「いい人がいたら」「いつか結婚したい」と思っていたら、もう50歳、なんて人は少なくない。年齢が上がるほど結婚は難しくなるが、本気で挑めば結果は出せる! ということで“晩婚活”のプロや体験者にその秘訣を聞いた。



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 世の中は確実に非婚化が進んでいる。国勢調査などによると、50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合は、昔に比べれば格段に増えている。

 とはいえ、自らの意思で非婚を選ぶ人がいる一方で、中年以降であっても結婚したいと望む人も少なくない。

「40代以上の会員は以前から多かったのですが、新型コロナの影響で『自粛時に家で一人のときに寂しさを感じた』という人が本気で結婚を考えるようになり、入会者が増えました」

 そう話すのは、結婚相談所「最短結婚ナビ」を主宰し、『100日で結婚』の著書がある鎌田れいさん。

 では、結婚希望者が増えれば結婚しやすくなるか、というとそういうわけではないようだ。男女ともに相手への条件があり、そう簡単に合致しないからだ。

 例えば、男性は初婚だと子どもを望む人が多く、20〜30代の女性を希望するが、女性からすれば自分より10〜20歳年上となり、敬遠されやすい。

「男性側に経済力があっても、かなり年上でもいいという若い女性と成立するまでには相当な努力が必要です。また、子どもを作る行為は夫婦のコミュニケーションでもあります。夫は年を重ね、妻は女盛りになる。それでも妻を満たしてあげられるのか。そのことを男性会員に指摘すると『その点、僕は大丈夫』って。その根拠のない自信はどこから来るのか……」(鎌田さん)

 女性は40歳を過ぎると自分に近い年齢や学歴、年収にこだわる人が多い。しかし、男性は自分より若い女性を希望する。

 結婚相談所は、連盟組織と呼ばれる複数の相談所が加盟するネットワークによって会員情報を共有している。小規模の結婚相談所でも、共有する何万人もの会員とマッチングできるため、初めは条件が厳しくてもマッチング自体は可能なことが多く、1〜2回なら希望するタイプの相手と会うことができるという。

 しかし、実際に会ったときの第一印象や、一言二言話した感じで受け取るイメージで、「ちょっと違う」「無理っぽい」となり、交際にすら至らないケースも多いという。その場合は、相手への条件を見直さざるを得ない。

 最近は、婚活アプリでの晩婚活も増えているが、登録情報が正しいとは限らないのが難点だ。既婚男性が独身として登録したり、年収を偽ったりする例などは多いという。

「婚活アプリを使う場合はリスクがあり、最後は自己責任です。年齢が高めの人は結婚相談所で仲人さんを活用するのがお勧めだと思っています」

 そう話すのは、自らも再婚した経験があり、晩婚や結婚関連に詳しいライターの大宮冬洋さん。

「結婚相談所は高いお金を払いますが、その分、仲人さんに積極的に相談して自分のことを知ってもらい、アドバイスに従ってみるべきです。仲人さんは会員情報を把握しているから、『あの人が合いそう』と頭に浮かんでいるはず。相手を見つける段階の目利きはプロに任せたほうがいいです。また、交際後も相手が所属する相談所の仲人さんと連携して、交際のフォローもしてもらえるはずです」(大宮さん)

 結婚相談所は入会金や月会費、成婚料など数十万円もの費用がかかるのが一般的だ。それには相応の理由がある。

「男女ともに独身証明書、短大卒以上なら卒業証明書などが必要です。男性は収入証明書がないと入会できないため、身元がしっかりしていて、結婚の意思がある人同士でマッチングできるのがメリットです。仲人さんがきめ細かくサポートしてくれるのも良い点です」(鎌田さん)

 こうしてマッチングし、お茶や食事に行き、お互いがいいと思えば交際に進むことになる。

 次は、いよいよ結婚に向けてのステージだが、ここからもそんな簡単な道のりではないという。

「婚活での結婚は、生活圏内で出会ってからの結婚より困難です。同じ会社やサークルでの出会いは、そこに行けばその人と自然にコミュニケーションが取れます。好きという気持ちが芽生え、気持ちが先導して結婚という流れになります。でも結婚を目的に男女が出会う婚活は違います。結婚というゴールは決まっているのに、付き合い始めた時点では気持ちは空白。この空白を埋める作業が必要で、そのためには生活圏で出会ってからの結婚以上に努力して相手とコミュニケーションを取っていくしかないんです」(同)

