外多いようです。そもそも春休みは宿題も出ないし、思い切って遊ぶという過ごし方は「あり」だったのでしょうか。

佐藤亮子さん(以下、佐藤ママ):それまでのテストなどを考え合わせて、計算が苦手、漢字を覚えられていないなど前の学年の学習内容につまずきが見られたなら、楽しく遊ぶだけというのはちょっと考えものですね。学年が一つ上がると、子どもも親も前の学年のことはリセットされるような気がしてしまうのですが、前の学年でわからなかった内容が何もしないで、自然とわかるようになることはありません。このまま放置していたら、学年が上がって教科書が難しくなった分、ますます苦手になってしまいます。

――春休みは、学習の遅れを取り戻すチャンスだったわけですね。

佐藤ママ:そうなんです。親御さんもちょっと息抜きしたかったのかもしれませんが、やはり、子どもが身に付けるべき内容をできないままにして、新学期を迎えると大変です。

 特に3年生から新4年生になるときは要注意です。親御さんには、ぜひお子さんの教科書を読んでみてほしいのですが、4年生からかなり難しくなっていることがわかります。小3の子どもは、小4の子どもに比べれば、幼稚園生や「よちよち歩き」の赤ちゃんに近い感じなのです。小4からはより少年という感じになって精神的にも大人のほうに近くなり、だいぶ大きく成長していくイメージです。小3と小4の違いは大きいですね。

 これが「10歳の壁」と言われているもので、やはり子どもの成長過程では特に無視できないものです。どの学年のどの科目でも積み重ねですから、わからないところを克服しておかないと、新学期が始まってより難しくなった授業についていけなくなります。そういう意味では、春休みのうちに遅れを取り戻しておくのが理想だったということです。

――なるほど。しかし、遊んでしまった子どもは「後の祭り」なのでしょうか。リカバリーのヒントをもらえると助かります。

佐藤ママ:4月は新学期が始まったばかりなので、授業の進み具合もそれほど早くはありません。だから、ゴールデンウィークまでに、いかに遅れを取り戻すかが鍵となります。とにかく勉強は積み重ねですから、わからないことがあるとその上には絶対に積み上げることはできません。どうしても戻って復習することが必須です。

 新学期からの授業でも、わからなくなったり、苦手だと思ったりするものが出てくるでしょう。新学期から2カ月過ぎた6月くらいにその項目も復習し、さらに計算や漢字を中心に夏休みでまとめて克服しましょう。そうやって細かく少しずつ調整しながら苦手な項目を減らしていくのがコツです。

――勉強の計画は、子ども自身が立てるのがいいのでしょうか。

佐藤ママ:親が計画を立てて、スケジュールも管理する方がいいでしょう。特にコロナ禍では、学校の行事が変更になったり生活が変則的になったりすることもありますので、そのようなことを考慮して子どもが計画を立てることは無理だと思います。中学受験をするにしても、受験のために身につけなければならない内容に今までと変わりはありません。その内容の完成度によって本人の偏差値が決まり、受験できる学校が決まってくるということです。

 親が計画を立てるといっても、「この通りにやってよ」と子どもに親が立てた計画を押し付けてはダメなのです。親は一貫して、子どもの状態を常に優先する覚悟が必要です。

 親の思い込みや希望で作ったスケジュールはすぐに破綻します。実際にやるのは子どもですから、計画を立てながら「この日はこれをできるかな?」と子どもにたびたび聞いてみてください。そうすると子どもは「算数をやった後は疲れているから、次は国語がいい」「理科は15分ずつ分けてしたい」というように話します。子どもの要望を入れながら計画を立てるのがうまくいくコツです。一緒にスケジュールを考えていくうちに、子どももこの計画を実行するためには、「YouTubeをダラダラみている時間はないな」「いつまでもゲームをやっている場合ではない」と身にしみてきて現実的になることができます。

――コロナ禍で、家庭学習の大切さが再認識されました。

佐藤ママ:コロナ禍も2年目ですから、1年目の経験と反省を生かしてほしいと思います。この1年で「オンライン」での学習が定着してきて、ますます家庭によって学力に差がでると感じています。コロナ以前は、塾や教室という環境によって「強制」される面がありましたから、通わせればある程度学力は身に付いていたのですが、オンラインでいつでも自宅で学べる方法はその向き合い方で成績に大きな差が出てきます。家庭環境が大きく影響してくるところが、なかなか難しく怖いところでもあります。

 例えばある子どもは、好きな時間にただ授業を聞いているだけ。別の子どもは時間を決めて、塾と同じようにノートを開き、リアルな塾に通っていたのと同じ態度で授業を受ける。どちらの子どもが、授業の内容をより身に付けられるかは明らかです。実際、塾にお話を聞くとオンライン授業の受け方で、成績に差が出始めているそうです。やはり、家庭での親御さんの役割がより大きくなっているのが分かります。
 
――今年から始まった大学入学共通テストは、読解力が必要です。これも一朝一夕には身に付かない力です。

佐藤ママ:今年の第一回共通テストは、長い文章を読み慣れていないと解けない問題ばかりでした。日本語の読解力こそ、日ごろの習慣が大事です。家庭の中に、活字があちらこちらに転がっている環境が大事です。読むのに時間がかかる本を子どもに日常的に読ませるのは難しいので、私は新聞記事をおススメしています。共通テストに必要な新しい時事問題にも日常的に触れることができるので、子どもの精神年齢も成長します。

 習慣や積み重ねを、後からなんとかしようとするのは至難の業です。今の時代こそ、親の関わり方や家庭環境が子どもの人生を大きくわけることになるのだと、しっかり心に留めてほしいですね。

(まとめ/AERAdot.編集部 鎌田倫子)