 鎌田さんは、「この人がいい」という人が見つかったら、結婚というゴールまで短期決戦で集中的に行動するべきだと話す。鎌田さん自身、お見合いを繰り返して夫と出会い、2週間後にプロポーズを受けて結婚というスピード婚を実現した。

「『この人』と思う人に出会えたら、相手を深く知るために、毎日LINEでやり取りし、時間を捻出して週1回は会う。会話や相手の行動を通してお互いの価値観や考え方をすり合わせていきましょう」(同)

 大宮さんも、短期決戦という戦略に同意する。

「仕事が忙しい、など言い訳せず、自分が決めた期間だけは婚活を優先すべき。恥を捨ててなりふり構わずするのもポイント。必死になっていると周りも手を差し伸べてくれますから」(大宮さん)

 鎌田さんの結婚相談所に入会し、49歳で成婚に至った野村明伸さん(仮名)は、47歳まで恋愛経験がなかった。それでも今の妻と出会ってから100日以内にプロポーズし、結婚した。

「30代のころ、インドネシアに7年赴任していて、結婚は気にしていませんでした。でも、さすがに親に『いい加減に真剣に考えて』と言われて帰国。39歳である結婚相談所に入りましたが、そのときはうまくいきませんでした。僕のコミュニケーション力の不足が原因でした」

 その後は婚活の情報を集めてやった気になる“脳内婚活”が続き、気づけば野村さんは48歳になっていた。そんなある日、スピーチセミナーに参加した野村さんは、鎌田さんに出会う。

 短期決戦で結婚を目指す鎌田さんの方針に共感し、鎌田さんの相談所への入会を決意した。

「今まで時間を無駄にしてきた分、短期決戦だと結論も早く出せるので、自分にいいと思いました」(野村さん)

 入会半年後、10歳年下の今の妻と出会う。彼女には先天性の進行性の難病があることがプロフィルに書かれており、野村さんはそのことも含めて深く理解したいと思った。彼女の友人も紹介してもらい、友人も含めていろいろと話をした。

「踏み込んだ行動だったかもしれませんが、短期間でお互いを知るために必要なことでした」

 現在、結婚して6年目になる。

「人生経験を重ねた上でお互いを選び、一緒になっている分、より愛情が強く、深い付き合いができていると思います。若いころの好きと欲望がごっちゃになった恋愛も悪くないのですが、相手を人間として好きになれるのは晩婚の良さだと感じています」

 野村さんは、親に言われたことが結婚に向き合う契機になったが、中年以上の独身の子どもを持つ親にできることはないのだろうか?

「基本的に口を出さないほうがいいです。親も年老いてくると、支えてくれる子どもを手元に置いておきたがる傾向にありますが、本当に子どもの結婚を望むなら、親も自立が必要。あと、親が結婚相談所の費用を出している男性は、ほぼほぼ結婚できません。自分の婚活なのに、いい年して親にお金を出してもらっていてうまくいくはずがありません」(鎌田さん)

 野村さんは、婚活中に両親から口を出されたことはないが、親戚に見合いを勧められたときは困ったと振り返る。

「叔父に『せっかく見つけてやったんだから絶対に会え』と言われたのですが、全く合わなさそうだったのでお断りしようとしたらえらく怒られて大変でした」(野村さん)

 一方、大宮さんは“使えるものは親でも使え”という考えだ。

「自分のことをよく知ってくれているのは親。最終的に決めるのが自分であれば、親のつながりを利用してもいいのでは。ただし、親は子どもが選んだ相手に対して、学歴や会社などに口を出すべきではありません。昔と今では、いい大学やいい会社は変わっています。自分の古い価値観を押し付けないようにしましょう」(大宮さん)

 結婚したい、という気持ちさえあれば、年齢は関係ない。

「晩婚は老舗企業同士の対等合併のようなもの。若いころは自分中心で、相手のことを見ているようで見ていなかった。でも年齢を重ねると、相手には相手の考えや世界があることもわかる。だから、相手への理解も速いし、理解できないことへの理解もできます。そういうところは晩婚ならではの良さですね」(同)

 鎌田さんは、結婚したくないならしなくてもいいと思っている。

「もし、してみたいと思う気持ちがあるなら、一度は挑戦してもいいのではないでしょうか。必要なのは容姿や条件、恋愛する時間ではなく、絶対に諦めないという心と、期限を決めてそこに自分のエネルギーと情熱を注げるかどうかなんです」

(ライター・吉川明子)

※週刊朝日  2021年7月16日号